日本の政界は意味不明なことで揺れている模様。
なんでも、菅直人が橋下徹の何かの振る舞いを、ヒトラーを想起させると言ったら、維新と意味不明な学者?連中が、ヒトラーと喩えることがダメなんだ、タブーなんだみたいなことを言いだしている模様。
聞いたこともないようなことを言っている。
ざっと見るに、この方の意見がまとまっていて、最後の1文以外正しいんじゃなかろうか。
麻生太郎氏の「ナチスを真似て」発言、石原慎太郎氏の「橋下徹氏は若い頃のヒトラー」発言と、菅直人氏の「維新はヒトラー」発言は性質が違います。麻生・石原氏は「ナチ」「ヒトラー」を褒め言葉として使い、菅直人氏は「許容できないも」のとして利用しています。「国際的にNG」なのは明らかに前者。
— 石垣のりこ (@norinotes) January 26, 2022
最後の1文、「国際的にNG」なのは明らかに前者。というのは、判断基準を「国際的」に求めている点で無責任かつ日本にありがちな議論でいただけない。
で、橋下さんをヒトラーと喩えるのが何がそんなに問題なのか全然わからない。
というか、ぶっちゃけ、ヒトラーを作るようにして橋本徹を作ってきたわけでしょ? ヒトラーというのは、ドイツ史の東京大学大学院教授の石田勇治先生 が詳しくご説明になる中で、要するに後ろでみんないろんなことをやっていて、ヒトラーや親衛隊の一部というのは表で演説する「スター」なんだ、とおっしゃっていたけど、まさにそれでしょう。
実際には、ヒトラーというかナチ党を、落ち目になってきても尚支え、持ち上がらせたのは、ドイツの財界やヒンデンブルグなどのドイツ帝国残党の人たち。
その人たちは、一般大衆の前で熱弁振るって支持を得る、といったスタイルに馴染めない。昔の人だし、帝国のエライ人たちなんだから、一般労働者や農民に語り掛ける言葉もない。そこで、ヒトラーさんたちが重宝された。
橋下さんと維新も同じなんじゃないですかね。在阪のテレビ、主流メディアが維新の言い分をあれだけ垂れ流し、「大阪都構想」なんていうとんでもない詐欺商法を住民が否定しても否定してもまだ繰り返し、反省せず、突き進んでいるわけだから、この状況は、そこに「力」がなければ説明がつかない。
ということなので、今回、やたらに怒っているのは、まったくの図星だったからなのかしら?
しかし、図星だったらもっと別の切り口で煙に巻くぐらいの知恵が欲しいものだと思ってみたりもする(笑)。
■ どこの欧米?
この問題でもう1つ気になったのは、これ。「政治関係者をヒトラーに例えることは欧米ではヘイトスピーチ法に抵触する」 ・・・。これ何???
町山智浩さん
— 萱野稔人 (@KayanoToshihito) February 1, 2022
ご質問にお答えします。私が発言したのは、ヘイトスピーチに厳しいフランスやドイツの法規制では、菅元総理のヒトラー発言はヘイトスピーチに該当する可能性があるということです。
以下、少しポイントを説明させていただければと思います。
町田氏他が応戦しているっぽいけど、どうしてこんな嘘をさらっと真面目に言いだすの??
■ 現実のヨーロッパ&アメリカ
いずれにしても、現在のヨーロッパとアメリカでは、ヒトラーといったらいけませんみたいな呑気なことを言っている余裕はない。
なぜなら、ナチズムのイデオローグたちの実動部隊の1つである、SSガリチア(第14SS武装擲弾兵師団)は正しい、我々はそれに連なるものだ、という強い主張を持った人々を、EU&USA+日韓が、強く支持しており、結果的に、ナチズムの英雄視に反対だ、とさえ言えない状況に陥っているから。
まったくもって、笑えない状況です。
SSガリチアの旗。下の写真の中でも見えますね。
SSはナチス・ドイツの国防軍とは別系統で作られた武装集団。国防軍は歴史あるドイツ軍の意識があるが、SSはナチズムに惹かれた志願して入る人たちの組織なので、軍や警察に対する国法による規制の外にあるナチ党の私兵。結局、ヤバい組織となっていくには確かに理由はあった。
ウクライナは2014年のクーデター前から(というより、ナチ支援時代から一貫して)、ステファン・バンデラというナチのコラボレーターを英雄視していた人々が跋扈していたところ。それをそのままEU&USA+日韓豪が仲間にしているので、強い支えを得てさらに蛮行が止まらない。
そこで、こうなっちゃうわけですよ。ある意味、堂々たるもの。2020年とか21年の写真ですよ、これは。
そして、歴史を知る人なら誰でも気づく通り、ウクライナ地方はモスクワを中心とするロシアをヨーロッパ勢が攻撃するための進入路。
したがって現在のNATOは、この人たちに続いているということ。
そして、アメリカもヨーロッパも、日韓豪も、ここのところ毎年国連に提起される、ナチズムの英雄視と戦いましょう(やめさせましょう)という提案に賛成できないでいる。もちろん、提案者はロシア。
2014年に初めて提案されて以来、アメリカ、ウクライナ、カナダがその提案に反対していたが、3年ぐらい前にカナダが折れて、現在、反対しているのはアメリカとウクライナ。欧州、日韓豪あたりが棄権。
賛成:130か国
反対:2か国(アメリカ、ウクライナ)
棄権:51か国
反対:2か国(アメリカ、ウクライナ)
棄権:51か国
赤が「ナチ英雄視をやめましょう」に反対、黄色が判断つかず、緑が賛成。すごいね(笑)
投票結果は
Combating glorification of Nazism
あたりで検索するといろいろ出てきます。
Just two countries voted against the Russian resolution on “Combating the glorification of Nazism & neo-nazism” at today’s #UNGA75.: Ukraine and the US.
— Bryan MacDonald (@27khv) December 16, 2020
Whatever about Ukraine. But America? It now hates Russia so much that it refuses to condemn Nazism just to spite Moscow? pic.twitter.com/HxNHOueYWV
このブログのエントリーはここらへんで書いた通り。
ナチ英雄化問題と西側はケツが拭けないお話 2020
ということなので、現在の日本のtwitter界隈におけるヒトラーと言っていいのか否かの議論って、何がしたいのか全然わからない、不思議な光景。
だけど、ナチズム、ナチ賛美はよくないと判断できない集団だからこうもいい加減な議論がまかり通るのだ、と考えればヨーロッパ&アメと軌道はあってる。合ってどうするんだという軌道だが。
■ 参考記事
ファシズムとの戦い変じてファシズム内左右となる
ナチとは何者だったのかについては、奇妙ないきさつによって世界で一番わかりやすい動画を持っているのは実は日本なんじゃないかと思う。
麻生さんがあまりにもナチシンパの発言を繰り返すもんで、東京大学大学院教授の石田勇治先生が力を込めて、講義をされている。
石田勇治 東京大学大学院教授 「ヒトラーとは何者だったのか」 2016.12.9