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ラブロフ外相、ティラーソン国務長官@ボン

2017-02-16 23:36:27 | 欧州情勢複雑怪奇

G20の外相会談がドイツで行われるため、岸ポンが今日出発するそうだ。

G20外相会合に出席 岸田外相きょう出発
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170216/k10010878181000.html

 

北方領土は帰ってきたとしても安保の対象だ、わははは、と気持ちよくアメリカ様の下僕であることを表明したし、北朝鮮はミサイルかましてくれたので、なんだか俄然強気になってたりするのだろうか。意味不明だが。

今回の会合は、アメリカのトランプ政権発足後、主要国の外相が一堂に会する初めての場で、岸田大臣は、各国の外相と信頼関係を構築して、国際社会や地域の課題に対する認識を共有し、連携を深めたい考えです。

岸ぽんのせいじゃなくて、メディアのせいなんだろうけど、日本って「信頼関係の構築」という語を年ガラ年中使ってるんだけど、普段信頼関係は構築できていないのだろうか? 外相は長くやってる人が多いポジションだし、思いつきでやる仕事でもないので会議であったから信頼関係というのが最も起こりにくいポジションのようにも思う。どこの国も背中に大きな外務省がいるわけだし。

と、そんな中、ロシアのラブロフ外相とアメリカのティラーソン国務長官が既にドイツのボンで会っていた。

https://www.rt.com/news/377534-lavrov-tillerson-g20-meeting/

写真が汚いのは、ザハロワ報道官(つまりカメラマンじゃない)が取ったものだからのようだ。関係者しか入れないからでしょうね。

何が出てくるのか知らないけど、ともあれ現実の外交の当事者が合うというのは結構なこと。

 

で、面白く思うのは、明らかに、誰が見てもトランプ政権で最も重量級の人物というのはこのティラーソン氏だと思う。そして、ロシアがらみでいえば、フリンなんか問題じゃないほどロシアと友好関係があった人なわけですね。

フリンはロシアがらみで「赤狩り」にあってるけど、どっちかというとロシアを使ってアメリカにとって都合のいいこと、イスラム過激派を飼い続けるという異常な行動を止めさせたい、国務省とCIAが組んでバカなことをし続けるこの情報機関の混乱を正さねば、と考えている人だと思う。

熱意は買うし、正常だとも思うけど、ロシア政府からしたら別に歓迎したい人ではなかったと思うし、総じていえば歓迎されているようには私には見えなかった。ロシアからしたら相手のペースで危険なことに巻き込まれるのは嫌だからだし、ここでイラン嫌いをもってこられても歓迎できねー、だったでしょう。だから、むしろ、フリンを否定するかのように(もちろんそんなことはおくびにも出さないのだが)イランとの協調関係を強調していた。

対イラン制裁に反対します by ロシア&中国

しかもこの声明の後、ロシア軍はイランの軍事基地を再度使わせてもらって(去年使ったがやめた)、そこからIS攻撃してる。これはイランとの協力関係は当然継続だという意思を見せていると私は思う。

Iran allowing Syria-bound Russian planes to use airspace-report
http://www.reuters.com/article/us-mideast-crisis-russia-iran-idUSKBN15Q0CR

また、南北回廊路線も引き続き続行中の記事もあった。

 

総じていえば、フリン問題ではロシア政府は大枠ではそれほど困ってないと思う。一回方針を決めたらそう簡単にぶれないっしょ、こういう大問題では。で、中国、イランは笑ってると思う。

そういう意味では、ロシア、中国がフリンを蹴り落としたという説だってあっていいぐらい。

 

単純に、アメリカの中で情報機関と軍が暴走的なことを懸念している(あるいは絶望的に嫌ってる)人たちが非常に困惑して、絶望している、という状況。drain the swapt(ヘドロを掻き出す)とかできねーんだな、みたいな。

アメリカは、嘘をつきまくって始めたイラク攻撃からこっち、ずっと政府に対する不審感がとても大きい。ヒラリーのベンガジ問題、911、といった大ネタを誰も開けられない状況だし、FRBをはじめとしたら大バンカーたちはいわゆるリーマンショックがあろうがなかろうが、勝手に政府を牛耳って自分らだけ儲けるという姿勢を崩すつもりもない。経済指標さえグダグダにしていく。希望かと思ったオバマは大嘘つきだった。このへんのアメリカ人のアメリカの現在に対する嫌気というのは、アメリカを見る際に忘れてはならない点だと思うな。大マスコミがそれを全部無視しているからこそ、さらに腹を立てる、と。

で、少ならぬアメリカ人は、トランプにまた希望を見たわけですよ。

ところが・・・という感じなのが現在。だから、これはトランプ側にとってマイナス。夢から覚めたぜ、みたいになる人たちが増える契機になるから。

 

と、そこらへんはともかく、しかしこう、どうしてフリンがロシアシンパにされなきゃならんのだろうという、なにか非常に馬鹿な芝居を見ているような気がしている今日この頃だすよ。

要するに、クシニッチが指摘している通り、外から手を入れられたくない情報機関と軍の一部が抵抗して、メディアはトランプを中傷するキャンペーンの一環なんだから、それ来た、となったって感じなんだろうな、とか思う。軍は監査すら拒んでる集団だからこそ、バカみたいな値段の兵器ができるわけですよ。そのまま買う人たちがいるからこそできる芸当ですが(笑)。

情報コミュニティーが問題なんだよ by クシニッチ

 

一方ティラーソンは、そこらへんの問題についてどう考えているのかまったく不明だが、ネオコンと気があうようには思えない。ネオコンと気が合う人がいかに政治的な企業だとはいえ実業系のCEOになれるとも思わんし。

アメリカメディアはこの重要な人の方針を探るという努力をまったくしていないのは不思議ですねぇ。

つか、この人は叩けないわけね、というのがとても興味深い。やっぱりエクソンのCEOを叩くというのは難しいんでしょうかね。ロックフェラーを叩くようなものだとも考えられるわけだし。このへん、おもしろいなーーーーとか思って見てる。

 


 

シベリア出兵 - 近代日本の忘れられた七年戦争 (中公新書)
麻田 雅文
中央公論新社

 

平和の失速〈3〉―大正時代とシベリア出兵 (文春文庫)
児島 襄
文藝春秋

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5 コメント

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『サハリンの井戸掘りティラーソン』 (ローレライ)
2017-02-17 05:50:52
『サハリンの井戸掘りティラーソン』は極東のエネルギー利用システムのキーパーソンだからキッシンジャー的なエネルギー利用外交を進めて来るのは想定内。
返信する
第2幕 (ぶろぐ主)
2017-02-17 07:45:43
ローレライさん、

これってでもホドロコフスキー問題の決着みたいなところはあるわけで、それが原因でここ年もめてたわけで、それを一体どうやって落とすの?と想像できないものがあります。
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フリンさんは囮か生贄か、反トランプ勢の致命的な点は。 (舞茸)
2017-02-18 14:19:03

 はじめてお邪魔いたします。驚くべきウェブログとブログ主さんに感じ入って拝見しておりました。

 フリン追い落とし成功、あちらは勝利感に酔いしれた雰囲気だと、ウェブログ「マスコミに載らない海外記事」の「フリンの首が飛んだ。次はトランプの番?」にあり憮然としておりました。ところが御記事で牽かれたRT報道を拝見しますと、ロシアのラブロフ外相はそんなことはさておきティラーソン国務長官と真の大物どうしのプロダクティヴで「準備的な」トランプ政権最初の米ロ会談を持ったというわけですね。

 ということは、御記事に示された闇に光を見る洞察と田中宇氏の慧眼どおり、オバマ時代から一貫してイラン核協定を目の敵にするフリンさんを、あちらを酔いしれさせるための囮か生贄かにするというのは一石二鳥、ロシアだってかすかにニンマリしたのではと・・・これができるのは冷徹な参謀がいるためなのか、トランプのビジネス・センスのすごさなのでしょうか。

 あちらの致命的な弱点は「カオが見えない」ということかと思います。だれがオモテのコアなのか、なにが望みなのかそれにテレビのバラエティのようなことさらの大騒動のウラでひそかに歌っている歌がふるすぎること。しかしまぁそういうものなのでしょうか。つい人間の世の中に対して絶望的になります。

 それにしても、フリンさん、もしあちらの言うとおりであれば、電話盗聴の罠に嵌められかたはわざとらしい感じがしたりしませんでしょうか。
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策に溺れた感じ (ブログ主)
2017-02-18 15:21:28
舞茸さん、はじめまして。

田中さんはトランプの策だとおっしゃってるらしいですが、私はそうは思ってないです。策だとしたら人々を裏切るわけですから上策ではないです。むしろ、窮したから彼らの判断で次善の策としてこうなった、しかし、その余波はトランプにとってマイナスの方が大きいだろう、と考えてます。

中露にとって良いこととアメリカにとって良いことは重ならない確率が高いので、従って、今回はロシアにとってはまぁまぁ、中国はまる儲け、トランプは国民の期待値を削いだ点でマイナスじゃないでしょうか。
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忘れられないあの「政権交代」の悪夢とおなじことが? ( 舞茸 )
2017-02-18 19:28:06

 なるほど!ブログ主さま、ありがとうございます。「マスコミに載らない海外記事」のポール・クレイグ・ロバーツ氏の「トランプ大統領:安らかに眠りたまえ」という記事が意味するものをようやく理解することができまして戦慄を覚えました。

 小沢・鳩山を葬ったスキャンダル攻勢がトランプ政権に対して再現されて、選挙と民主主義による改革に対する民衆の根深い絶望にキャピタライズしたその後の日本の展開とおなじことがアメリカで遂行されると・・・

 すでにオバマに絶望していた米国の民衆のメディア耐性を信じたい気持ちに駆られます。
 日本の「政権交代」をメディアと検察を手先とする合法クーデターで葬って日本をまるごとほしいままにした成功体験から、どん底に追いやられているアメリカの民衆を舐めて墓穴を掘ることを。どこかにあちらの弱みをつくカギがないものでしょうか。
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