ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

京阪中之島線の延伸は、とりあえず断念された。しかし……

2024年04月13日 00時00分00秒 | 社会・経済

 2023年12月18日7時付で「京阪中之島線の行方は」と題して投稿しました。今回は続篇というべき内容です。2024年4月12日15時付で、読売新聞社が「中之島線30年延伸を断念…京阪HD、IR撤退リスク見極め」として報じています(https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20240412-OYO1T50030/)。

 中之島線の延伸計画は、「京阪中之島線の行方は」において記したように、現在の起点である中之島駅(終点に見えますが、令和5年度鉄道要覧によると中之島駅が起点、天満橋駅が終点です)から大阪メトロ中央線九条駅まで延長するというものです。2キロメートル程度の延伸ですが、リスクは低くないということでしょう。

 タイトルに「とりあえず」という言葉を入れたように、京阪ホールディングスは完全に断念した訳ではなく、2030年秋までの開業を断念したのでした。その理由は、夢洲に建設が予定されているIRの白紙撤回という可能性が残されているということです。2030年冬以降の開業についてはまだわかりません。要は判断の先送りです。

 上記読売新聞社記事には「京阪HDは昨年7月以降、構想を検討してきた。だが、大阪府とIR事業者が昨秋、締結した実施協定に、事業者が26年9月末まで違約金なしで撤退できる『解除権』が盛り込まれ、リスクが大きいと判断した」と書かれており、さらに京阪HDの会長の発言の趣旨として「延伸したいが、はしごが外される可能性が出てきた。延伸は解除権の見通しが立つのが最低限(の条件)だ」と書かれています。この懸念は当然のものです。地下路線を延伸するのですから工事費も大変なものになるでしょうし、そもそも中之島線の開業区間の工事費も回収できていないでしょう。物価も上昇していますし、人件費も高騰しています。「リスクが大きい」というより大きすぎると考えるべきでしょう。というより、結局のところは延伸計画がIR頼みであるのが「何だかなあ……」という感じです。

 ここは思い切って完全に断念すべきであり、かつ、計画を変更すべきでしょう。中之島線の線形(?)が中途半端なものであることは否定できないので、大阪府、大阪市の交通網全体を見据え、利便性の向上につながる路線とする計画に変えるのです。IR頼みとは、交通政策としていかにも貧相です。


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