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10万人説、新START協議中止 & ナチその2:バルビー

2022-12-04 17:19:32 | WW1&2
今週は、世間ではサッカーの話題が大きかった。過去30年ぐらいを「失われた30年」などと言うけど、その中でサッカーは進化した。

30年前にはまだプロのリーグはないし、プロのリーグが出来た時にはまだワールドカップに出場できるか否かで競っていた。いわゆるドーハの悲劇は苦い苦い経験だったが、今振り返ってみれば実際選手層が薄く、大きな大会に出るまで勝ち抜くにはまだだった、と、どなたかサッカー関係者の方がおっしゃっていたけど、そうだったんだろうなと私も思う。プレー人口もファン層も今から考えれば薄かったと思う。

その後いろんな伸長があって今では、決勝トーナメントに出るところまでは特に不思議とも思わないようなことになった。進歩した、ほんとに。

ただ、FIFAの方が30年前とは比べられないぐらい俗悪な組織となり、サッカーの政治利用も目立ちすぎて、昔ほど人を引き付けるものではなくなるオッズは高い。


■ 10万人の犠牲者と言い出した

ウクライナの今週は、ドンバス西部の紛争地帯となっているあたりでロシア側の支配がじわりじわりと進んだことが目立った。アルチェモフスク(バフムート)あたりが突破されるとウクライナ側が勝手に仕掛けた塹壕戦が持ちこたえられなくなる時間が迫っている。

現実問題、もうなんてか、悲惨の一言。

そんな中、EUのあの邪悪なおばさん(バンデルライエン)が、ウクライナではこれまでに10万人の犠牲者が出ている、といったことをスピーチの中で言った。正確には、「100,000 Ukrainian military officers」といった(英語でいった)。これは、10万人のウクライナ将校と読めるわけで、それはいくなんでも変じゃないのか?ということになっている。が、いずれにしても、今まで、ロシア軍は壊滅的な打撃で、ウクライナの犠牲はたいしたことはないみたいな素振りを見せていた西側首脳陣が10万という数を出してきたのは驚きをもって迎えられた。

しかし、1日経ったか経たないうちにその動画は削除された。

削除されたって残るわけであちこちで再アップされている。100,000 Ukrainian military officersで検索するとたくさんの動画が出てくる。

 

私が見ている限りでは、10万というのはかなり控えめな数字だと思う。

また、ポーランドでこの間葬儀をすませて埋葬された数として1200人という数が出てきたが、それも多分控えめではないのか・・・と思う。軍籍を離れて参加してるが実は現役の軍人の場合など、そう大っぴらにするのか?という問題も残るし。

それに対してロシアの方は、4州の9月までウクライナだったところを合わせて1万弱ぐらいがKIA(killed in action、いわゆる戦死)だろうと言われている。前から言っている通り、このうちの大多数は春先のもので、そこからは、命を大事にしましょうの方針のもとに、しばしば撤退して再編してを繰り返ししているのがロシア軍。

犠牲者数がこんなに開いていいのか、といった紛争なわけで、だからこそ、気が付いている人たち、特に元軍人が西側首脳を批判するわけね。こんなのやらせる高級将校は落第だ、軍法会議ものだろうetc.となる。

にもかかわらず、西側諸国、特にUKとUSが、ウクライナ人をかっさらっていって「訓練」を施し、兵隊さんとしてさらに投入する。

 



アメの方もウクライナのトレーニング・プログラムは拡大、延長されている模様。

First on CNN: US considers dramatically expanding training of Ukrainian forces, US officials say


こんな話しばっかり。ウクライナ人で真正ナチ以外の人に求められるのは、地理を把握して、なんとしても投降できるきっかけを逃さないことですね。


■ でも引かない

で、USの耄碌爺やら、薄気味悪い邪悪の化身みたいなブリンケンは、ロシアが引け~と偉そうに言ってる。

 


今さら復習しても始まらないですが、西側首脳陣にとってはウクライナ人とは、ウクライナ地域に住んでるスラブ人、特に東ならそれはロシア人なわけですから、ここで殺し合いが起こるのは万々歳でしょう。ポーランド人が投入されていることの意味も同根。

ナチその2は、本家ナチのフィールドに戻っていよいよもって残酷になった。


■ 新戦略兵器削減交渉協議、中止 

また、今週は、ロシアとアメリカの間で行われていた新戦略兵器削減交渉の協議をロシアが中止すると発表。


根本的に、既に軍事紛争になっている中で兵器の削減交渉をしましょうというフレームワークに無理がある。でも、米ロ間で残された数少ない対話チャネルではあった。

戦略兵器において優位に立つロシアからすれば、条約体制にして互いにインスペクトしあう体制なんて、信用のある間柄ならともかく、今やる意味なんかまったくありません、多少あるかなと思って対話しましたがダメだったので、今回はさよならです、といったところでしょうか。

残るところは、ロシアが核兵器を使う、狂ったプーチンがこれするあれするのネタとして使うぐらいでしょうが、それはまったく実のない話し。


■ 「ナチその2」:クラウス・バルビー

毎週恒例の、「ナチその2」の時代でございますが、今週は思いがけないところでクラウス・バルビーの名前を聞いた。

ジョージ・ギャロウェイ という元イギリスの国会議員で反ネオコンの戦争で名高い人と、ラリー・ジョンソンという元CIA、国務省の人が話している中で、聞いた。

そもそもこの対話自体とっても異色。ギャロウェイはいわゆる左の人、ジョンソンは右の人。

INTERVIEW: War is over if you want it. Ex-CIA man #LarryJohnson predicts it will be over by #Xmas  


だけど、ジョンソンが自分のサイトで言っているように二人には共通点がある。年が同じくらいだという点と、現在のthe Westの戦争方針が邪悪で、我々はとめなければならないものだと考えているという点。

こういう感じは他でも多数あって、スコット・リッターもいろんな人と対話してる。


で、この中で、ギャロウェイは、ウクライナがバンデラを英雄視していることを問題視して話しをふる。するとジョンソンも、まったくそうだと受けて、

ナチというのがどうにかこうにか過去のものとなったという考えそのものが嘘で、それは現在もあり、とても現実で、私たちは全力で抵抗すべきという認識を示す。(3分30秒あたり)

ギャロウェイは、USもUKもナチズム、ファシズムに抗した側だったはずじゃないか、それなのにウクライナでナチと組んでる、それについてCIAとか国務省の人たちはなんとも思わないのかと問う。(ギャロウェイは優れた聞き手)

ジョンソンは、米はとてつもない無知が横行しているから考えもしないんだろう、と、そして、そもそも、OSSからCIAになる頃(つまりWWII後)、だって、クラウス・バービーを採用するようなことをしてるんだよ、バービーはゲシュタボだよ、と言い出す。

そして、その流れで、ソ連の働きなしにUKとUSがドイツに勝つというのはありそうになかった、とも言ってる。

これは、さりげなく言ってるけど、現在の西側の主流ナラティブに真っ向から反対してるという点で、まったく貴重(しかし70年前には、それはそうというおじさんが多数だっただろうに)。


■ クラウス・バルビー

ということで、先週まではドイツのゲーレンの周辺のことをしばしば書いていたけど、西部戦線のゲシュタポのその後の話しも重要だわね。



クラウス・バービーは、ドイツの親衛隊員で、「リヨンの屠殺人」 として知られている。ヴィシー政権下のリヨンで反独レジスタンスを潰すのがお仕事。

日本語版のwikiによればこんな感じ。

1945年5月の終戦までの間に、ヴィシー政権下のリヨンで反独レジスタンスを鎮圧する任務に就いており、8,000人以上を強制移送により死に追いやり、4,000人以上の殺害に関与し、15,000人以上のレジスタンスに拷問を加えた責任者とされている。しかし実際には、この数字をはるかに上回る数のレジスタンスのメンバーやユダヤ人を虐殺した責任者と考えられている。また、孤児院に収容されていた44人の子供の虐殺に対する責任者ともされたほか、レジスタンス指導者だったジャン・ムーランを逮捕し死に追いやったとのちに供述している。 


で、我が世の春は終わって、ドイツが敗北で終る。ということは、このゲシュタポ野郎は直ちに不利なポジションに置かれて、犯罪者となるか、民衆の中でつるされる、といった目にあうはずだった。

フランス政府はバルビーを追いかけていた。が、しかし、アメリカがこの人を保護し、1947年からは正式にアメリカ陸軍情報部隊(CIC) の工作員となる。

そこから、1951年にボリビアに移住し、変名で暮らす。おとなしく暮らしていたわけではなくて、ボリビアの軍事政権で治安対策アドバイザーを務める傍ら、南米における反共的、反左翼的がやりそうな一式に従事していた。

そしてひょんなことから1972年にこの実業家を名乗る男の身元が判明し、本人も認める。それどころか、ボリビアのテレビに出て、世界的にも知る人ぞ知るの出来事になっていたらしい(私は当時を知らないのでどのぐらいなのかわからないけど)。

そしてボリビアのテレビに出演して、親衛隊員の過去を礼讃した。世界のマスコミが騒然となりボリビアに殺到した。バルビーはマスコミに回想録を売りつけ、戦後、西ドイツのゲーレン機関に関係していたことを暴露して、世界を驚かせた。またバルビーは「戦争犯罪と考えられるいかなる行為にも関わっていない」と強く主張した。 

その間フランスは一貫して身柄の引き渡しを要求していたが、ボリビアがアメ庇護下の軍事政権である間は引き渡しは行われなかった。

が、1982年にボリビアで政変が起き軍事政権から社会主義政権となったことで、フランスに引き渡される。(上の写真の左がその当時のものらしい)。

その後、1984年からフランスで裁判が行われ、3年後結審して終身刑となり、数年後獄中で病死。


■ 中南米とナチ

言うまでもなく、バルビーはたった一人の例外ではない。長らく人々が語ってきたように、ナチの官僚、軍人は多数が無罪放免となり、南米に行った。

ここで、はたと、しばしば、ヒトラーは生きていた、アルゼンチンで、みたいな、いわゆる陰謀論が語られてきたことを思い出す。

これって、思えば、distraction(注意をあらぬ方向に向けさせること)じゃないのかしら。重要だったのはヒトラーじゃなくて、本当は、アメリカが許容した戦犯逃れの一団の話しではなかろうか。主たる動機は、惨たらしい仕事を平気でできる反共人脈の中南米への移設でしょう。

そして、1カ月ぐらい前に書いた、Philip Ageeは、中南米工作の惨たらしさに嫌気がさして、CIAの行動に対する告発者となった最初のメジャーなケースだった、という記事もみつけた。なるほど、というところ。

USはドイツの対ソ戦争を引き継いだ by Philip Agee(1991年)


■ コンキスタドール

となると、今週話題になったEUのボレルの発言を見過ごすべきではないのかもしれない。

ヨーロッパはガーデンで、その他世界はジャングルだと言い放ったEU上級代表兼欧州委員会副委員長のジョセップ・ボレルは、今週、ラテンアメリカの公人を前に、

「コンキスタドールのように、我々は新しい世界を生み出さなければならない」と言った。

 


どうコメントしていいのかわかりません。


■ 今後の考察へのメモ

まったくまとめにならないんですが、どうあれ、冷戦時代とはナチその2だった、という仕組みが明らかにされてきた、とは言えるんだろうと思う。

そして、並べて考えてくると、多分、西側謹製ホロコーストというのが、冷戦後半からこっちのストーリー展開にとって、かなり重要な働きをしたのではなかろうか、と思わされる。

つまり、1945年に大きな戦争が終わった時、多くの人々は、これで戦争が終わったと思い、その中の主たる意味は、(極東ではもっと多様なんだが)ヨーロッパでは、ファシスト勢力が負けたことに安堵した、というものだった。

この戦争は1939年からのものではなくて、もっと前からの妙な動きの集積の上にあったし、結果的に出てきたファシストどもときたら、産業的大量殺人といった趣で言うことを聞かない人たちを捕縛しては収容所送りにする、弾圧する、拷問するという手法を取っていた。それが終わって安堵しない一般人はいない。

ドイツ、ソ連軍捕虜の記録をロシアに渡す&産業的大規模殺人


それを、冷戦期に、全体が共産主義との戦いというイデオロギー対立であったかのような話しとして提示され、次に、冷戦後半になると、あの大きな戦争時代があたかもユダヤ人問題のような話しになって現在に至っている。

この、どこで起きたのかよくわからないドイツとユダヤしか登場しない西側謹製「ホロコースト」物語は、ソ連の人たちの死を無視するためであっただろうと思われる(そうでないのなら、なぜナチの蛮行を語る人がソ連の人の死を同じように語らない?)

それを、プーチンが枠組みを明かして、世界ホロコースト会議で表明


西側謹製ホロコースト は、よくて話半分、使われ方としては悪意に基づく嘘。

ということは、春先にラブロフがヒトラーとユダヤの話を持ち上げ、それに対してBBCやイスラエルの報道機関が怒り出したという出来事は偶然ではないのだろうと思う。

5月2日にBBCはこんなことを書いていた。

「セルゲイ・ラブロフは、ロシアがウクライナを「ナチ」と描くことを正当化しようとして問題のコメントをした。ウクライナはユダヤ人が大統領だというのに」

Sergei Lavrov made the comments to try to justify Russia's portrayal of Ukraine as "Nazi" despite the fact that its president is Jewish.
https://www.bbc.com/news/world-middle-east-61296682

「ウクライナはユダヤ人が大統領だというのに」なんて関係ないだろう、って話しですからね(笑)。

だけど、ユダヤをつけておくと防波堤になると固く信じているのが現在の西側主流集団なんだろうと思う。だがしかし、それはもう壊れたし、もともと旧ソ連圏ではまったく通用していなかった。

 


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4 コメント

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西側の世界征服運動がナチとシオニズム! (ローレライ)
2022-12-04 19:44:44
西側陣営キチガイ世界征服運動からナチとシオニズムが生まれ,ロシアやアラブ南米はその犠牲者!
だから西側陣営は復讐を恐れる。
返信する
そうだと思う (ブログ主)
2022-12-04 21:08:55
ローレライさん

簡潔なまとめありがとうございます。

そう、フェーズとしては暴露と復讐を恐れているんだろうなって感じがしますね。

特に、ロシアがイスラム圏とかアフリカ勢と昵懇になっているというのは、基地外集団にとっては脅威でしょう。
返信する
Unknown (一読者)
2022-12-04 23:56:37
最近話題になったニューズウィークの「ロシアの日本侵攻計画」なる記事、実は「プーチン首席エクソシストに任命」を書いたのと同じ記者で、フェイクニュースを書いた廉で“あの”FOXを追放された方との事。ニューズウィークも堕ちたなあと思いました。なんかもうロシアに都合悪ければどんな馬の骨が書いた与太話だろうが何でも載せるんですね。さらに言えばその記者、悪名高い「大紀元」の現役記者だそうで…反露と反中が思わぬところで結びつくという例でした。まあ中国やイランの狙ったかのようなタイミングの同時多発的なデモで明らかなのでしょうが。
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Unknown (三多摩)
2022-12-05 13:31:35
リヨンという地域は虐殺がなんでそんなにあるのか?フランスのジョゼフ・フーシェも「リヨンの虐殺者」と呼ばれていたし。
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