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【西部邁ゼミナール】アジアは大火事で燃えている

2014-04-14 18:46:48 | 欧州情勢複雑怪奇

おなじみの伊藤貫さんのお話。

2014年04月13日 08:47 投稿
【西部邁ゼミナール】アジアは大火事で燃えている 2014.04.13

 ---->リンク先変わってました。
  混沌とした国際政治で日本は西部ゼミナール 2014年4月13日放送

1945年から1991年までの、米ソ2極から米の一極にいたる約5070年というのは、世界史的にみれば異常な事態で、この前の過去500年の欧州外交史から考えれば、バランス・オブ・パワーこそノーマルな状態だろうというお話。

私もそう思います。

また、現在のロシアは典型的なバランス・オブ・パワーで動いている、という指摘も私もそう思う。ロシア政権がやっているのはあちこちと折り合いを付けながらテンションの高い状況から低い状態に落としていこうとする動き。完全な勝ちとか完全な負けとかいうのを目指していない。久しぶりに外交をやる国が登場してきてなんか楽しいなぁと思ってる。

前回(いつだよ?)は、ウィーン会議後バルカン、地中海方面に力を投影しようとしすぎてバランスを崩しちゃったロシアだったので、今回はどうなるかとても楽しみ。

カール・ロベルト・ネッセルローデ伯爵
アレクサンドル1世時代の外交官で、ウィーン体制の中バルカン、地中海方面を狙いすぎて英仏の反発からクリミア戦争に至る。バランス・オブ・パワーという観点からは失敗しちゃった側。

 (俺じゃない。俺の弟の時代があかんかった アレクサンドル1世)

それに対してアメリカ&EUという新連合軍みたいなのがやっているのは何かといえば、一極であるアメリカ様とその下部機関EU/NATOが正義の軍となり、ロシアを懲罰するというスタイルの継続。The Westはお前を許さない!と一段高いところから語ってる。

これがどこまで続けられるのかが今回の見どころの一つ。

足元では、前から書いている通り、EUという何者か知れない独裁的権力を持った主体じゃない個々の国の多くは、別にロシアと取り立てて喧嘩なんかしたくない。だからパイプラインも通しちゃったし、まだ通そうとしている。

また、あんなところでクーデーターかましたらそりゃロシア怒るだろうと思っている諸国民は非常に多い。

ウクライナが人口500万人ぐらいの小さな国ならともかく、4500万人もいる国で、そのうち半分はあきらかにロシアに深い愛着があるという国でキエフだけ抑えると上手くいくと思ってるらしいその前提ってなんなのよ、と。

(クリックで拡大)

第一言語はウクライナ語だが、ロシア語を第二言語にするべきか否かの投票結果。wikiドニエプル川の東南側で圧倒的に支持が高く、西の端だけが際立って否定的。91%のところがクリミア半島。黄緑の6%、2%のすぐ左がポーランド。
(日本人の感覚から言わせてもらえれば、第二外国語があっていいと考える人がこれだけいるだけで、どんだけロシア語の影響が前提になっているかを示しているともいえる。)


と、ここに表面と本音の分離がある。悪の枢軸ロシアを叩けと何度「懲罰」だとか「制裁」しても、EUの評議会だかなんだかがロシア代表を追い出してみたりしても、だから何なの状態になってる。

そもそも、インド、イラン、ブラジルあたりは基本的にロシアに頑張っててもらいたいと思ってるわけだし、中国は本当はロシアとは天敵状態なんだけど今回は適当な立ち位置で上手く回っている。日本も、ロシアは近いからもう少し資源買ってもいいなという動機がある上に、米中が妙な共闘体制になるならロシアには最低でも中立でいてもらいたいという強い動機があるから、ここにも「懲罰」なんてな態度はない。

■ 懲罰を振りかざすのは悪手だったのでは?

そこでアメリカが使える最大の武器が金融を通したロシアの孤立化なんだろうけど、これってでも、アメリカ政府の意向ですべての金融機関が動くというのは、現実問題あり得るんでしょうか?また、そもそもそれってどんな正統性があるのかというのも疑問。どこが自由社会のリーダーなんだよと言いたいものもある。

ロシア株やらルーブルを売り浴びせてロシア経済を破壊して、そこから社会不安を増大させて、またなんか適当な傀儡じみた人物をリーダーにつけるというのがアメリカの得意とする戦法なんだろうけど、現在のロシアにどのぐらい通じるのか。

上で見た通りインド、中国、日本あたりが天然ガスの購買意欲旺盛な中いきなりEUが全面的に中東とアメリカの石油・天然ガスに依存することに決意しましたとか宣言したら、それってヨーロッパの没落決定ではなかろうかとも思う。私たちはいいけど(笑)。

また、そうなるとアメリカの政策に逆らうと訳がわからない理由で制裁を受けるとなったら、別の独立系を模索する動きを誘発したりしなんだろうか?など思ったりする。いやいや君ね、金融というのは信用で、なのだが、アメリカ政府の意向で取引停止が突如発生する金融ネットワークは果たして信用があるのか?という問いは当然あるだろう。

もう一つ、ロシアが恐ろしいのは、ここはバーター決済の本家みたいなところだということ。現物主義と申しましょうか。買いきったらそれでお終い主義とでも申しましょうか。つい2週間ぐらい前イランとロシアが、oil for goodsとかいって、イランの原油とロシアの物品(だいたい武器らしい)を交換する契約をしようとしているという噂が出回っていたけど、これはそのためのブラフなのかなぁと思ってみてた。(でもロシア発じゃなくてイラン側が出しているんじゃないかなという気もした。)

ロシア、イラン、シリア、エジプト、インド、トルコあたりがなんらかの現物バーター協定とか結んだら面白いだろうなぁと思ったりもする。いや大変なことになるだろうけど。あはは。

と、そこで問題となってくるのがトルコじゃないのか・・・。時代はニコライ1世へ。


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