大工風の道

仮設住宅ってわけでもないけれど、
ま、しばらくここで様子みようっと。

八月の青空に…Little Boy

2006年08月08日 | イベント屋風
なんの予備知識もなく、「Little Boy」なんて聞いたら、かわいい少年…あるいは私のような(?)好青年をイメージするだろう。
その「少年」が、一瞬にして、家も、木も、人も、ほかの生き物も消し去ってしまった。
61年も前のこと。
また運良く(?)消えずに済んだものは、未だ癒されることのない苦しみと戦っている。

ふと、昨年、シンガーソングライターの北川てつ氏のコンサートのPA(音響)のピンチヒッターで、急遽四日市へ走ったのを思い出した。
彼は「ヒロシマの有る国で (詞・曲 /山本さとし)」をはじめ、「平和ソング」などを歌って歩いている。
また憲法の前文にメロディをつけた「日本国憲法前文」なども有名だ。

彼のPAは二回目。
だいたいが、予算のない団体が主催するイベント。
当然第一線で活躍する音響屋(おとや)に、正式な仕事として発注できないから、この手のPAはよく回ってくる。

戦争は自分の体で体験していない。
「おじいちゃんは戦争で死んだんだよ」と言われて育った私だ。
しかしながらこの8月がくると、なぜか北川てつ氏の顔がちらつき、まるで私に、「ちょっとは、平和について考えろよ~!」とでも言っているようだ。


さて、今日一日だけ応援に入った先々月結婚したN村氏の現場の耐震補強工事。
一部の壁を壊し、耐震補強をする…という話。
「壊す」というのは、本来「パンクロッカー」の血が騒ぐところだが、生活中の家なので、壁土を、バールなどで、ホコリがなるべく立たないように、丁寧に剥がしていく。
この家の図面を見ていたら「昭和19年新築…」。
この頃のデータはあまりあてにはならないけど、おそらく62年前?に建てられたこの家。
翌3月の名古屋空襲を逃れたこの地区に今もこうして残り、小さな少年ならぬ「をぢさん」(?)の手によって、壁が剥ぎ取られていく。

…奴(Little Boy)は家ごと、町ごと、一瞬に吹き飛ばしたんだよなあ。

こうして生き抜いたものは、たとえ「家」であっても、時代を語り継ぐ一つの鍵。
たやすく、壊してはいけないような気がしてきた。
(もちろん今回の工事は、建物の延命のためにやってることで…)

誰かさんの言葉を借りるなら、
「60年前の人に話は聞けないですからね…。
でもこの家が教えてくれるんですよね」。
といったところか…。



台風が近づいている。
明日は地元に居ようと、暗くなって名古屋をでて、帰り道、ふと口ずさんでた…。

♪故国の土をふむことも 家族と暮らすことも
…許されない戦争がなぜに今も起こる
…ヒロシマの有る国で
…しなければならないことは…