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バンデラ主義を違法化するポーランド

2018-02-07 16:35:24 | 欧州情勢複雑怪奇

台湾と北朝鮮の話がなにやら興味深いので後で拾おうとしているんだけど、その前になぜだか日本のメディアにもポーランドの話が出回ってきたのでそっちをフォロー。

いやいやほんとに、興味深い。

この間書いた問題の法案について欧州各国やイスラエル、そしてウクライナから大反発をくらっていたポーランドですが、ドゥダ大統領は6日、ワルシャワで記者会見し、署名することを表明。

日本の日経の記事がこれ。

ナチ収容所の表現巡り法案 ポーランド、自国言及禁止

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26608050W8A200C1EAF000/

AFPはこれ。

ポーランド、ホロコースト表現に罰則科す新法成立 イスラエルは修正求める

http://www.afpbb.com/articles/-/3161439

 

中身について、ここで書いた通り、欧米メディアの説を取って、バンデラのバの字もない。

バンデラ主義を違法化しようとしてるポーランド

ステファン・バンデラの話は過去のことではない。ここで書いたように、現在のウクライナの体制は単発の頭のいかれたネオナチが問題じゃなくて、過去から続いているこれらのSS集団の末裔だという話。(したがってそのウクライナを支持してる現在のアメリカ+属国群は何なんだよ、の話)

「UKRAINE ON FIRE」with オリバー・ストーン

 

しかし、ウクライナ発の記事ではずっとバンデラ主義 Bandera ideologyという語がずっと使われ、これをポーランドが違法化するという、けしからん、とウクライナの国会議員たちが腹を立てている。

Rada deeply concerned by accepting law on Bandera ideology in Poland, urges President Duda to intervene

http://en.interfax.com.ua/news/general/482831.html

 

ウクライナの議員の一人は、いかにも現在のウクライナ政権らしいことをテレビで言っていたらしい。

欧州の政治家は歴史を忘れてる。ポーランドとウクライナ間が対立してたら、それをモスクワが利用するんだ、と。

"I have an impression that politicians in general in Europe have forgotten about historical lessons. Everybody knows how the confrontation between Ukraine and Poland ended, and how it was used by Muscovy, and it ended badly for Ukraine and Poland. The same can be said of European politicians who are currently pursuing a strategy to pacify the Russian aggressor, forgetting about how it ended before World War II. Our politicians, often in intestine strife, also forget about the lessons of the UPR from a hundred years ago," Ariev said live on the Priamy television channel on Thursday, February 1.

http://en.interfax.com.ua/news/general/481965.html

 

そういう解釈も成り立つと私も思う。が、ウクライナとポーランドは互いに決して良い関係とは言えない過去がある。それを、共通の敵モスクワのためにという理由で、ウソの基盤を作って、外の誰か(ドイツでもアメリカでも)から支援してもらっても、続かないしょ。

そもそも、なぜウクライナはロシア革命後あんなにも急進的に西ウクライナ共和国を作ろうとしたのか。それはウィルソン大統領の十四箇条で英米仏(または西側本家?)がポーランドに123年ぶりの独立をプレゼントしたりしたからでしょう。

もちろんポーランドが独立したがっていたのは誰でも知っていることなのでこれはこれでいいにしても、100年以上あった秩序をいきなり変えるのはとても大変。しかも、ポーランドの首長として据え付けたピウスツキが、独立させてもらったら最後ポーランドが大国だった昔の時代の領土を獲得するのだとか言い出して、ロシア、ウクライナ、ドイツと周辺全部と敵対する。

日本にとってとりわけ問題なのは、ポーランドが混乱のソビエトロシアを攻めた、1920年のポーランド・ソビエト戦争。日本ではこれを、ソ連を負かした素晴らしいみたいに妙に褒める傾向が顕著だと思うが、それって、同時期に日本はシベリア出兵の成れの果てで、ソ連を攻めていた、つまり、ポーランドと東西挟撃状態になっていたことを理解して言っているんだろうか? 私はかねがね不安にながめている。

で、まぁそんなこんなで、この時のポーランドって後のイスラエルの原型のようだな、など思ってみたりもする。「国際社会」なる大国が一応法的にカバーしてやって国を作ったはいいけど、それ以上の領土を取りに行って周辺と対立する。似てますよ、ほんと。

そのへんは別途中東の話として書こうと思うけど、そういうわけで、ポーランド、ウクライナ、ロシアの不仲を、彼らだけの悶着と考えるのはまったく間違ってる。そして、ポーランドとウクライナがロシアに抗しているからこうなる、という日本でよくみられるお手軽史観も間違い。常に、常に、西側、特に英仏とドイツが関与しまくってこんなに血なまぐさい場所となったというのが近代史的には正解というべきでしょう。

で、ポーランドは、そういうわけで成り立ちと当時の政権には問題はあるのだが、その一方で、一般のユダヤ人とポーランド人がナチによる被害を受けまくったのもホント。

ナチ党員800万のデータベースを作ったとかいう話も聞くし、ウクライナでナチの手先となっていた人たちを1980年代まで追いかけていたらしい記録なんかもネット上に出回ってきてる。

どうしてそんなものが目立つようになったのかというと、カナダの現在の外相のフリーランド氏が、あまりにも下手なウソをついて彼女の祖父がドイツのコラボレーターだったことを隠して、それが暴かれた時、ロシアの中傷だ~という騒ぎで片づけようとしたところから、むしろ、ポーランドやカナダのウクライナ人の中から、こんなものありまっせといろんな資料が出て来たから。

「西側ではナチズムが生きている」カナダ編

 

でね。イスラエルの問題とも被るんだけど、主流メディアを操ってるユダヤ系のアメリカ人、イギリス人等々とそれ以外のポーランドやウクライナに住んでいて亡くなった人の子孫や、北米やイスラエルに逃れた人々を一緒にするのはまったく良くない。

良くないったって一般人をネタにして自らの存在のカバーアップに使ってるのはそれら主流メディアにいる人たちなので、私たちにできることには限りがある。

が、例えば今回のポーランド人のように、自分たちで決着をしようとしていろいろ努力している人たちがいて(それがまったく正しい道かどうかは不明なところもあるにせよ)、一方に、どうやらそれを妨害しようとする遠くの主流メディアがいた場合、私たちは後者を鵜のみにしないという態度を取るべき。彼ら自身が周辺の関係者と納得するまで四の五の試行錯誤するしか道はないんだから、上から横から金もって、圧力かけて意見を変えさせてもいつかまた同じように混乱するだけ。

いろいろ混乱はあるだろうが、主流メディアなる世界制覇の工作ユニットがボロボロになって、どこもかしこも不信感だらけになっていることは、人類の未来にとってまったく良いことだと私は思う。

一極支配の問題は何も軍事だけではない。遠くからリモートで人々をコントロールするこの支配の構造そのものの問題だ。

 

■ カナダ(英)、アメリカには説明の責任があるでしょう

2014年11月のこの話が、延々続いているというところでもある。

ナチズムを支持する国が判明した

来年の第二次世界大戦終結70周年にあわせロシアが国連総会に提出したナチズムの英雄化を非難する決議案に、唯一反対票を投じたのが、米国、カナダ、ウクライナである。

国連に加盟する193か国中、ロシアの決議案に、115の賛成票が投じられた。反対票を投じたのは僅か3か国。カナダ、米国、ウクライナである。また、EUを含め、55か国が、投票を棄権した。
http://japanese.ruvr.ru/2014_11_24/280434532/

ナチズムファンの方、朗報です!?

 


  

 


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2 コメント

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ボルイニの虐殺 (石井)
2018-02-12 19:22:12
ホーランドの今回の法案は、ロシアでは「反バンデラ法」として先週かなり取り上げられていました。討論番組を見ていると、ポーランドとウクライナの問題に言及されると必ず話題になるのが、「ボルイニの虐殺」です。
https://en.wikipedia.org/wiki/Massacres_of_Poles_in_Volhynia_and_Eastern_Galicia
https://www.youtube.com/watch?v=qP2ibvtuTVc
このビデオなかなかの出来だと思います。
特に印象に残ったのは、冒頭の平和な時代の様子。曰くは、「ボルイニは、特別な地域で常に対立する勢力が引き合い、何処の国にも属さなかった。ポーランド人、ウクライナ人、ロシア人、チェコ人、アルメニア人、ユダヤ人、オーストリア人が共生するところだった。祭日、お祭りの時は、カソリックの司祭、正教の神父、ラビ、国の役人が一堂に会し挨拶し、それは調和に満ち心地よい空気に溢れていた。」
これが第一次大戦以降激変する訳です。
1929年にウィーンでOUNが結成。30年代はナチスドイツの援助を受け勢力拡大。戦後は、MI6、その後CIAの援助を受け現在に至るという感じでしょうか。
https://www.globalresearch.ca/the-cias-destabilization-program-undermining-and-nazifying-ukraine-since-1953-covert-support-of-neo-nazi-entities/5502473

長くは書きませんが、僕はこの経緯にイデオロギーが政治に適用された時の怖さを見ます。小生の頭では単純にしか考えられませんが、「理想」を「現実」化しようとした時のおぞましさを感じます。大部分の人は「理想」だから良いじゃないかと思うのでしょうが、現実の運用を見ると、悲劇でしかないことを繰り返しているように思います。ソ連はそういう国でした。唯、現在はその「反省」からかなりマトモになっていく途上にあると思います。現在のウクライナは最悪の例でしょうが、西側の国も「マトリックス」に入り込み、「現実」から遠ざかり悲劇に向かう準備をしているように見えます。

ステルス支配からの脱出 (ブログ主)
2018-02-12 21:23:47
石井さん、
ありがとうございます。動画、ちらっと見ましたが古い映像がいっぱいあっていいですねこれ。
また英語字幕にして、考え考え知恵を絞って(疲れる)しっかり見たいと思います。

第一次世界大戦とその戦後処理がほとんどすべての地域のガンの発生源だと改めて思いました。ソ連の成立もそれし。

で、世界をジグソーパズルみたいに勝手に組み合わせてコントロールできるという、全球支配イデオロギーこそこの世の邪悪の根源だと思います。それをホントに仕掛けたのが第一次世界大戦だろうとも思います。

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