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さりげなく静かに大きなアフガニスタン撤退問題 (2)

2019-02-17 21:07:19 | 太平洋情勢乱雑怪奇

トランプが、シリアで捕まったISの戦闘員を、イギリス、フランス、ドイツ等は引き取れよとツィートした。


トランプ大統領「IS戦闘員 欧州各国が引き取って裁判を」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190217/k10011818181000.html

アメリカのトランプ大統領は、シリアで拘束された過激派組織IS=イスラミックステートの戦闘員について、ヨーロッパの各国が引き取り、裁判にかけるよう求めました。

トランプ大統領は、過激派組織IS=イスラミックステートについて16日夜、ツイッターに「イギリス、フランス、ドイツ、それにほかのヨーロッパの同盟国に、シリアで拘束した800人以上のISの戦闘員を引き取り、裁判にかけるよう求めている」と書き込みました。

The United States is asking Britain, France, Germany and other European allies to take back over 800 ISIS fighters that we captured in Syria and put them on trial. The Caliphate is ready to fall. The alternative is not a good one in that we will be forced to release them........

 

そうしないと、俺らは彼らを放さざるを得なくなる、ともある。

ロシア・イラン・トルコの大名同盟みたいな地力のあるところが団結しつつシリア対策にあたり、それぞれ小異はあるものの、一番大きなロシアは、シリアの統一を守るという主張を崩さない。つまり、シリア軍がこれらの支援を受けて戦闘体制を取って、ISを追い出すという可能性が現状ずっとあるわけだから、そうであれば、実際問題ISまたはアルカイダ(変名いろいろ)は追い出される、という線は実際あり得る。

また、別の考え方もできる。ISでもアルカイダでも、フランス、ドイツ、イギリス、イスラエルあたりを中心としたある種の「秘密部隊」ユニットが入り込んでいると思われるので、そこをバラされる前にお前ら撤収しろ、ということかもしれない。

いずれにしても、もう終わりにしろ、とアメの大将は言っている、と。

ロシアの大将の方は、3日前、

「トランプ大統領は、選挙公約を果たそうと非常に積極的に取り組んでいる。これは米の政治では珍しいこと。シリアからの米兵の撤退はそれらの公約の一つでした。」

“President Trump is quite actively working on fulfilling his election campaign promises, which in practice rarely happens in the US political life. The withdrawal of the American troops from Syria was one of those promises,” Putin said.

https://www.rt.com/news/451486-putin-us-withdrawal-syria/

とすましたことを言っていた。

プーチンはトランプの動きを奨励しているわ、と見るべきなのか、その線で行かないとお前も困ることになるぜというある種の脅しと見るべきなのか、わからないが、いずれにしてもシリアの局面で上手を取っているのはプーチンのロシアであろうと見て間違いないでしょう。だって、ISは傭兵と言いふらした当の本人がプーチンですし(笑)。

 

■ ソ連アフガニスタン戦争の見直し機運

で、さりげなくこれと並行しているのが、アフガニスタンの撤収じゃないですかね。

で、最近、アフガニスタンにソ連が入ったのはそりゃ近隣だったから仕方ないだろ、みたいなことをトランプが言うという驚きの一幕がこの間あった。

嘘に飽きてる&アフガンまで通説に逆らうトランプ

通説では、ソ連は何の意味もなくアフガニスタンに侵攻し、それを西側世界がこぞって非難し、ソ連は孤立し、後のソ連崩壊につながった、などと言われる。

が、アフガニスタンは、トランプが言う通り、ソ連の南側の隣接地帯だから、そこにムジャヒディーンなるイスラム過激派を置きっぱなしにするわけにはいかなかった。そこでアフガニスタン政府の要請を受けてソ連は軍を出した。要するに後のチェチェンをここでやられることをソ連は懸念していた。だから意味がないなんて話ではない。

そして、ムジャヒディーンは自然発生的に出て来たアフガンのローカルではなく、西側が支援していた勢力であることは既にあちこちで証明、証言済み。

そして、実のところソ連はほとんどムジャヒディーンに勝っていて、アフガニスタンの政権は保たれていた、が、その後3年経ってアフガニスタンの政権が倒れるのはソ連が援助を止めたから、といった話が出回っている。

これは、ニール・クラークというイギリス人ジャーナリストの説明。西側で話されていたことを主体に(つまり私たちに読みやすく)まとまっているので読みやすい。

How US hardliners ensured Soviet withdrawal did not lead to peace in Afghanistan 

https://www.rt.com/op-ed/451541-afghanistan-war-us-soviet-union/

 

出回っているというか、ソ連はアフガニスタンの戦闘では大きな戦闘はほとんど落としてなくて、ほぼ勝っていたというのは2004年にロサンゼルスタイムスに出ていたMark Kramerの記事が、西側におけるある種の初出らしい。

Surprise! The Soviets Nearly Won Afghan War

December 26, 2004

http://articles.latimes.com/2004/dec/26/opinion/op-soviet26

 

最近ロシアで、アフガニスタンでの戦争についてちゃんと見直すべきだという非常に大きな声があって、撤退の時にあれは失敗だったという表明をソ連がしたが、それを覆すべきであるという法案が用意されたらしい。(The Independentの記事

それを目ざとく見つけたワシントンポストが、プーチンは歴史を修正して、現在の冒険主義を正当化しようとしているとかいう記事を書いている。

Why Russia no longer regrets its invasion of Afghanistan

https://www.washingtonpost.com/outlook/2019/02/15/why-russia-no-longer-regrets-its-invasion-afghanistan/?noredirect=on&utm_term=.e66beef7c04d

 

が、実際には、クレムリンはこの動きを止めようとしていたらしい。

記事ではどんな人たちが主体なのかよくわからないが、しかし、それは軍周辺に違いない。軍にしてみればやれることやって終わったのに、クレムリンの政策によって失敗扱いされ、それがソ連崩壊にもつながっているわけだから、許せんという思いを持ってる人たちが多数いる。

軍とプーチンは、実のところ最初はかなりギクシャクしていたはず。プーチンはKGBで、KGBの中心に裏切者が出たことが間違いのもと、と考えられているから。

 

■ 結構なパンドラの箱

いや、どうなるのかわかりませんが、ロシア国内も大問題だけど、アフガニスタンの戦争の成り行きがロシア軍や上のロサンゼルスタイムスが言うようなものであるとすれば、これまで一般に信じられてきた(信じ込まされてきた)、ソ連はアフガニスタンで負けましたというのが間違っていたという話だけにとどまらず、何の意味もなくアフガニスタンに~みたいな話が崩れる。

では一体何だったのか。その問いは直ちに、じゃあどうしてムジャヒディーンなんか作ったんだ、誰が協力者なんだ、etc.に繋がり、それはつまり、アルカイダって何だ問題となる。

そして、冷静にタイムラインに落とし込んで考えると、レーガンはなぜ冷戦終結に動こうとしたのか、保守革命とかいっていたあの妙ちきりんな変化は何だったのか、ゴルバチョフは裏切者(とロシア右派は断定する)なのか、etc. といったところを見直さざるを得なくなる。

もちろん、この動きはどこでプランニングされていたのかも引っかかってくる。

NATO東方拡大:ゴルバチョフはマジで約束されていた

 

解いてくれるのは私は歓迎するけど、それってやっぱり、多方面にわたって大問題ではなかろうか? ってかそうです(笑)。

 

ということで、

さりげなく静かに大きなアフガニスタン撤退問題

でもちょっと書いたけど、西側のアフガニスタン撤退というのは、実に大きな問題がかかっている。

やっぱりこう、主要メディアが狂うだけのことはあるんでしょう。なんか納得してきた。

 


 


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