DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

ロシア、イラン、アゼルバイジャン@テヘラン

2017-11-02 13:52:59 | アジア情勢複雑怪奇

ロシア、アゼルバイジャン、イランの首脳がテヘランに集まって会談をしていた。

何か緊急の課題があったというわけでもないような気がするのだが、これで2回目、来年はモスクワでやるという話なので、3国サミットを定例化するのでしょう。

プーチン、ローハニ大統領、アリエフ大統領

 

この3国は、いずれも石油、天然ガスの産出国。その上で、北からロシア、アゼルバイジャン、イランと並んだ隣国。さらには、カスピ海沿岸国。

というわけなのでこの塊は、プーチンなんかニコニコしてかわいくしてるけど、実は相当な重量級の3国。で、西側はソ連崩壊直後からアゼルバイジャンをゲットして、ここからグルジア、トルコを経由して天然ガスを送ることによって、やった~!ロシアを回避した、ロシアを通らない!!! みたいなことをやっていたものだった。

その後、そのアゼルバイジャンの天然ガスをヨーロッパに運ぶのだ~!とかいうプロジェクトが立ったが、アゼルバイジャンのだけでは多分足らないということになって、ではイランか、カタールかという騒ぎになったが、いずれも続いてない。それどころかトルコとロシアの直通パイプラインができ(ブルーストリーム)、その上でもう一本トルコ・ストリームを作る。なんだったんだこの30年は、といった趣。

 

■ 天然ガスのイラン北部供給

で、今回の会合では、アゼルバイジャンのパイプラインシステムを使ってイラン北部に天然ガスを流すことを考えている模様。これは前から言ってるよね。

"For example, we confirm our readiness to supply gas via pipeline transport systems of Azerbaijan to the north of Iran, which can be economically feasible for our partners," Putin noted.

http://tass.com/economy/973748
 
イランは南部が油田地帯なので国内で北部に持ってくるより、ロシア側から買う方がいいというのもありでしょう。アゼルバイジャンのシステムを通過させてというけど、ロシア産ガスとアゼル産ガスに違いがあるというのでもないだろうからアゼルバイジャンから送ってもいいわけだよね。
 
で、ロシアとアゼルで何か物品を移動させて、最終的にはその決済としてロシアがイラン南部でイランの天然ガスを受け取る、とかいうのはどうだろう、までは前にも出ていた。
 
私が知りたいのは、で、ロシアはそのガスをどうするの?ということ。私としては、それをロシアが商社みたいになってカタールに口銭つけて売って、カタールは東アジアの既存の顧客に売る、って結構良いアイデアでは、などと思ってみたりもする。そのお客とはまぁ中国と日本のことなのだが。
 
ついでに、いろいろ物騒だからさとロシア海軍がイランの前の海からインド洋をガードするってどうでしょう? そうなると寄港地が必要になるので、インドさん、とか声をかけてみるとか。今後が楽しみ。
 
★後追い
イランの天然ガスをインドに運ぶパイプラインの施設を考えている模様。
 
Russia to build pipeline to supply Iranian natural gas to India 

 
イラン、パキスタン、インドに繋がるもの。
 
これはつまり、トルクメニスタン・アフガニスタン・パキスタン・インドの通称TAPIは結局できないということではなかろうか。多分。
 
TAPIについてはここ。ある種予想通りでしたね。このパイプラインは日本も関係あり。そして、この趣旨は、ロシアもイランも入れない、というものだったんだと思う。またかよ、ですが。

日中間、各大本営は食い違っているようだ&TAPI


RTのも詳細といったものではないし、現状は、イランとロシアのメモランダム止まりなので、続報を待ちたい。
 
 
 
■ 南北回廊

さらにこの3国は、鉄道輸送網としての南北回廊を形成中。
 
 
 
プーチンはこれについて、
 
既に去年から、インドからイラン、ロシアへの輸送はテスト済み、このルートの経済的な実行可能性、効率性は実証済み、と言ったようだ。これは去年インドが喜んでいたドライランもこの話なんですかね。多分。

"We have discussed important issues concerning stability, the fight against crime and terrorism, but of course, economic matters topped the agenda," he said. As an example, Putin mentioned the North-South Transport Corridor, which "has already been tested, since last year, the first deliveries began from India to Iran, Russia and further on." "This route has proved its economic feasibility and effectiveness," Putin stressed.

http://tass.com/politics/973755

 
多分、多分問題は、モスクワと欧州側の問題では? またぞろ、ロシアを回避する~というトレンドが作られているでしょう。多分、ドイツ、バルカン、トルコ、アゼルバイジャン、イラン、にすればいい、そうすればモスクワを回避できる、ぐぁははは、みたいな。しかし、私が思うにそれは多分、大量輸送としては、南北回廊に勝てないのではなかろうか。そして、イランがそれを飲まなかったら話はそれで終わり。つまるところ、またまたロシアを回避するパイプラインと同じように何十年も無題にすることになる。
 
どうなるでしょう。これは多分そう遠くないところで決着するのではあるまいか。

 

■ 協力体制は結構強そう

しかし、そのぐらいのことでこの地域の不安定化を諦めるようなthe West ではないことはこの地域の人々は良く知っている。

イランのアリ・ハメネイ師は、プーチンとの会合で、

シリアでテロリストを支援する米国主導の連合が敗れたことは、否定的できない現実。しかし、彼らはプロットを生み出し続ける。

と言っている。笑ってしまいますね、そういうものだと思ってるんだよね、このへんの人たちは。

“The defeat of US-led coalition supporting terrorists in Syria is an undeniable reality, but they keep hatching plots,” Ayatollah Khamenei said in a meeting with Russian President Vladimir Putin in Tehran on Wednesday.

http://www.presstv.com/Detail/2017/11/01/540638/Iran-Leader-of-Islamic-Revolution-Ayatollah-Khamenei-Russian-President-Vladimir-Putin

 

で、この3国で問題なのは、まぁアゼルバイジャンなわけですね。ここは西側に取られている国だから。いろいろ協力するだろうけど、ロシアは、基本はそうだと思って付き合っていると思う。アゼルバイジャンが悪いってんじゃなくてもうそれはそうだってところをくみ取りながら、マージン付けて付き合うみたいな。

とはいえ、ここにイランが加わると、ロシア単体より俄然有利になりそうな気配がある。

アリエフは、アゼルバイジャンのイランとの関係を強く支持し、アゼルバイジャンは第三者にこの関係を傷つけるようなまねはさせない、と言ったらしい。ハメネイ師に言わされたという気もするが。

その上でハメネイ師に、

イランとアゼルバイジャンの密接で兄弟のような関係を邪魔しようとするものがいる。我々はそういう誘惑や妨害行為に立ち向かって、協力を高めるべき。

と念押しされた模様。


“There are some opposed to close and brotherly relations between Iran and the Republic of Azerbaijan, and we should stand up to their temptations and acts of sabotage and boost cooperation in different sectors with double will and motivation,” the Leader said.  

 

http://www.presstv.com/Detail/2017/11/01/540638/Iran-Leader-of-Islamic-Revolution-Ayatollah-Khamenei-Russian-President-Vladimir-Putin

 

ここらへんの文化問題もとても興味深い。イランがしっかりしてきて、国際政治に声を出せるようになるといろいろと面白い。

 


 

 


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« イラン周辺の米の基地のマップ | トップ | なぜかアゼルバイジャンの名... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
『忘れさせられる印パ戦争』 (ローレライ)
2017-11-02 15:14:09
『忘れさせられる印パ戦争』パキスタン軍、インド軍の中国製ドローンを撃墜DJIのドローン。トルコのアナドル通信社によると、パキスタン軍の報道官は10月29日、インド軍が停戦協議に違反したため、大型武器でカシミール地方ラワラコット県Rakhchikri村の住民を攻撃し、2人が死亡、1人が負傷したと発表した。カシミール地方の実効支配線付近のRakhchikriでインド軍のドローンを撃墜した。japanese.china.org.cn/politics/txt/2017-10/31/content_50049163_7.htm
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年10月31日から☆
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事