比較言語学:あまりポピュラーな領域ではない事は確かだが、それにしても容易に入手できるテキストが半世紀以上前に初版上梓の「比較言語学入門(高津春繁)」と言うのはいただけないを通り越して現代の奇観と言うべきでしょう。高津さんの著作が名著である事。人的にも流通的にも極めて小さなキャパシティしか日本では持ちえない為、市場として成立せず独英仏語のテキストで済さざるを得ない事等々、種々理由は考えられますが、隣接領域の日本語の系統・起源に珍説・奇説が跳梁跋扈する一員でもあります。好事家・ディレッタントが成立しえないからです。木村鷹太郎・安田徳太郎・藤村由加といった歴戦の人々の驥尾に連なる人々は後をたちません。最近の代表例は近藤健二さんの「日本語の起源ーヤマトコトバを巡る語源学(ちくま新書)」
また前回紹介した、日文研の本でも取り上げられている、大野晋さんの説への批判(「音韻法則無視」)についても、referenceとなる枠組みが日本語として成立していないからです。上記近藤さんの本へのアカデミックサイドからの批判が見当たらない理由の一つだと思います。
又、ヴォヴィンさんやベックウィズさんのモノグラフもお話としてしか評価できなくなってしまいます。
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