大工風の道

仮設住宅ってわけでもないけれど、
ま、しばらくここで様子みようっと。

携帯電話器

2005年09月04日 | 文化
私が以前使用していた携帯電話器の待ちうけ画面は、マンボウのような魚の泳ぐ姿だった。


O氏の携帯電話器も、マンボウが待ちうけ画面だそうで、しかも自称「ロシアンルーレットケータイ」という。
謎が深まるので、少し見せてもらった。
なるほど、確かにマンボウのような形に、液晶が黒くしみわたり、今、誰にかけているか、確認ができない状態。
あ行の2番目の人が誰だったか、とか、アドレス帳から開くことが、困難なのである。何度か一つとなりの人にかけてしまうこともあるのだという。



さて携帯電話といえば、とうとうF邸の応援仕事も終盤という昨日の夕方、突然携帯電話器が鳴った。
あまり予告してから鳴る電話器を聞いたことがなく、電話なんて突然鳴るのが普通だろうが、表現上、こういう状況を伝えたく、あえて、”突然電話器が鳴った”。

「もしもし、○○ですけど、今晩みなさんで、K荘(近所の温泉)行きませんか?」といった内容だった。
電話の主は施主さんだったのだ。
「明日で終わりだって聞いたもんで…」。
あいにくその日は、夜、別のところで打ち合わせの約束をしていたので、その旨を言って、丁重に謝った。
何より、そんなことを気にかけてくれる施主のFさん。
もし季節が春さきだったら、間違いなく感涙の海となるところだった。

(どうも、ここのところ、現場が2から3月に終わることが多く、また、子どもの頃から、歌の歌詞じゃないが、春はお別れの季節で、お恥ずかしながら、こみ上げるものがある。)





O氏の活躍はたいしたもので、彼の現場での忙しさには目を見張るものがある。
自分自身も大工仕事をこなしながら、私の仕事の段取り、下請けの職人さんとの打ち合わせ。
施主さんとの打ち合わせ…などなど、雇われ大工の域を超えている。
さらにこの現場の特殊事情は、施主さんが壁の仕上げ(左官工事)を自分でするため、その段取りもまた、彼の仕事になる。
玄関の床の納めをしていたと思うと、2階へ大きな樽を上げ、プラスターを溶いている。
ガス屋さんがやってくれば、給湯器の打ち合わせ、…追い炊きは?…などなど。
そして再び床をはり始める。とっぷり暮れた現場で、掃除をし、残材を作業場へ置きに戻り、家に帰るととても何もできないという。

さて、午後、O氏が、施主さんに電話をかけた。しかも私に番号を聞いて、直接番号を押していた。
もし、今日壁塗りに来てくれるなら、その段取りをしないといけないからだ。
玄関の納めのキリを付けたかったので、もしみえないなら、それでいいと、すこし期待もしていたようだ。
結局施主さんは来てくれることとなったのだが、電話を切ったO氏は、苦笑いをしながらこう言った。
「ちょっと寝てみえたみたいですね。
ううん。『寝た子を起こす』ようなことをしてしまいました」。
その後間もなく、上記のように、忙しくなったことは言うまでもない。




☆いよいよ、私も、溜まってきた自分自身の現場の段取りにかからなければ…。
と思っている矢先に、やはり電話が”突然”鳴った。
話はどこでどうなってか、明日、明後日と、知多まで遠征することとなった。

(とりあえずO氏のシリーズはこれで一段落。
この現場ではO氏にはお世話になった。本当にありがとう!
もっとも、時折、ゲスト出演のことは、O氏に了解済みなので、また登場することもあるだろう。合掌。)