新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

英断、勇断できる真の司令塔が今こそ求められている

2020年12月09日 11時19分44秒 | COVID-19(新型コロナウィルス)

医師で野党議員の岡本充功衆院議員が7月27日付の毎日新聞でこんなことを言っていたことを思い出した。
 
政治的すぎた政府のコロナ対策と『東京アラート』」 

新型コロナウイルスの対応については政府はもっとクルーズ船の経験から学ぶべきだった。かなりの感染力があることや、接触で広がっていくこと、高齢者が重症化するが軽症者も多いことなどが明らかになっていた。特に乗組員に感染が広がった状況を詳しく見れば、コロナウイルスの特徴が一定程度分かったはずだ。
 それらの知見を生かせば、医療現場にこれだけの混乱をもたらすことなく対応できたのではないか。結果的には後手に回ったと言わざるを得ない。やはり最初の危機感が薄かったのではないか。
 我々野党は早い段階から新型インフルエンザ等対策特別措置法を適用して緊急事態宣言を出すべきだと主張してきたが、政府は適用には法改正が必要だとして宣言を出さなかった。そのため我々も国会審議に協力し、3月13日にコロナウイルスを新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象とする改正特措法が成立した。ところが実際に緊急事態宣言を出したのは4月7日で、3週間以上たっていた。
 野党から早く緊急事態宣言を出せと言われていたために、安倍晋三首相もメンツがあって早く出せなかったのかもしれない。中国の習近平国家主席の来日や東京オリンピック・パラリンピックの問題も大きかっただろう。
 緊急事態宣言の解除(5月25日)も早すぎた。もう1週間、あるいは10日間は国民に協力をお願いすべきだった。この段階ではどんな場所がリスクが高いかも分かっていたにもかかわらず、対策が中途半端だった。やるべきところはもっと重点的に資金を投入すべきだった。
意味が分からない「東京アラート」
 「東京アラート」はまさに政治的だった。意味があるというならばあのタイミングでの解除はおかしい。東京都知事選が始まることに伴って解除され、都知事選が終わるとどこかにいってしまって、数値目標もない。厚生労働省の医系技官らと話していても、疑問に思っている人は多い。
 なぜ東京アラートがあって、なぜ解除したのか、多くの都民が分からない状態は問題だ。公衆衛生の観点からすれば、誰にでも分かる基準で都民に警戒を呼びかけるべきだった。東京都知事は東京のことだけを考えるのではなく、日本の政策のキーパーソンであるという認識で対応をとってもらいたい。
 この間の政府と東京都の決定は政治的すぎた。政治的な意図によって、公衆衛生の本来とるべき政策が引っ張られたというのが私の見方だ。
医療現場は苦闘していた
 私は今も愛知県内の病院で週に1度、診療を行っている。私の勤めている病院はコロナウイルスに感染した患者も受け入れており、状況を間近で見てきた。
 その立場から言うと政府は本当に現場任せだった。治療にあたっては、個々の病院が医師や看護師の志願者を募る。応じる人がいる一方で、自分にはできないから辞めるという人もいた。
 医療従事者にリスクを負わせるならば、どのような支援があるか、政府は言わなければならない。労災の適用についても当初は非常にあいまいだった。患者がいる同じ病院のなかで医療従事者が感染した場合でも、感染経路が明確にならなければ労災にならない場合があるとされた。別のところで感染したかもしれないという理由だが、頑張っている医師、看護師にとって大変失礼な話だ。
 政府はベッド数の話ばかりしていた。ベッド数があれば、あとは自動的に治療がされるだろうと思っていたのではないか。防護服などの個人防護具も不足していた。診療する人も人間であって家族がいる。防護服がなくても治療しろ、竹やりでいけ、ということなのか。
 コロナウイルスに感染した患者を受け入れる医療機関は、コロナの治療に専念できる体制にすべきだ。そのほかの患者の受け入れを絞ってもやっていけるようにするために財政的な支援も必要になる。マンパワーも必要だ。特に重症者の治療に当たる医療従事者にはトレーニングが必要だ。いつまでも志願者を募集しますといって手を挙げさせるやり方を続けるわけにはいかない。
 一方でコロナの患者を受け入れない病院にはその分だけ他の患者を多く診てもらわなければならないと同時に、受け入れない病院にもコロナウイルスに感染した患者が来る可能性がある。医療機関がどのように感染症対策に取り組むのかを明確にしておかなければならない。
自粛も状況に応じて強弱を
 自粛と経済のバランスの問題がある。難しい問題だが、厚労省は公衆衛生の立場から、自粛をすべきだと主張すべきだ。一方で経済産業省は経済が重要だから自粛を解除すべきだと言うだろう。政府内で両方の立場があっていい。最後は首相の判断だ。
 ところが現状では厚労省にもプレッシャーがかかり、専門家会議の尾身茂副座長までが「経済が、経済が」と言う。これは問題だ。 公衆衛生と経済という二つの立場はバランスが取れていなければならない。経済人が公衆衛生の立場から発言しないのだから、公衆衛生を重視すべき立場として発言を求められている専門家が経済に配慮しはじめれば全体が経済に傾いてしまう。これは政策決定過程として問題がある。
 経済活動の再開によって感染者数が増えることはあるだろう。しかし、いつまでもステイホームだけでは立ちゆかないのも確かだ。 政府は経済活動を再開する際にガイドラインを守れと言っているが、責任を業界におしつけている。企業側から見ればガイドラインを守って営業しても、リスクは自分が負わなければならない。政府がガイドラインを管理して責任を持ち、患者が発生した場合は補償をするという仕組みがあれば、事業者も利用者も安心できる。
 クルーズ船の経験と同様、我々が自粛していた間に得られた知見もある。それを生かせば、これからは自粛の対応も状況に応じて強弱をつけられるようになる。全面的に経済活動を止めることはできないが、経済活動に対して全く介入をしない今のやり方には大いに疑問を持っている。
 2月末には突然の「一斉休校」。専門家の意見も聞かず、文科省との調整もないまま、安倍と官邸官僚がトップダウンで決定、教育現場を困惑させた。子どもから教育を受ける機会を奪い、その代わりに「9月入学」移行を検討。しかし、それも悪評ふんぷんで撤回というお粗末
 「布マスクを配れば、国民の不安はパッと消える」という官邸官僚の囁きに安倍が飛びついた結果のアベノマスクは、大失敗だった。
 国民への現金給付が「減収世帯30万円」から「1人一律10万円」にひっくり返されたドタバタでは、水面下に「ポスト安倍」を巡る攻防が見え隠れした。安倍が自らの後継者に想定する岸田政調会長のために“見せ場”をつくろうとしたものの、二階幹事長と公明党が阻止。12兆円もの予算が政局絡みで動かされる醜悪だったのである。
 コロナで売り上げ半減の中小企業や個人事業主などを支援する「持続化給付金」では手続きの不備と入金の遅れに加え、巨額の事務委託費を巡るトンネル法人の存在が露呈。経産省と電通の癒着疑惑も取り沙汰され、国民の不信感は頂点に達した。こうした失政続きの延長線上に今回の「Go To」混乱がある。要するに、どれもこれも、裏側にあるのは、邪さやトンチンカン、ご都合主義とくだらないメンツ。コロナ禍で、もがき苦しむ国民や現場の人々の救済を真剣に考えた政策ではないのである。

 
当時、精神科医の香山リカさんは、ある雑誌でこんなことを言っていた。
 
「今回のコロナ感染症とそれへの対策で、政治が直接、医療にかかわっていることを痛感させられた。国としての『オリンピック優先』が初期のPCR検査の抑制につながり、『37.5度以上の発熱が4日以上』といったおかしな基準に縛られて臨床現場は混乱に陥った。『患者と医師が医療現場の主役ではなかったのか』と途方に暮れた」
 
それから4か月半余り経っても、まさに前代未聞のパンデミックに対応するのに「政治屋」が跋扈してしまい、医師が医療現場の主役ではなかったという状態が今も続いており、政府の息がかかった専門家も匙を投げるような惨状になってしまった。 
 
尾身会長『クラスター追えない』政府コロナ対策“敗北宣言”

 
今週のNHKの日曜討論での分科会の尾身会長の発言に対しても政府の広報官の加藤勝信官房長官は、感染対策よりも「GoToキャンペーン」による経済政策の効果を強調することが目立っていた。
  
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広はこう指摘していた。
 
政府は今年2月のダイヤモンドプリンセス号での集団感染で、無症状感染者がいると把握したにもかかわらず、クラスター追跡にこだわって無症状感染者を野放しにしてきました。その時から今まで、対策を誤ってきたのです。本来ならPCR検査を徹底的に拡大するべきだったのです。クラスター追跡ができないと認めたのなら、早急に方針転換し、民間のPCR検査センターを支援するべきです。誰でも『頻回検査』できるようにすることが、感染拡大防止の要ですからね
 
春先から繰り返されてきた「感染拡大防止の要」を無視した無策の政府をしり目に、民間のPCR検査センターも都心に出現している。

それでは菅義偉政権は一体何をしているのか。   

コロナ後ではなく「やるのは、必要なのは今でしょう」と言われるように「新規国債が100兆円突破」するような、「73兆円『コロナ後』に軸足 政府の追加経済対策が閣議決定…予備費計上、規模ありき」という閣議決定した。
 
第一次と第二次の補正予算で計3兆円の臨時交付金が配分されたが、全国知事会は11月、1兆2000億円の追加を要望したが、追加の経済対策には、地方自治体の新型コロナウイルス対策を支援する地方創生臨時交付金が知事会の要望額上回る1兆5000億円を提示したのだが・・・。
 
自治体に交付金1.5兆円 地方はコロナ対策で「貯金」激減、不安は消えず…政府の追加経済対策
 
また、閣議決定した新型コロナウイルス感染拡大などを受けた追加経済対策では脱炭素化やデジタル政策推進、大学の研究支援など、さまざまな名目で、大型の基金が複数設けられたのだが、政府関係者は、大規模な経済政策を打って世間にアピールするために、予算規模を膨らませる「見せ金の側面がある」と打ち明けていたという。
 
名目さまざま、大型基金を多用する意図は? 政府の追加経済対策」    
 
コロナ禍にかこつけて、大幅な新規国債を発行し総花的な追加経済対策では国民の不安は消えるわけがない。
 
今の菅義偉政権に足りないのは「国民の納得と共感」であり、税負担の軽減、そして専門家を側近に置くコロナ対策の司令塔の存在だろう。
 
国民の多くが一時止めるべきとしている「Go To トラベル」などの観光政策は不要不急の外出自粛と矛盾することを整理し、英断する本当の意味のコロナ対策相が必要なのではないだろうか、とオジサンは思う。      
 
 

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