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ユーラシア鉄道開発情報 2017/12

2017-12-03 21:38:47 | アジア情勢複雑怪奇

イランのチャーバハール港の開発が進んでいる。

チャーバハール港、地域の協力に向けた機会

http://parstoday.com/ja/news/iran-i37351

オマーン海、イラン南東部の沿岸に位置するチャーバハール港第1フェーズが、イラン大統領と世界27カ国の関係者が出席する中、3日日曜に開港しました。

 

で、困るのはこういう視線。

イランにインド支援の港 中央アジアに直通路、影響力強める中国牽制も

http://www.sankei.com/world/news/171203/wor1712030045-n1.html

 【ニューデリー=森浩】イラン南東部チャーバハールでインドが資金援助した港が完成し、3日に開港式典が開かれた。これによりインドは対立するパキスタンを迂回し、イラン経由でアフガニスタンや中央アジアへ通じる入り口を得たことになる。インド洋への進出を狙う中国を牽制する意味合いも強く、域内で中印の主導権争いが激化することになりそうだ。

 

実際そうだし、インドの外相なども平気でわいわい言いそうな感じのところはあるのだが、しかし、何よりもまずそこに視線が行くのは、間違いでしょう。

でもって、イランは中国との関係を台無しにするようなことはないから、まぁ、産経がウキウキすることにはあんまりならないだろうと思うし、そう期待する。なんでもかんでも中国包囲網、中国包囲網とおまじないのように言ってきた結果を見ろよと言いたいですよ、ほんとに。

 

で、イランの開発ではもう一つ。

地政学ファンの人なら、見ただけでドキドキしちゃうこの図。南北回廊の図。

赤が現在進められている南北回廊で、青が従来の海洋ルート。

どう考えても赤の方がロシアやインド、イラン、アゼルバイジャン等々にとって好都合。

そして、イギリスが抑えてきたチョークポイントの価値が減少するというのがこのルートという含みもあるわけですね。ここで書いた話。

シーア派三日月地帯もGIUKも、もうワヤですわ

 

このルートは、ロシア、アゼルバイジャンあたりはすでに普通に走ってる鉄道を使うので問題ないのだが、問題はイラン。イラン北部に繋がっていないところがあって、そこを現在繋げているようだ。最近見た記事によれば、来年3月に開通できるという話。

https://financialtribune.com/articles/economy-business-and-markets/75966/north-south-corridor-to-become-operational-by-march-2018

ルートの経済的実行可能性、効率性はすでに実証済みとつい先だってもプーチンが語っていたこと。

ロシア、イラン、アゼルバイジャン@テヘラン

 

上の地図の、 バンダレ・アッバース(Bandar Abbas)が現在イランの貨物の大部分を裁いている港で、ここが混み過ぎるのでチャーバハール(ずっとパキスタン寄りのところ)の開発が来て、しかしイランの制裁などなどいろいろあってなかなか進まなかったがようやくここまで来た。

だから、今度は、この両方の港の周辺を整備することになるわけで、ここが結構お金がかかりそう。イランの整備待ち。と考えると、いかに、イランへの制裁が、「効いてる」かってところですね。

チャーバハール港は、太平洋を航行する船舶の寄港を可能としています。この港の第1フェーズの開港により、イランのすべての港の荷役許容量に相当する可能性を持つ港が活動することになります。チャーバハール港に通じる鉄道や道路の敷設が進められており、チャーバハールは、3年以内に、鉄道によってイラン南東部の都市ザーヘダーンや全国の鉄道網と結び付けられることになります。

http://parstoday.com/ja/news/iran-i37351

 

これに中国とロシアが手を組んでる東西路線を加えると、ユーラシアの国際鉄道網は本格化してますなぁって感じ。地道に進んでますからね、

紫はトランス・シベリア。いわゆるシベリア鉄道。
緑は、モスクワ・北京の高速鉄道。
赤は、チャイナ・ヨーロッパ・ブロックトレイン

 

日清、日露を通じて日本にとって因縁の東清鉄道は緑と紫の真ん中あたり。しかし趣旨としてはこの緑のことだったでしょう。ロシア、欧州とチャイナを結ぶということ。

で、産経がぶいぶい言っているのでもわかるけど、こうやって中国を封じ込めるのだとか言い出して、南シナ海を安全保障を盾に問題の海にして、そこからインドを東アジアと同盟させて、みたいなことを考える奴らがいるから、それじゃいつまでたっても海側に弱点を握られるだけだ、よーし、内陸部の強化だ、となって、ユーラシア内部の鉄道網整備が加速して、ぐいぐい実現されていく。

昨日、SCOの来し方を振り返ったけど、ロシアもあわせて考えるに、内陸を崩そうという試みが見事にバックラッシュしたという話だわなぁってところ。

 

日本には相応の資産も製品もあるから、すべてがダメになるとか負けるとかいう話だとは私はまったく思ってないんですが、しかし、それよりも、10年か15年ぐらい、中国崩壊、ロシア破綻、朝鮮なんだっけ(笑)、なんかとにかく没落、とかいうそういうメンタリティーを国民に植え付けまくったのは、ものすごいマイナスだったと思う。

これは、誰かの不幸を願って待っているという姿勢なんですよ。こんなものの考え方が良い影響を与えるわけがない。


 


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6 コメント

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『解放されるイランロシア』 (ローレライ)
2017-12-04 07:06:20
『チャーバハール開発』は『イランロシア封じ込め』を解く政策で『イギリス海軍のロシア封じ込め』を解体するのが『解放されるイランロシア』と言う事になる!
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Unknown (蔵権)
2017-12-04 09:11:29
東西冷戦の最も激しい時期でも、東西ヨーロッパ間の鉄道は直通運転を継続していたし、中ソ対立時の北京とモスクワも直通列車は毎日走っていた。鉄道には関係国間の交流を継続し、対話と協力を促すパワーがある。南北朝鮮が2000年代の関係改善で最初に京義線を繋げたのも象徴的な意味合いだけでなく、関係をマイルドにする効果を狙ったものだったんだろう。

だから西側はぶっ壊したい。東南アジアは中国と繋げる前に西側主導でASEAN諸国間の路線網を完成させて域内の交流のみに閉塞させる。北陸地方は歴史的に西側の文化圏で、関西圏や名古屋圏との交流が盛んな地域だったが、北陸新幹線の東側が先に完成したので、就学も、就職も、観光も、ビジネスも東京方面に向くようになってきた。西側チームの日本としては一帯一路が完成する前にASEANとインドを取り込んでこちらに向かせたいところ。

日本の鉄道輸出はマレー作戦のような進出ルートを辿ってる。
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閉鎖させようとしても無理では (ブログ主)
2017-12-04 14:58:01
蔵権さん、
大変優れたコメントをありがとうございます。

タイ、マレーシア・シンガポール、インドって、ほんとに太平洋戦争ですね(笑)。でも、いずれにしても中国と切り離せ!というのは無理だろうなぁって気はします。ASEAN、インドは全方位で行こうとしているだろうし。
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ドイツも喜んでいるでしょう (ブログ主)
2017-12-04 15:01:10
ローレライさん、

そうそう。封じ込め外しの要素がとても強い路線ですよね、これ。ロシアというよりドイツがとても喜んでいるような気がするんですよね(笑)。

でもドイツはそう気楽には喜びを表現できない一方で、インドがかなり喜んでいるのが目立つというのも面白い。インドはフリーだわ、ほんと。
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大英帝国の呪い (蔵権)
2017-12-05 14:19:37
>閉鎖させようとしても無理では

たびたびコメント欄に書かせてもらいましたが、ASEANはレール幅1067mm、中国はレール幅1435mm、ASEANと一帯一路は鉄道システムの核心部分が決定的に異なる仕様なので、絶対繋がらない仕組みで出来ています。基軸幹線がゲージで寸断されているのは鉄道として決定的な欠陥で、接続駅でのコンテナ扱い、台車交換の処理能力がボトルネックになって、鉄道の持つ大量高速輸送の特性が半減以下に低下することを意味します。たぶん、中央アジアや東南アジアの実体じゃ10分の1以下とかのレベルに下がると思います。

で、ここで面白い話をひとつ。

日本がASEANとインドで肝いりにしているのは1067mm(ASEAN)と1676mm(インド)の既存路線の改良計画(新幹線は除く)。中国がAIIBで各国に手を入れているのは1435mm新線の新設計画。日本が改主建従で、中国が建主改従の鉄道輸出に力を入れている形ですね。つまり日本は各国ゲージの分断を維持する姿勢を取っています。最も日本が輸出する新幹線は1435mmですが、新幹線は専用設計の電車列車しか入れない仕様で、路盤が機関車や重量貨物の走行に耐えられないので、まーいいんじゃないですかね。

ちなみにこれと同じ現象がバルト三国でも起きていて、バルト三国ではEUが1435mmの建主改従で、1520mm軌道の改主建従を支持する親ロシア派とで綱引きが起きてます。
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バルバロッサ作戦では (И.Симомура)
2017-12-07 03:31:21
昔レニングラードからスロヴァキアのブラチスラヴァまで厳寒二月に鉄道で旅をした.ポーランドの列車で,ワゴンには私とゲルツエン大学のポーランド人女学生のただ二人.レニングラード夜の11時発で,車掌はもう酔っていた.同国は戒厳令下にあり,酒でも飲まないとやってゆけないのだろうと同情した.見送りに来てくれた,コミ人の友人は流麗なロシアで彼を罵っていた.各客車には石炭ストーブと湯沸しが備わっており,熱い茶を飲めるようになっているが,この車掌はそれを炊いていない.恐ろしく寒くて,出発してすぐさまウオッカをあおるほど.寝具は使用済みのもの.ロシアの列車では絶対にありえない.朝車掌に弁当を頼んだところ,それは個人で用意するべきものとの返答.教育大の女学生さんが恥ずかしそうに,サロやチーズを挟んだライパンをもってきてくれ,ポーランドは戒厳令下で店頭には酢しか残っていないのだとこぼしていた.レニングラードの母国領事館で母国政府からの奨学金を受け取り,ロシアで肉と乳製品を大量に買い入れ,故郷のビアウイストックに帰省するのだ.あなたは外貨をもっているから,何も不自由は無い,闇市場(自由市場のこと)では何でも買えるのだと.列車はラトビアとリトアニアを経由したのかな.白ロシア共和国とポーランドとの国境地帯で台車の交換があり,同時にソ連国境警備隊(KGB所属)による客車とコンパートメント内部の検査が行われた.客車の前後の扉が施錠され,我われは廊下で待たされる.兵士は制服将校指揮のもと,寝台下の箱,天井の点検孔を開き,天井裏を覗き込む,客車の下を調べる,周りには軍用犬を伴った兵士が取り囲んでいる.黒いオーバーを着た私服の将校が旅券とビザを検め,ルーブル持ち出しは禁止であることを告げる.自分は再びソ連に入国するのでこれこれの額は持ち出したいと頼むと,あっさり許してくれた.トランクに東亜研究所所蔵朱印のある,入村大尉(著)参謀本部校閲『赤軍兵語集』を目敏く見つけ,大祖国戦争当時の書物ですねと興味津々と頁をくくる.半世紀前の本の上質の紙に驚いている.この辺りは激戦地でしたと,一転うちとけた話しぶり.ファシスト軍は台車の交換作業で大幅に兵站を停頓せてしまったのです.貨物は兵器だったのですか.兵器と秣だ.秣ですか!そうですよ,数万人の輜重輸卒と十数万頭の輜重馬がバルバロッサ作戦には投入されたのですよ.馬は従順な動物でね,戦闘にまで投入され,斃れ最後にはファシストに食われてしまったのです.…こんな会話だったと覚えている.天才揃いのドイツ参謀本部も台車交換の苦労を考慮していなかったのですね.兵語集を差し上げます.私の恩師からいただいたものです.別れ際彼は新聞に包んだ弁当を渡し,ソ連を好きかと訊いてきた.オーチェニ!握手して別れました.列車はバッファーゾーンから曳き出され,ポーランド領内に入った.おしゃべりのポーランド国境警備将校が入って来て,開口一番「牢獄国家から脱出してきましたね」と.彼の関心は専ら発売されたばかりのオートフォーカスの写真機だった.
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