※タイトルがしばらく「メルケルより人気のディーリンケ党首」とありましたが、ワーゲンクネヒトさんは現在同党の国会議員のリーダーであって党首ではありません。私のうっかり間違いでしたので後で修正しました。
ドイツの政治といえば、やたらにAfD(ドイツのための選択肢)の話題が出るが、左派のディーリンケ(The Left)も従来から強い東ドイツの一部の州で強いだけでなく、地道に微々増みたいな感じが続いている。
AfDは右派といっても、私が知る限り最初出てきた時、欧州の大西洋側諸国の右派とはちょっと傾向が違うように見えていた。多分、移民について極端なことを言う人たちと混在って感じなんじゃなかろうか・・・多分。
ドイツは過去に左派を嫌いまくって、ヒトラーを財界、伝統主義者(というかドイツ帝国愛好者)がこぞって支援したという過去があるし、メルケルの与党キリスト教民主党なんかは左派嫌いの路線の党ではあるので、もしどうしても自分のところに支援がなければ、AfDの過激派に影から妥協するぐらいのことをしそうだなとかも思ってみてる。
といった状況なのだが、なんと、ドイツの雑誌に載ったINSAの世論調査(ちゃんとしたところ)では、最も好ましい政治家投票で、ディーリンケのサラ・ワーゲンクネヒトさんが、メルケルを抜いて1位になったそうだ。
Merkel slips from top spot as Left Party bigwig Sahra Wagenknecht becomes Germany’s most loved politician, poll reveals
https://www.rt.com/news/473990-merkel-popularity-wagenknecht-poll/
オリジナルのドイツ誌Focusはここ。
1 (↑2) Sahra Wagenknecht 114 (+7)
2 (↓1) Angela Merkel 111 (+1)
3 (=) Robert Habeck 110 (+3)
4 (=) Friedrich Merz 102 (-3)
5 (↑11) Annalena Baerbock 100 (+7)
6 (↑7) Jens Spahn 100 (+4)
7 (↓5) Markus Söder 98 (+/-0)
といった感じで、サラさん上昇中。具体的には、労働者層に支持される政策が受けている模様。移民についても制限的である模様なので、あきらかに愛国左派路線ですね。そりゃもう、ここ30年欠けてたものですからやっぱりここらへんから出てくるしかないんじゃないですかね。
ドイツ的に問題なのは、もちろん与党クリスチャン民主同盟が最も嫌うのは東ドイツを思い出させるディーリンケ、ここの支持が伸びるなんてのは嫌悪する人もいるのかもしれないというある種の暗い事情があるわけだが、いやしかし、それ以上に、メルケルの次の党首であるクランプ=カレンバウアーが18位とまったく振るわないことが大問題。
党内も党外も、みんなこの人を頼りにしてない。路線的にはメルケル・バージョン2みたいな感じなんだけど、なんかこうどうもまったく振るわない。CDU凋落に歯止めがかからないのも無理はないだろうって感じがしてしまう。
お話戻って、サラ・ワーゲンクネヒト。私としては、この人は、2014年のウクライナ危機の時、アメリカに釣られて次第次第にドイツも狂ったような反ロシアになっていった最中、連邦議会でメルケルの政策は間違っている、NATOの政策は間違ってると主張していたのが非常に印象的だった。
つか、勇気がある。いやほんと、感心した。狂気の最中の反論というのはできるようでできない。だからみんなファシストに負ける。しかし、この人とこの党は小なりといえどもちゃんとやってた。
旧東ドイツの残党みたいなものだからだろう、みたいなことを言う人がいるかもしれないけど、話はさかさまで、そうであればこそ猶更難しいのが世の常でしょう。なぜなら、おもねって、強い側、つまり西ドイツやアメリカの側につこうとする方が保身のためにはいいから。
移民や二世、三世ぐらいまでの人が過剰にその国にあわせようとして上っ面のナショナリストになる、みたいなことは世界中にいくらでもある。やしきたかじんもそうなんだろうなぁとかいつも思ってた。
総合的に、ディーリンケは「NATOは解体されるべきで、ロシアを含めた集団的な安全保障システムに置き換えられるべき」という路線を堅持してる。
この路線は、ソ連崩壊あたりでは中道左派の社会民主党の一部もそれがいいんじゃないかと考えていたらしい気配はある。冷戦期に出来たOSCE(欧州安全保障協力機構)はそういう考えの中から出てきたもの。しかし、それでもNATOは残り、結果的にNATO東方拡大となった。
「NATOは解体させて別の安全保障システムを」 by ドイツDie Linke
どうなるのか、ドイツは混迷中だけど、ともあれ利口な人がいるだけでなく、その人を支持する人もいるということを聞いて、いやいや、現在の世には稀な話ではないかと思った。
うっかりしてました。書くときも、党首は別の2人なんだからこの人の役職なんだろうと思いながらやってましたが、うっかりタイトルを党首としてしまいました。
ご指摘感謝です!!
いやぁ、アメリカから出てくる感じはみじんもないですね。
アメリカの現在ってカルト帝国の最末期みたいな感じがする。住んでた頃もおかしいとは思ってたけど、まさかここまでチンドン屋化が完璧になるとは、と思っておののいてる。
人前に出る人の中には誰一人普通の人間がいない。そう、まさに人間がいない。みんな売れない俳優か何かみたい。
かたやグアイド支持のエリザベスウォーレン。
直近のディベートでは、民主党候補の誰一人としてボリビアへの言及がなかった。唯一バーニーが、「あれはクーデターだと思う」との腑抜けぶり。
このエキゾチックな美貌は、父親の血か。
アメリカの政界にも、こんなカリスマがほしい。