サウジの奇妙な2時間ドラマは、アメリカのメディアを中心に、なんてひどいの、なんてひどいのと大騒ぎをしているものの、そうかといって西側各国では、こんなひどいことをするサウジに経済制裁よ、などとはならない。大爆笑。
サウジの悪辣さは今に始まったことではなく、重要人物が殺されるのも別に珍しいことではない。そういう国やねん、という話なのだが、ここの金で食ってる人たちが大量にいる西側においては、この国を規律させようなどとはまず思わない。
しかし、カーダフィだと凌辱して殺害して、大喜びしても許される。
誰あろう、ヒラリー・クリントンは、カーダフィ―殺害の後、高笑いした映像がyoutubeに出回ってる。このへんは、リベラルメディア的には何の問題もないらしい。
爆笑コント並になってきた主要メディアをよそに、サウジは普通に会議を開き、5兆円ほどの取引を西側諸国と結んでる。
Crown Prince "All Smiles" As Saudis Sign $50 Billion In Deals At "Davos In The Desert"
■ サルマン国王、プーチンと電話会談
そんな中、サウジのサルマン国王は、ロシアのプーチンにお電話。去年は自らモスクワを訪れたことで大騒ぎになったが、今般は、サウジにも来てねと招聘したそうだ。
それに対して、ステルス帝国極東代理人の日経は、サウジはロシアを頼っておるなとご機嫌が悪い模様。
プーチン大統領をサウジ招請、サルマン国王
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36951600W8A021C1EAF000/
【モスクワ=小川知世】サウジアラビアのサルマン国王は25日、ロシアのプーチン大統領と電話で協議し、プーチン氏をサウジに招請した。著名記者の殺害事件で国際社会の批判が強まるサウジはロシアの支持を得たい考えとみられる。
西側諸国は、サウジの説明は不満だわ、とぴーひゃらぴーひゃら言っているが、言ったからといって何をするわけでもないから、だからなんだって話ですけどね。
また、イギリスのメイが、事実を明らかにするのが重要だ、などと言っている模様だが、お前、スクリパル親子の誘拐疑惑はどうなってるんだ、って話でしょう。もう、コントみたい。
【パリ=白石透冴】サウジアラビアの著名記者がトルコで殺害された事件で、英仏首脳が24日、相次いでサウジアラビアのサルマン国王と電話協議した。メイ英首相はサウジの説明に不満を伝え、マクロン仏大統領は関係者への制裁も辞さないなどとした。サウジへの国際社会の圧力が強まっている。
英政府によると、メイ氏はサルマン氏に「現在の説明は信ぴょう性に欠ける。トルコ当局の捜査に協力し、事実を明らかにするのが重要だ」などと伝えた。記者殺害事件の容疑者について、査証(ビザ)取り消しなど英入国を防ぐ措置を進めているという。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36895910V21C18A0EAF000/?n_cid=SPTMG002
電話会談の後のロシアの反応は、
サウジ王家が声明を出し、捜査をするというので見てましょう。声明に疑いをはさむ理由は今のところありません、だそうだ。
Kremlin sees no reason to question Saudi Royal Family’s statements on Khashoggi case
Russian Politics & Diplomacy
October 26, 13:53 UTC+3
http://tass.com/politics/1027980
なんの証拠もないのに、時には説明を求めるべきだわと大騒ぎ、別の時には勝手に犯罪作って処罰を決めちゃう、いい加減極まりない西側に対して、わざと言ってると思う。ほんとーに糞だ、英米仏。
■ サウジ、中露ファンドに金を出す
で、そんな中、サウジの王室は、中国とロシアが作ってるその名も「ロシア・中国投資ファンド」に、5億ドル拠出すると発表。
Saudi sovereign fund to invest $500 mln into Russia-China Investment Fund
Business & Economy
October 25, 18:43 UTC+3
http://tass.com/economy/1027895
この投資ファンドは、去年作られたものだから、まぁ趣旨としては、ユーラシア経済連合+一帯一路に使うってことなんでしょうね。
サウジは、こっちにじゃんじゃん投資したらいいんじゃないの?
カタールもロシアがらみでは投資してたので、競って投資したらいいんじゃないの?
「ユーラシア経済連合+一帯一路」には、新たな資金源が出て来たようなもの。
考えてみれば、ワッファーブなどという戯けた集団を基礎に困った人たちを大量に排出して迷惑を被ったのは、ロシア、中央アジア、中国なんだから(だってそこが英米のターゲットだから)、サウジ、カタールがせっせと投資して中央アジアを助けるのは、まったく理に適ってるともいう。アラーも喜ぶぞ!とでも誰かいえばいい。
そういえば、半年前にはこんな発言もあった。
ワッファービズムは西側の注文で広めました by サウジ皇太子
■ ロシア鉄道
現時点ではまだ詳細は見えないが、「ロシア鉄道」が、サウジでの鉄道建設に入札する模様。
Russian Railways to bid for construction of railroads in Saudi Arabia
http://tass.com/economy/1027762
■ OPECの雄+非OPECの雄
首脳会談とは関係なく、ロシアTASS通信が、サウジのエネルギー省に長いインタビューをしていた。
Saudi energy minister Al-Falih speaks to TASS on OPEC+, oil prices and Khashoggi
http://tass.com/economy/1026924
詳しく読んでないけど、現状、OPECの雄サウジと非OPECの雄ロシアが非常に緊密な関係になっているというのは、実にまったく注目すべき状態。
直近の話題としては、アメリカのバカ政策のせいでイラン分が少なくなるので、両方のブロックに増産してくれとアメリカが頼んで、そういうことになってる。
逆にいえば、この両ブロックが、やだ、売り惜しみする、といったらどうなるのか、石油を買ってる側は考えないとならないでしょう。
で、2014年には、ロシアを経済で崩そうとして石油価格を動かして、結果サウジが貧乏になるという事態もあったが、このオバマ政権の無茶政策は失敗した。
現在、OPECの雄サウジと非OPECの雄ロシアが緊密になり、かつ、ロシアとイランは実に緊密で、イラン制裁についてもロシアがイラン産を買い受けて、それをロシアが精製して市場に出すという仕組みを作った模様。
こんなこともあった。
人民元建て原油先物取引と中露イランの安定
総じていえば、石油の価格と流れにとってロシアの影響力が巨大になったと言うべきではなかろうか。もともと大きいが、さらに影響力が大きくなったし、いろんな意味で安定の供給源でさえある。誰も騒がないのが不思議なくらい。
■ ちょっと妄想してみる
いやわかりませんが、並べて考えてみるに、昔、スエズ戦争があったでしょ。あれは1945年に出来た米の支配構想を嫌った英仏が、再度スエズ地域の影響力を強めようとして、イスラエルを使い紛争を惹起して、ソ連が大反対し、アイゼンハワーが大反対し、結果、米ソに反対されて、すごすごとイギリスが兵を引き上げた、という話。
今般、アラブの春以降の動きというのは、スエズ戦争みたいなものだったのかななど考えてみる。一か八かで、昔は英仏がイスラエルを使ったんだが、今回は英仏米+αが傭兵とイスラエルを使って北アフリカから中東(黒海、カスピ海周辺を含む)を制覇しようとした。
しかし失敗した。(諦めてないけど)
で、この後始末として、これらの取り組みの要路にあった人たちが壊されている、ということかな、など思ってみたりする。
カショギさんの話は、誰がどうやって殺害に至ったのかわからないけど、結果として、カショギはサウジからいなくなった。そして、サウジ情報について最も優良なものの1つを失った・・・。誰が? 西側(の一部にせよ)でしょう。
カショギの家は、おじいさんがサウジの王族の侍医になって、サウジ王家周辺で金持ちの大物になっていって、その息子などもそういう大物的な活躍をした。オスマン帝国の人ではあるけど、アラブではなくトルコ系と言っていいと思う。サウジ王家に仕え始めたのは第一世界大戦が終わる頃。Muhammad Khashoggi
息子の一人はあちこちで悪名をはせてるアドナン・カショギ。今般なくなったジャマール・カショギも有名人だが(アドナンの甥)、もっと有名なのはダイアナと一緒に亡くなったドディ・アルファイド(アドナンの甥)。
で、多分、この一族は、「西側X」のどこかとつながる、言ってみればリエゾン一族だったのでしょう。 Xというのは誰だかわからないから。
リエゾンとはフランス語で関係、連絡を表す語で、転じて連絡係りとか取次役のことを指す語ね。
こういう一族は、トルコにも日本にもいると思う。
ロシアだとフルシチョフがそれっぽい気がしてる。フルシチョフがあんなところでクリミアをウクライナという行政区に編入させなければ今のクリミア問題はない。でもこれはもう解決しちゃった。クリミアがロシアでなくなることは、ロシアが続く限りない。
トルコはエスタブリッシュメントと軍の方向性が一緒で、「西側を目指すトルコ」を引っ張って来た。なかなか変わった体制だったんだが、数年前のクーデターでその体制が壊れてる。
西側のという話ではないが、コンスタンチノープルにいる正教の総主教が要するに西側の犬に成り下がってましたというのが明らかになり、今般モスクワからさよならされたという事件も、「西側X」のリエゾンがいなくなった、という点では同じかもしれない。
ということで、並べて考えてみるに、19世紀後半以来、コンスタンチノープルからバグダッドまでを仕切るための仕掛けだったものが壊れている、と考えることもできるのではなかろうか、など思うわけですよ。
いやもう、妄想的な謎解きですけど。
この先どうなるのか。わかりません。エルドアンがオスマンを復興してスルタンになる日は来ないというのは確かだと思いますが(笑)、それ以外はわからない。わかるのは、サウジ王室は昨年史上初めてロシアを訪問し、今般は「よしなに」といった態度を取っているとしか思えないこと。
■ 参考
「カスピ海は俺らの海」宣言の効果確認(2)
竜馬は単なるつかいっぱでしょう。リエゾンは、橋頭保と同じでしっかり支える器量がないとできない。
頓珍漢な質問ですみません。
カショギさんの来歴に、同胞団、フーマアベディンもそうだったな、と。
ムスリム同胞団は関係おおありだと思います。
でもって、あの悪目立ちするフーマをほじくったら興味深いことがでるはずだったと思いますが、半端になってます。