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「ウクライナ-マスクの革命」と産経とスプートニク

2016-06-12 09:31:51 | 欧州情勢複雑怪奇

スプートニクが産経新聞の記事を題材に反ロシアの態度についての考察を記事にしていた。

なぜ一部の日本人には「プーチンの愛国心」とロシアの現実が気に入らないのか?
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160611/2290874.html#ixzz4BJw1DYLx

まぁ、そんなにいろいろ言わずとも、産経をはじめ日本の主要メディアにとっては、ロシアは悪でなければならないので今更どうしようもないとは思う。なんせ、「ソ人は概して頭脳粗雑科学的思考発達せず」を見直したという話は聞きませんので。(ロシア弱体化という願望)。

結果、こうなる、と。

先入観が正しい結論を出すことを阻んでいる。たとえば、著者の信念では、プーチンの外交政策を支持するすべての人は「プーチンのプロパガンダ」の影響下で客観的現実を評価する能力を失っている。

しかし、現実にウクライナで起こったことを見れば、プーチンのプロパガンダの故ではなく、個々の人々が普通に判断しても現在と同じ認識を持つだろう、と。

つまり、産経のこの記者はおかしな前提をしてるだろうとスプートニクのイワノフおじさんは指摘したいんだろうけど、こういう論法というか、ロジックで意味を示唆するというある意味高等な作文術、インテリの所業というのは、読み取れる人にしか読み取れないので、産経の記者の人たちには理解できないかもしれないです。皮肉で言ってるのではなくて。

でも、それにしては日本人すべてが産経的なセンスで今日を生きているわけではないし、何年か前に比べれば大分、ロシアは悪、どうでもとにかくそう、それ以外認めない的な言論は減ったのではなかろうかと思う。

さらに、今般のウクライナの件については、欧米では、だんだんとキエフ政権なるものがどういうものなのかが知れ渡ってしまったので、プーチン率いるロシア側の対応だけを責めようというのは主要紙の言論上で何らかの目的を持ってする議論以外では、もうね、流行りません!

最初から見てる人もいたし、その後に認識を改めた人もいるだろうけど、今年に入ってフランスで放映され、その後いくつかの欧州の国で放映されたこのドキュメンタリーフィルムもかなりパワフルだったかも。

 

「ウクライナ-マスクの革命」とでもいうのかな。オリジナルはフランス語でこのリンク先は英語の字幕が入っている。でも、中身を読まなくても見ただけでも、なにこの人たち・・・というのはわかると思います。

Documentary: "Ukraine - The Masks of the revolution" by Paul Moreira, English Subs

 

もちろんこの様子をキエフ政権は誰にも見せたくないわけで(笑)、フランスに抗議したりしていたけど、フランスのテレビは再放送までしてた。

確かスウェーデンかどこかでは放映する手はずになっていたが直前でダメになってたはず。BBCも最初これに近いものを作ってたし、その意味で欧米では結構知られてるものの総まとめ的なフィルムだったかも。

顛末のまとめ記事はこのへんか。

French TV Repeats the Maidan Documentary That Kiev Doesn't Want You to See
http://sputniknews.com/europe/20160203/1034140831/france-maidan-film.html#ixzz4BK38r5T8

 

 

■ 勇気ある日本人もいた

ウクライナ問題というか、キエフクーデターとでもいうべきあの事象に際しては、勇気ある日本人が観察できたことが、わたし的には小さな喜びでしたね。半分冗談のような、しかしやっぱり勇気あったよなぁとかあらためて思うのは、クリミアの騒ぎの後の西部邁さんの番組。事件から3カ月もたたない点で収録されたもの。

ウクライナに学ぶべきこと西部邁ゼミナール 2014年5月18日放送

この態度は、凡百の御用評論家には真似できないでしょう。

この中で私が爆笑したのは、西部氏が、制裁、制裁と言うけど、あれは別にどこかで、例えば国連で手続きを経てやっている話じゃなくて、アメリカが一方的にやっているだけの話、つまりそれは私的制裁、リンチですからね、と言い放ったところ。

あの緊張感の高い時間帯に言うかよ、それ、って感じ。根性のある人がいることはとても喜ばしい。

 

あ、産経。産経って過去15年ぐらいは「ネオコン」御用達みたいな感じだけど、その前は反共の総本山なわけでしょ。で、ネオコンも反共も要するに反スタのトロキストのイデオロギーが主軸で、各国それぞれに多少変奏しているにすぎないと考えるなら、この新聞は極左新聞というべきでないのだろうか。

(ただし私は左右論争に大した意味があるとは思ってないです)

それにもかかわらずこの新聞は「保守派」が読むとされているんだよね。言論界の倒錯ぶりは恐ろしいまでの水準だと思うし、それを放置してきた私たち日本人も相当いい加減だよな、とか思う。私の友達で、「え?私は保守よ、ウチは産経新聞取ってるし」と言った人がいるんだけど、このへんな認識をブレークせな、とか私は思ってるわけですよ。個人的に、どうやったら彼女の認識に風穴があくだろうかとかなり静かに奮闘してるけど、なかなかたいへん。面白いけど。

 


 

雪はよごれていた―昭和史の謎 二・二六事件最後の秘録
澤地 久枝
日本放送出版協会

 

司馬遼太郎『街道をゆく』読書ガイド
朝日新聞出版編
朝日新聞出版

 


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4 コメント

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サフチェンコ (ブログ主)
2016-06-12 11:49:04
石井さん、

このへんな人(サフチェンコ)の話、面白いですよね。ウクライナが国民的英雄にした時点で、既にロシアの罠なんじゃないかと言ってた人がいましたが、まさにそういう感じ。だって、そもそも誰がどんな風に見てもへんな人なんだもの(笑)。

そのうちまとめて書きたいと思います。
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マスク (ブログ主)
2016-06-12 11:46:23
ローレライさん、

笑わせてもらいました。確かにマスクって何か妙に共通してますね。

つか、ISとキエフ周辺の参加者って、要するに同じ傭兵屋さんなんじゃないんでしょうか? なんか装備が似てるもの。
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Unknown (石井)
2016-06-12 11:29:03
西側ではあまり報じられてないのかも知れませんが、キエフ帰還後のナージャ・サフチェンコの立場が面白いことになっています。国民的英雄が今では(まだひと月も経っていないのに)クレムリンの犬、FSBのエージェント、裏切り者呼ばわりです。
http://www.kp.ru/daily/26540/3557726/
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『キエフナチスとイスラム国』 (ローレライ)
2016-06-12 10:50:38
『キエフナチスとイスラム国』の共通ファッションセンスが『マスク』、永久闘争トロツキストと無政府ブランキストの『共通センス』。
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