化学兵器によって子供たちが犠牲になったのだという話を誰がどこで、どう証明しているのか、そもそもどんなガスが使われたのか、そんなことも全くわかっていない状態で、英米仏が総力挙げて国連で一芝居うって、それを世界中のマスコミがだーーーーっと流しまくって、アサドは自国民をサリンで殺すとんでもない政権だ、そうだそうだ、アサドを倒せ、というところでトランプは主権国家シリアに対してミサイル攻撃を行った。つまり、一方的に開戦している状態。
(ということは、シリアはアメリカ本体に対して報復を行う権利を有しているのではあるまいか?)
そんな中、ロシアのザハロワ報道官の会見がとても面白かった。Inessaさんという人がずーっと様々なロシアの映像に英語キャプションを付けてくれているのだが、これもその一つ。
Syrian Gas Attack is a Lie - "Stop Your Governments!" - Russia
ザハロワさんは、CBS(アメリカ)の記者からの質問をきっかけに、そもそもそのサリンがどうしたという事件は調査されていない、シリアの化学兵器に関するエクスパートは存在し、OPCWという国際的に認知されている団体になっているがその人たちは呼ばれていない、この状況こそ大問題だと語る。シリア政府が拒んだという話も聞かない、と。
その後この記者は、でもそのサリン問題が起こったところは危険なので行けなくて・・・などと言い出す。
するとザハロワ報道官はこう答える。
- 危険だから、適当な偽情報で政治的な判断をするわけですか?
- 危険です。そうです、イドリブ県は確かに危険です。ではそこには誰がいるのでしょう? 彼らは西側が「moderate opposision」(穏健な反体勢派)と呼んでいた人ではないですか?
語るに落ちたってやつですね。
最初からわかっていたことではあるんだけど、こうして質問、反論が繰り返されるとこの事件のバカさ加減が確定する。やっぱりこういう対話は重要。ロシアは理性的に健康でいいよなぁとかマジで思う。嘘と芝居が好きすぎて無茶苦茶になってる現在のアメリカではもうこういうことはできない。アメリカは文明的に孤児になったなぁとあらためて思う。「問題ない」以外の言葉を知らない官房長官が厳然と存在できちゃう国では基本的に対話の中から真理を導く出すことへの是認、風習がないからなぁ。このへんはいつかまた書きたいが。
で、言うまでもないのだが、サリンだかなんだかの化学兵器が使われ子どもたちが犠牲になったという事件が発生したのはイドリブ県。そこはアルカイダを含む、アレッポを追い出された人たちが落ちて行った先。で、ここはシリア政府のコントロールが及んでないといっていいところ。
宴の始末(24) アレッポ解放
つまり、西側からすればお友だちの場所でしょ? そこに誰も行けないんですか、と。
そして、トランプ政権は、イドリブを攻撃するのではなくて、ISを含む外国勢力と戦っているアサド率いるシリア国軍の基地であるホムスを攻撃した、と。
米軍の行動はまったくのアルカイダ支援です、という話。わはは。
でもって、こういう展開になることが嫌だからこそ、
サリン事件→国連で英米仏大使、白熱の熱弁→米軍ミサイル発射→やったー、大戦果!
を、短期間のうちに終了させたんだろうね。
ということは、一つの小さな可能性として、現地勢力の暴発を一時抑えるために、無駄な空爆で弾幕を作った、終わり終わり終わり、このフェーズ終わりーーー、ということもありなのかも、とちょっと脳裏をよぎる。
空爆がシリア軍に与えた打撃が小さいことの理由もこうならわからないではない。滑走路は無事だし、破壊された航空機も古いミグ9機とかいう、勇んで攻撃したにしてはあまりにも馬鹿げているし。空爆は各国に事前通告され、ロシアにも通告されたらしいのでそこからシリアに話は一応通ってたが、現地で全員撤収はできなかったという事態も考えられるんじゃないですかね。
現地勢力とは、アルカイダ勢力とその後方支援の民間人、アルカイダ使いのCIA、現地米軍、といった、アレッポから落ちて行った勢力の総合体。「アレッポ残党」と呼んでみよう。
もしそうなら、テロリストらに屈しているのは英米仏だ、って話で笑えないんですが、しかし、去年9月のような、現地米軍が直接シリア軍を攻撃する事態は避けたかった、みたいな。
これこれ。
ロシアのラブロフ外相とアメリカのケリー国務長官が苦心惨憺で作った停戦合意は、正式な実行まであと2日というところで、破綻になりました。
どうしてそうなったかというと、アメリカ軍機がシリアの正規軍を空爆して、60人から80人ぐらい(報道により幅がある)を殺傷、100人程度に怪我を負わせ、その上その直後からISISが行動に移したから。
つまり、アメリカ軍は今やISISの空軍だ、という事態が発生している、と。
宴の始末(10) ISIS・アルカイダのために戦うアメリカ
このアレッポ残党を誰がしっかりコントロールできているのかと考えると、謎の部分も多いのではないかと思える。
いちおう、ロシアのメディアは米によるフルスケールのシリア侵略もあり得る!とかいったトーンを報じたりもしている。確かに用心は必要だとも思う。
The Worst is Yet to Come? US Nurturing Plan of 'Full-Scale Invasion of Syria'
https://sputniknews.com/world/201704081052435258-us-syria-missile-strike/
ずっと成り行きを見ていて思うのは、シリアに展開しているそれら残党は、私たちが知っているよりもずっと酷いことになっているんだろうな、など思う。
確かに、あれは東京の事件がなかったら河野さん犯人説のまま一人歩きしていた確率は高かった。一体だれが仕切っていたんでしょうね。マスコミってほんと、世論操作機関なんですね。
ほんとに恐ろしいといいたいところですが、恐怖してはいけないと思うので、バカだ、脳無しだ、基地外だと思うようにしています。
で、化学兵器ですがアルカイダグループ(アルヌスラ等とその派生商品みたいなユニット)が持っているんだと思います。そして彼らがイラク相手に使ってるというニュースは前に出て来たと思うんです。供給先はトルコ経由。だから、「シリアで何度も使われている」のは嘘じゃない。しかし、誰が、を勝手にアサドにしている、ってところが詐欺的。
この事件については、もうロシアとアサド政権による化学兵器の使用ありきで報道がされており、誰が、いつ、何のために化学兵器を使用したかという冷静な検証が殆どされていないことに、恐ろしさと危機感を覚えます。
確たる証拠があるわけではないのに、使用されたとされる兵器の恐ろしさに意識が集中してしまい、冷静さを欠いた軍事行動に突入していくのは、それこそトランプ氏が選挙以前から批判していたイラク戦争と同じではないでしょうか。
ヤフーニュースに、次の記事が掲載されていますが、米軍高官が何故か「匿名で」背景を説明しているあたり、非常に胡散臭いですね
(念のため、URLは省略させていただきます)。
<シリア攻撃>「化学兵器、何度も使用」米高官、背景説明
毎日新聞 4/8(土) 22:53配信
日本っていろいろ試されて来たところなんでしょうね。
それはともかく、ちゃんとした組織や部隊じゃない人たちがキャーキャー言って対応していたとしたら、それって誰かが(これは大丈夫だからと内諾して)振り付けしないと無理っしょ、こういうのは。日本だって長野県警が立ち入り禁止にしてた。そうだやっぱり日本人に聞け!