大工風の道

仮設住宅ってわけでもないけれど、
ま、しばらくここで様子みようっと。

静かに時は流れて…(2)「おにぎり」と「もう一つの万博」

2005年09月27日 | かまど、五月工務店
続・「サツキとメイの家」編

最終日、最後のツアーは、全員出勤のスタッフによる花道を進んだ。
日が暮れるのは早く、最後の最後のお客さんが少し薄暗くなった管理棟の前を通過し、去っていく。
「ありがとうございました!」…そして拍手喝采に変わる。

やがてエリアから、一般のかたの姿は消え、いつものようにスタッフはテント、「バス停」などの撤収にかかる。
ひと通りの作業が終わると、最後の終礼が8畳の続き間で行なわれ、その後ひょうたん池の中島で小宴。水面は水草で埋め尽くされ、残念ながら「家」は映されない。

まだまだ、中央のエリアでは、人がごった返しているのだろう。
暗闇のなかを、ヘリコプターがひっきりなしに行き交う。

島の上では、いたる所で記念写真大会。そしてスライドの上映会、スタッフ一人ひとりの挨拶、
秋の夜風は心地よく、やがて上着がほしくなってきた。どんどん夜はふけていく…。

ここへ来場したお客さんは半世紀前へタイムスリップし、私たちは家を見上げながら、工事中の1年前へタイムスリップしていた。

頂いた「おにぎり」に、「そういえば、いつも『おにぎり』だったなあ」と…。棟上の前夜、Ku氏がほおばっていた「おにぎり」、内覧会のKi氏の「おにぎり」、竈(かまど)の家でマナカナちゃんが握ってくれた「おにぎり」…。日本の食文化の要(かなめ)。そして「あの時代」も、もちろん…。







管理棟では、2台のパソコンのキーボードの音。
Å藤さんたちは、ふと手を止め、「万博終演」のアナウンスを、聞いていた。


時折、外で、スタッフたちの「笑い声」「拍手」が沸き起こる。
スピーカから、「リニモ」の最終時刻の案内などが流れる中、運営ディレクターの最後の仕事は、草屋根の下で静かに続いていた。

「お疲れ様でした…」「ありがとうございました…」と帰りはじめるスタッフたち。
もうこのメンバーで集まることなんてないのかなと…。
来年また、「家」は再び陽の目を見るのだろうが、スタッフみんなのそれぞれの思いが交錯するこの日、このときに、同席させていただいたこと感謝。「1年半以上」に及んだ、私たちの「もう一つの愛知万博」は終わった。

みなさん本当にお疲れ様でした!




警備のかたが人影もほとんどなくなった通路に向かい、最後まで目を光らせていた。
彼らもまた、さらにもう一つの「愛知万博」を感じながら、我々を見守ってくれてたのに違いない。(こちらも、お疲れ様でした…)
(9/25)





☆ 自分もすっかり帰りが遅くなってしまった…。K上邸が待っている…。朝までに帰り着かないと…。