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渤海湾・黒海:朝鮮サミットとエルドアンのお手紙

2018-08-14 12:21:55 | アジア情勢複雑怪奇

韓国と北朝鮮が、9月に「インナー朝鮮サミット」を行うことが正式に決まった模様。

North, South Korea to hold summit in Pyongyang in September — reports

http://tass.com/world/1017003

4月に南北朝鮮の首長が会談した頃からそんな感じではあったので、驚くスケジュールではないが、こうやって積み重ねていくことがとても大事。

写真はTASSにあったもの。良いチョイスだと思うな。行く手は広く茫漠たるものかもしれないが二人(二国)で話し合って行く、という図。方言差は大きいようだが、同じ言葉で話しているというのも示唆するところ大ではある。

 

で、両国民が互いを敵だと認定しなければ、誰がなんといったって戦争なんか起こせない。これからは、南北じゃなくて、オール・コリアに向かってるんだという意識で動けばいいと思う。

こんなことする人たちがいたとしても、やれねーものはやれねーという決意を持ち続けることが事態を崩さないための鍵となるでしょう。

北朝鮮付近にB-52を飛ばした日米軍

そして、その表れとしての国民の支持を壊さないこと。特に韓国の国民の支持。国民の大半が北朝鮮との戦争なんて絶対望んでない、という状態を内外に示していることが非常に重要。

思えば、おととしだっけかソウルで100万人規模のデモを3回やったんだよね。これは大きかったなと今更ながらそう思う。表向きは北朝鮮の問題ではないけど、方向性はそれですからね。こういうことで意思を示すことが可能な社会だと示したことはとても大きい。

 

大分前にも書いたことがあったけど、結局、個人や一族で国みたいな金持ちグループが隠然と存在し、そのおこぼれに預かろうとする奴隷商人みたいな「リーダー」が跋扈する世界にあっては、一般人というのは数が多い以外の強みは何もない。そこから考えれば、俺たちは絶対お前らの奴隷、お前らの弾除けにはならないという意思を示すことができる人々のグループを主権国家と呼ぶのかもしれない。

そういいながらもちろん私は「不滅の連隊」を思い起こしている。あれはほんと、多分ロシア当局者は最初そこまで考えたわけじゃないだろうけど、現代の政治をシャープな角度から見せていると思う。

「不滅の連隊」

ネタニヤフとシオニズムと不滅の連隊

 

■ 危機が続くトルコ

で、そんな中、トルコの通貨危機が連日報道されている。

前から、渤海湾と黒海は対になってると言っている私としては、やっぱり東西で同期するわけだなぁとか思えて感慨深い。

朝鮮・トルコ、渤海湾・黒海と「不可欠」

 

で、そのトルコがどこまで頑張れるか、誰しも興味津々、あるいは戦々恐々なわけだけど、トルコのエルドアン大統領は、先日、8月10日付けでニューヨークタイムス紙に寄稿していた。

記念にスクリーンショット。

トルコは米国との危機をどう見ているか

トルコに対する米国による一方的な行動は、アメリカの利益を損ない、トルコは他の友人、他の同盟者を求めざるを得なくなる

https://www.nytimes.com/2018/08/10/opinion/turkey-erdogan-trump-crisis-sanctions.html

 

と、タイトルと要約行に書いてある通り、トルコとアメリカの歴史を振り返り、いろんなことがあって、いろんな危機に共同で対処していたが、最近そうではなくなった、という話を縷々述べている。

とりわけ、2016年のトルコで起きたクーデター未遂事件について言及しているところが、内容的にはハイライトかなと思う。

なにしろ、これは米の一部を含む人々が仕掛けただろうと言われているから。とりわけトルコはギュランという人物がその中心にいたという主張を変えていない。

そして、エルドアンを救ったのがロシアとイランと考えられている。

で、この未遂事件の間に、エルドアンはいわゆる腹心の仲間を失い、彼自身もその危険性があった。それをこの文でも書いている。

このクーデターによって、251人の人間が亡くなり、私自身もその仲間になっていたかもしれない、とある。

Two hundred and fifty one innocent people, including Erol Olcok, my longtime campaign manager and dear friend, and his son, Abdullah Tayyip Olcok, paid the ultimate price for our nation’s freedom. Had the death squad, which came after me and my family, been successful, I would have joined them.

 

で、これに対して、トルコがアメリカに期待したものはこの不法行為を難詰することだったが、それはなかった、と。

いや、アメにとってレジームチェンジこそ生きがいなわけだから、そりゃまぁ仕方ないだろうと笑ってすませることは、しかしながら、同盟国間であればできないでしょう。

そこで最後のパラグラフはこうなる。あえて若干直訳的に訳してみる。

世界中に邪悪が潜み続ける時代において、米国によるトルコに対する、何十年もの同盟者に対する一方的な行為は、アメリカの利益と安全保障を損なうだけの役割を果たすだろう。

手遅れになる前に、ワシントンは、我々の関係は非対称的だという誤った考えを捨てて、トルコには代わりになるものがあるという事実を受け入れる必要がある。ユニラテラリズム(単独行動主義、一方的主義)と無礼いうこの傾向を逆転させられなければ、トルコは、新しい友人と同盟者を探し始めざるを得なくなるだろう。

At a time when evil continues to lurk around the world, unilateral actions against Turkey by the United States, our ally of decades, will only serve to undermine American interests and security. Before it is too late, Washington must give up the misguided notion that our relationship can be asymmetrical and come to terms with the fact that Turkey has alternatives. Failure to reverse this trend of unilateralism and disrespect will require us to start looking for new friends and allies.

 

一読して思い出すのは、クーデター未遂事件の時、エルドアンの呼びかけに応じて何十万人ものトルコ人が外に出た流れ。その中で何百人かが死んで、その数倍が傷つき、その後、その何十倍かの公務員、軍人らが首になった。あの時、呼びかけに応じて命をかけて外に出て来た人たちこそ、もしトルコがこの先盤石になるとしたら、国の礎ということになるんだろうな、など思ってみたりもする。まぁこの先も大変だとは思うけどもね。

 

それはそれとして、これはエルドアンから一般アメリカ人へのお知らせなんだろうなということ。

つまり、いろんなことが日々報道はされているものの、トルコの首長がどう受け止めているかを理解させるような論説というのは、まぁほぼないわけですよ、アメリカのメディアには。誰かが悪い、何かがこう、という断片的なものか自陣にとって都合の良いシンクタンクからの声みたいなのとかしかなくなって久しい。

そこで、自分たちには態度を決するだけの十分な理由はある、少なくとも俺らはそう考えてるから、というのをエルドアンはお知らせしている、と。

2013年にシリア問題が一度小康状態に入った時、プーチンもNYタイムスに寄稿したことがあった。そこから半年してウクライナ危機が起きたことを考えると、これは安心できる先例ではないわけだが。

 

いずれにしても、ともあれ、トルコの首長のこの判断があってこそのトルコ通貨危機だと、他国人も知っておいた方がいいと思う。

単なる、トランプの関税の問題なんて話ではないという点は特に知っておいた方がいいでしょう。むしろ、オバマ政権下のブレジンスキーまがいの世界制覇作戦失敗のツケでしょう。

 

というわけで、ユーラシアの東西の要衝では、過去70年とは異なる動きが見られ、その動きはそこの住民の支持を受けているようだ。


 


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トルコで張作霖暗殺に失敗したアメリカ (ローレライ)
2018-08-14 13:04:23
張作霖暗殺は、抗日統一戦線の成立の産婆役になった。トルコのエルドアン大統領暗殺未遂も、反西側戦線の成立の産婆役になっている。
返信する
張作霖 (ブログ主)
2018-08-14 13:35:26
ローレライさん、

なるほど。
トルコの支配者層は西側の使いッパシリ、と西側勢はタカをくくっていたが、パトリオット登場で話がワヤになる、と。
と考えると、張作霖+張学良のような気もします。
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