今さらだけど、ロシアの外交官をアメリカが大量に送り返して、欧州もそれに続いたという騒ぎもメモしておこう。
追い出したのは、米英とその仲間の国々でだいたい20カ国ぐらいらしい。内訳はこんなところ。
- US - 60
- Ukraine - 13
- France - 4
- Germany - 4
- Poland - 4
- Canada - 4
- Lithuania - 3 (targets 21)
- Czech Republic - 3
- Holland - 2
- Denmark - 2
- Italy - 2
- Spain - 2
- Latvia - 1
- Sweden - 1
- Estonia - 1
- Romania - 1
- Finland - 1
- Croatia - 1
- Norway - 1
Russia Vows Imminent Response: "The US Only Understands Force"
https://www.zerohedge.com/news/2018-03-26/trump-expel-60-russian-diplomats-shut-seattle-consulate
アメリカの多さが目につくわけだけど、これは去年ロシアが600人だったか700人だったかの大量のアメリカ人外交官と大使館職員を追い出して、その上で両国の外交官の人数を同じにするとか言い出したことを思い出せば、まだ穏やかな措置かもしれないとも言える。今回のを史上最大とか言ってるけど、去年の夏の方が明らかに史上最大でしょう。ここらへん、ほんとマスメディアがバカになってて困る。(下のオマケ参照)
イギリスは、あれだけ騒いだんだから、こうなったらロシアにおける自国大使館を閉鎖する、ぐらい言えばいいんじゃないの? あとはエストニア、ラトビアあたりも閉鎖して、ロシア周辺でのMI6他の諜報活動を停止するぐらいの覚悟が欲しい(笑)。
で、このタチの悪い人たちは、ロシアの諜報を防止するのだとか抜かしてるけど、どう考えても事情は逆。壊されてるのはロシアのネットワークではなくて、イギリスの諜報ネットワークだと思うな。
また、これを称して、イギリスメディアは盛大に「世界が連帯した」とか書いてるんだが、アホか、といったところ。世界には200ぐらい国があって、その中の一極が子分を従えて騒ぎでいるだけでしょう。
中国もまったく無反応だし、イランやらパキスタン、エジプトを含むアフリカ勢、南北アメリカ勢もまったく関知してない。
面白かったのはトルコで、トルコはNATOにとっての重要な国なわけだが、その話証拠ないし、うちはロシアと良好な関係を持ってるので知りませんと関知しなかった。
かわいかったのはニュージーランド。ロシアのスパイを追い出そうとはしたんですけど、見つかりませんでしたと担当の大臣がtweetしてて笑いを誘ってた。
度胸があったのは、オーストリアのあの若い首相。オーストリアは、東西の橋渡しになりたいのでやめときます、といってやめた。スロベニア、スロバキア、ブルガリアも参加してない。
イギリスにはもう、メディアしか武器がないみたいな感じもする。
■ NATO/EUによって壊されるヨーロッパ
当然のように騒ぎになっているのは欧州内。イタリア、ドイツあたりはなんでこんな偽の連帯をせなならんのだと怒ってる勢力がいる。勢力というかイタリアはついこの間の選挙で勝った、次に首相となる可能性のある人が反対してる。
ドイツは、AfDが真っ向からメルケル批判をしている模様。
メイ率いるイギリスが狂ってるだけでなく、ドイツ、フランスが共同宣言まで出してロシアを難詰し、その証拠はゼロという恐るべき事態まで見せられたわけですからね。
で、成り行きをみればわかるけど、もうヨーロッパは民主主義も捨てたし、疑わしきは罰せず、または、証拠がなければ人を有罪にしてはいけないという中世から持っていたルールも捨てた。もうなんでもありの世界になってる。
ここらへんは、当然のことなら一般人、特に司法に関係がある人などの嘆きは大きい。嘆きというか困惑してる人が散見できる。そりゃそうでしょう。あの無茶な展開を見せられたら、もうthe West は終わりだと感じるしかない。
どうしてこうなるのか。やっぱりNATOとEUの確保が至上命題になってるからではないかと思うな。
これを保持するために、敵が必要で、これを保持するためにこれまでNATOがやらかしたことも全部伏せないとならない→ 各国の首脳が嘘をつかないならなくなる →メディアもまったくの共犯
ということで、ますます滑稽なことが起こるでしょう。
外交方針に関してEUは建前として、各国の全員の賛成が必要という恰好だったものを、多数決でいいにしようとか言い出しているのも、もうみんなになんか言わせたら大変なことになるから、ブリュッセル-パリ-ベルリンで決めちゃおうということだと思う。
そして、この要因と共に大事だろうと思うのは、EUというより、主要国の銀行が問題なんだろうと思うわけですよ。EUというよりユーロというより、もっと直接的に銀行なんじゃなかろうか。
2007年あたりのリーマンショックなどと言われるあの金融恐慌のケリはついていない。というか場当たり的にいろんなことやってるけど解消していないでしょう。
そこで、EU内で予算を一括化して、EUの経済担当大臣を置いたらだろうだろうみたいな話が出てくる。この意味は、最初からやりかたったような話じゃなくて、EU全体の予算にすることで、イタリア、ギリシャあたりをEU各国の税金で「救済」しようということなのではないか。
ドイツのメルケル政権では、こういうことに大反対だったショイブレ財務相がいなくなってしまったことは、この象徴かもしれないと思ってみてる。こういう案を持ちかけているのはフランス。メルケルは多分乗ってる。
どうして「救済」が大事なのか。それはもう、ドイツ銀行とかフランスのいくつかの銀行が、ギリシャ、イタリアに貸し込んだ債権が不良債権だからでしょう。
など思うに、ヨーロッパというところは、銀行とそれに群がる一群を救うために、ヨーロッパの文明を捨てたったいい、というすごい覚悟なんだなと思えて笑いが出る春の一日。
■ オマケ
昨年夏に書いたものを再掲。どう考えても600人かそこらは大使館にいる人ではなくなったわけで、こっちの方がでかい話だったでしょう。
ロシアの提案では、在ロシアのアメリカ大使館関係者の人数を、アメリカにいるロシア大使館関係者と同等まで縮小する、ってことらしい。その人数は450人ぐらい。
じゃあ現在どのぐらいアメ人関係者がロシアにいるのか。1100人ぐらいらしい。だから、半分はアメリカに帰れ、となる(ただし、ロシア市民の大使館勤務者もいるので全部がアメリカ人ってことではない模様)。
いやぁ、この提案は、ロシアの中の、国権派っつーか「ロシアはロシアだ」派っつーか、ほとんど全員というか(笑)が、大喜びしていると思う。みんな、アメリカ大使館こそ騒動の巣、カラー革命の本拠地と思ってるから。
対ロシア制裁が見せてくれるロシアの多段階対応能力
で、この大人数がロシアにあるアメリカ大使館からいなくなったことは、つまるところどうして今回のロシアの大統領選挙が比較的静かだったかの理由の一つではなかろうかという指摘もある。
600人が600人分の影響ってことはないでしょう。この中にユニットがあってロシア各地のリベラルグループを飼ってるってな形だと思うから。
思い返しても、2012年のロシア大統領選挙は本当に大騒ぎだった。勝ったプーチンがモスクワの群衆を前に涙ぐんじゃったというオマケまでついた。いやもうほんと、ロシアに対する西側の力の入れ方が違っていた。
ロシアのアメリカ大統領選挙への介入だの影響だのなんて、自分がやったことを他人のせいにしているのに過ぎない。アホかってか、西側のメディアって、サイコパス集団だと思う。
というところから考えると、今回、主犯格のイギリスの13人かいうへんな人数も意味があるのではあるまいか。確実に報復すると宣言しているロシアの外交官をイギリスから退去させたら、同人数がロシアから退去させられるから。
こうして英米とそのお取り巻き、お付き合いせざるを得ない国々が、愚にもつかないロシア外交官追放にひた走る中、日本がこれに同調せず、事態を静観することにしたと聞き、取り敢えずはほっとしています(また煩くああしろ、こうしてはならぬと日本に命令してくる勢力も出てくるかもしれませんが)。河野外相の判断に感謝します。
それにしても、英米とその仲間内では、「ロシアは絶対的に悪、真実などよりもロシアを叩く方が優先」という意識が浸透し、異を唱える者は敵か愚か者のように扱われる空気が満ちているのに戦慄を覚えます。
昔から、「日本人は右へ倣えで自主性がない」というのが、日本叩き・蔑視の決まり文句でしたが、英米はある意味日本以上に窮屈な同調圧力社会ではないでしょうか。
アメリカの銃規制デモや、#Me Too運動を見ていても感じます。最初は踏み躙られた個人の尊厳を取り戻すための運動だったはずが、いつの間にか「これに賛同しない人は悪」というムードになってしまいましたから。
日本は知らん顔してればいいし、ウクライナの時もそうすべきだったと今更ですがそう思います。それが立場を作ることになるのにね。
英米と一口に括ることはできないですが、一般的に戦争に持っていこうとする時などのメディアの暴力的な圧力は日本の比ではないですからね@欧米。
同調圧力というよりマジの恐怖支配によほど近いと思います。