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対処療法的嘘の限界というか戦後秩序ワヤですわ

2019-05-17 16:30:08 | アジア情勢複雑怪奇

今年の初めに、日露関係についてはこれはもう対処療法的な嘘シリーズの限界だろうと書いたが、そこから半年、だんだんと崩れてきているようで、私としては方向性があたってうれしいとは思うものの、一人の日本人としてはうら悲しいところもある今日この頃。

ポスト安倍が見えない日本 (7):対処療法的嘘の限界(2)

直近の流れでいえばかなりの重要人物である軍のトップのこの発言は非常に重要でしょう。

丸山発言問題:自衛以外の戦争は国際法違反 by 前統合幕僚長

 

総じていえば、シンプルに実際こういう話でしかないのに、政治フィールドとメディア・アカデミアの情報操作フィールドだけが虚構を語ってそれに基づいて政治、経済を運営していたといったところでしょうか。

さてしかし、嘘を言っても始まらないのがテクノロジーの世界。そしてプロパガンダでない現実的な軍事の世界。

 

というところで、今週、米のポンペオがソチに行ってラブロフ、プーチンと何を話したのか、表面的なもの、中間のものは出ている。既に米国務省が出すポンペオと露外務省が出すラブロフのスクリプトを眺めながらみなさんいろいろおっしゃている。

軍事技術の問題が入っているだろうとはポンペオ訪露決定の時から言われているわけだが、この交渉に入るか否かの前段階みたいなところが現在という感じか。

ロシアとアメリカの間では、INFを切ってしまったので、残っているのは戦略兵器削減交渉しかなく、これが2021年だったかに切れる。これが切れたら話し合う枠組み作りにまた時間がかかる。さてどうする、とロシアが考えているというよりアメリカが考えている、ということ(アメリカに有利なら交渉しないのがこの人たち)。

去年2018年3月にプーチンがわざわざ動画まで作ってロシアの現在の技術的進歩を説明した時に、メディアが一斉に嘘嘘、そんなの嘘とばかりに騒いだが、いやその嘘じゃないし・・・と認めないわけにはいかないフェーズに来ているということですね。

プーチンの2018年一般教書演説:強制MAD

強制MADと書いたのは、冷戦崩壊後アメリカは自分だけが恒常的に強くて、他は眼中にないという態度でそこら中に軍事攻撃を仕掛けていった、その根幹にあるのはロシアは絶対出てこないという「安心感」。しかしそれが違った、と。そして、その偽の「安心感」の根底にあるのは、軍事的に米露はパリティーじゃないという発想。

しかしそうじゃない、最低でも相互に確証的に破壊し合える関係だからなと2018年3月にプーチンがわざわざデモンストレートした。

そしてその説明の課程で、ソ連崩壊からこっちの話を思い出し怒りしながら話したことが有名。

我々の失敗はアメリカを信じすぎたことだとまで言った。

そして、気がつけばこの態勢が、イラン、ベネズエラ、北朝鮮、そして中国etc.に共有されてきたってのも副次的効果として大きいかもしれないね。イランの場合は、ハメネイ氏が、繰り返し繰り返し、America cannot be trusted(アメリカは信じられない)と言っているから独自の発展ですが(笑)。

副次でない、直接的な効果は軍事的優位性の問題。

超音速のラインナップがずらりで、アメリカがレーガン以来馬鹿みたいに金の成る木として使って来たミサイル防衛網なるものが陳腐化するってのも問題だし、そこじゃなくてアメリカ本体への攻撃力に重点が置かれているってのも新しい。(ロシアに欧州を叩かせて、な、だから俺が守ってやるぜというインチキシナリオを売り込むNATO的体質をロシアが見切ってる)

というかよくよくよく考えるとソ連時代から実戦配備の能力を考えたら実は潜在的にソ連優位だったんだろうと思う。ところがソ連指導部が交渉で負けちゃうというか、アメリカの中に平和を希求する人たちが本当にいると思って交渉していくというその態度が間違いのもと。そしてこれを、ソ連からロシアにかけての軍・諜報関係者はソ連指導部の裏切り、売国と見ている。(実際にはゴルビーだけでなく内部の要所に裏切者がいたというのが正しいでしょうが)

アフガニスタンでも戦争自体はソ連が片づけていたことが既に知られていることと重ね合わせると軍・諜報の決意は固いだろうなぁとかも思う。

さりげなく静かに大きなアフガニスタン撤退問題 (2)

つまり、今後の米ロの話し合いは80年代後半のようにはならない確率は高いということですね。

しかも、結局冷戦崩壊なんて話が実はただのトリックだったって話だから、

NATO東方拡大:ゴルバチョフはマジで約束されていた

レーガン的勢力がこのままロシアから反撃されないというのも違うんだろうと思う。

(もしそうなら、それはつまり、ブキャナンやポール・クレーグ・ロバーツの考えを超えて物事が推移するということになる)

今後がとっても楽しみだわ。

 

■ 新エピソードなるか

ということで、親方アメリカは軍事的優位性問題で結構バタバタしているのにもかかわらず、子分はロシアと戦争しましょうと言い出すというスゴイ展開なわけですが(笑)、このブログ的には丸山議員のこの発言がツボですね。

ロシアが混乱している時に取り返すのはOKですか?


これって、ロシアは本当は弱いのだ、今に混乱する、どうせダメだという、伝統ある「ロシアは弱い」にまた一つエピソードですか?といった予兆のような気がするわけですよ。

このページにまとめてありますが、

ロシア弱体化という願望

いやほんと、みなさん、ロシアなど取るに足らないという態度で臨んで苦戦する、敗北するという歴史がずらり。

(1) 18世紀初頭
スウェーデン カール12世  「ロシアなど取るに足らない。私が跪かせてみせる」

(2) 1759年
プロシア フリードリッヒ  「後進ロシアなど私が征服してみせる」

(3) 1814年
フランス ナポレオン    「ロシアは脆い巨人だ」

(4) 1941年
ドイツ ヒトラー      「今年の終わりまでにはソ連に勝つ」 

 

この1941年の前に、1939年ノモンハンとして、関東軍のソ連人は頭脳が粗雑で組織的に計画を実行できない鈍重な奴らだ、を加えればいいわけですね。

これがオリジナルの文。

ソ人は概して頭脳粗雑、科学的思想発達せず。従って事物を精密に計画し、これを着実かつ組織的に遂行するの素性および能力十分ならず。また鈍重にして変通の才を欠くところ多し」(p46)

 

そして、2014年3月にオバマが、Russia is only a regional power(ロシアは単なる地域の強国に過ぎない)といった言葉が加わる。都合6個まで来た。

丸山議員はこの系譜に繋がる巨大エピソードを作るきっかけとなるのか! 

(引き受けるなら日本じゃなくて大阪一国でやってね)



 


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