建交労長崎県本部

全日本建設交運一般労働組合(略称:建交労)長崎県本部のブログです。
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じん肺キャラバン実行委員会が要請行動

2013年10月13日 11時04分24秒 | 活動報告
 なくせじん肺全国キャラバン長崎実行委員会は10月11日午前に長崎市、午後に長崎県、県医師会、労働局に要請を行いました。
<長崎市>  

 長崎市要請には、実行委員会の村里正昭事務局長を責任者に、加盟団体から8団体16名が参加。市側からは経済局商工部高比良実部長、長崎市保健所早田篤所長(医師)らが応対しました。
 実行委員会は、会独自の「じん肺・アスベスト根絶に関する要請書」を事前に提出し、文書回答を受けての意見交換をおこないました。要請項目は①「長崎市最大の企業三菱長崎造船所㈱に対する対策」、②「石綿含有建築資材の廃棄物対策」、③「市立の医療機関に肺がん検診時や間質性肺炎患者などに石綿等のばく露がないか十分な問診を行うこと」、④「市立病院へのじん肺の疫学調査への協力と病理解剖への協力」です。
 事前の回答で市側は「従業員の安全や健康管理を優占するのは企業の責務」と回答しながら「指導監督権限がないので国へ働きかける」としていましたが、実行委員会の中里研哉事務局次長は「三菱に市も公共事業を発注しているのだから、責任があるのではないか」と問うと高比良部長は「市としても三菱の幹部と会う機会があるので話をしていく」と述べました。
 市立病院関係での要請については早田所長が、「問診時については周知をしている」「疫学調査は市独自ではやれないが、国がやればもちろん協力する」「みなさんからの要望をどんどん出していただければ行政に反映できる」と前向きな回答をおこないました。
<長崎県>
 長崎県要請には、村里正昭事務局長を責任者に9団体、16名が参加しました。県側からは池内潔治県産業労働部次長(兼雇用労政課長)他9人が参加。池内次長は、冒頭あいさつで、精力的に長期にわたる運動の継続、多くの成果を上げている事に敬意を表すると述べました。また、行政として働く人の安全第1を貫くべく、新年度から、労働情報誌を増刷し、雇用、労働安全などの重要情報を発信していく所存とあいさつしました。
 事前に提出していた全国統一要求書4項目と独自要請4項目に県側が答え意見交換を行いました。公共工事で改正された「積算基準」が厳守されているかなど発注者のじん肺防止対策の状況について、2008.10国交省改定に県も同様の改定を行い適切に発注していると答えました。これに対して、トンネル訴訟原告が発言し、現場の実際は、10時間~11時間労働が実態で依然改善されていない。抜き打ちで実態調査、指導を求めました。県への独自要求である、「じん肺根絶を国に求める首長国会署名」への協力要請に対し、発注者としての立場であり、難しいと答えました。県発注のトンネル工事名と所在地、今後建設予定のトンネル名と所在地、工事開始期日について、工事中が4トンネル、予定(未決定)が2か所と答えました。
<長崎県医師会> 
 県医師会要請には中里研哉事務局次長を責任者に、5団体6名が参加しました。医師会側からは木下郁夫常任理事(長崎原爆病院神経内科医医師)と釣船崇仁常任理事(開業医)が出席しました。
 木下理事は「産業医の研修でじん肺アスベストの講座を実施している」「労働局などからの通達などを会員に周知徹底している」「じん肺患者へはインフルエンザ等は優先接種している」「疫学調査は独自では無理だが、国や行政が行えば積極的に協力する」「病理解剖については遺族の要望があればできるが、施設と病理の医師の問題がある」と述べました。建交労の参加者からは「医師の不理解でじん肺の労災認定が大変だったとので、改善をしてほしい」という要望も出されました。木下理事は、参加者からの疑問にも丁寧に答えました。
<長崎労働局>

 長崎労働局要請には中里研哉事務局次長を責任者に9団体21名が参加しました。労働局からは、田沼久志監督課長、井上健司健康課長、池田大祐労災課長らが出席しました。
 事前に提出していた全国統一要求書8項目と独自要請17項目の計25項目にわたって意見交換を行いました。田沼監督課長は私たちの提言について「目を通したが政策的要求なので、どうこう言えないが、現場にいる者が世論を盛り上げないと政策に結びつかないので、みなさんがキャラバンでやっていることは重要」「(国の人減らしで)監督官も減らされ、現場に行けない状況がある。みなさんからも現場の職員に声をかけてほしい」という逆提案型の要望も出されました。
 井上健康課長からは「インフルエンザ接種の要望も全国でキャラバン要請を行っているので、ぜひ世論を盛り上げ、本省に実現を迫ってほしい」とこれも逆提案がされました。「長崎県には石綿健康管理手帳は1,903名が交付を受けていて、昨年1,623人が検診を受けた」と回答しました。
 アスベスト使用建物等の解体については「石綿含有建築物の基準が0.5%から0.1%に変更になり、当時の設計書など保存もなく、お手上げ状態である」との本音も出されました。
 行動に参加した人たちからは「毎年続けているのでどこも丁寧な対応だった」などの感想が寄せられました。

長崎市がじん肺キャラバン長崎実行委員会に文書で回答

2013年10月09日 10時08分07秒 | 活動報告
長崎市(田上富久市長)は、なくせじん肺全国キャラバン長崎実行委員会が要請していた4項目について、事前に文書で回答してきました。
 同実行委員会は、例年長崎市に対し要請を続けていますが、要請時間が30分と限られているため意見交換が不十分なので、時間を延長するよう改善を求めていました。これに対し、市の担当者は、事前に文書での回答をおこなうことで時間の節約ができるのではないかと改善策を示し、今回から文書での回答となったものです。要請は10月11日午前10時から行われます。
 以下要請事項と回答を掲載いたします。
 1.長崎市で最大の企業である三菱長崎造船所に対するじん肺根絶に対する長崎市の対策についてご回答く ださい。
 回答(商工部 産業雇用政策課):長崎市の地域経済の発展を支え続けてきた造船業において、その経済発展の部分として、じん肺患者が生まれ、長い間苦しまれていることを思いますと心痛に耐えません。アスベストや粉塵による、じん肺被害をはじめとする健康被害から、労働者を守るためには、まず、企業が、従業員の安全や健康管理を何より優先し、配慮することが重要です。また、それは、企業の責務であると考えております。また、長崎市といたしましては、労働者を労働災害から守るために指導監督を行う立場である、国へ働きかけを引き続き行ってまいります。


 2.石綿含有建築資材等の廃棄処理に関する長崎市の対策についてご回答ください。
 回答(環境部 廃棄物対策課):石綿含有建築資材等に含まれるアスベスト(廃石綿等)につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第2条第5項の規定において、「特別管理産業廃棄物」として、同法施行令第6条の5の規定に基づき、より厳格な取扱いを求められております。また、その廃棄処理に関しましては、平成23年3月に環境省から「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第2版)」が出されており、長崎市といたしましても、これに基づきまして、保管、運搬、処分等を行う関係事業者等に対し、飛散や流失の防止をはじめとする適正な処理について指導を行っているところでございます。
 
 3.昨年要請した「長崎市立の医療機関に対し、肺がん検診時と肺がん発見時、間質性肺炎などの胸部疾疾患者に粉じん作業や石綿ばく露がないか十分な問診をおこなってください」への具体的な対処についてお聞かせください。 
 回答(市民健康部 地域保健課):長崎市におきましては、昨年度貴団体より長崎市立の医療機関において肺がん検診時と肺がん発見時、間質性肺炎など胸部疾患者に粉じん作業や石綿ばく露がないか地方独立行政法人長崎市立病院機構及び野母崎診療所に送付し、実施について対応をおねがいしたところです。

 4.昨年要請した「じん肺患者が間質性肺線維症で死亡する例が急増しています。長崎市立病院でも疫学調査を行ってください。また、病理解剖を希望する患者がいる場合ご協力ください」への具体的対処についてお聞かせください。 
 回答(市民健康部 地域医療室):じん肺患者の疫学調査の重要性については、長崎市立病院機構においても十分に認識しているところです。同機構からは、疫学調査とは、集団を調査し、病気の要因と発生の関連性について統計的に調査することであり、病院単独では統計数に限界があるため、国が主体となって実施することが重要であると考えており、国による調査が実施された場合、市民病院においても積極的にに協力する旨の回答があっております。なお、病理解剖につきましては、市民病院における平成24年の実績といたしましては、全体で13例実施しており、そのうち、じん肺患者等に係る解剖につきましては、該当する患者がおらず、実績がなかったとの報告を受けております。今後とも、病理解剖を希望された場合は協力していく旨の回答があっております。

じん肺キャラバン実行委員会が「じん肺・アスベスト学習会」を開催

2013年10月03日 11時24分12秒 | 活動報告
 なくせじん肺キャラバン長崎実行委員会主催のじん肺・アスベスト学習会は10月1日夜、講師に田村昭彦九州社会医学研究所所長を迎えて長崎県勤労福祉会館で開催され、全体で52名が参加しました。建交労からは18名が出席しました。戸田清代表世話人(長崎大学環境科学部教授)が主催者を代表してあいさつ、加世田和志長崎地区労書記長が連帯あいさつ、村里正昭事務局長がキャラバンの報告と提案、横山巖代表世話人(弁護士)が閉会あいさつをおこないました。
 田村先生は「『職業性呼吸器疾患研究会有志医師の会』『ドクターズネット・九州』の活動紹介と間質性肺炎をめぐって」と題して講演をおこないました。田村先生は「有志医師の会を発足させたのは、2011年末に厚労省の石綿肺がんの労災認定基準を改悪しようとした時」「翌1月7日には8名の医師が集まり会を緊急に結成した」と述べました。そして、「労働組合などと共同し260名の医師の賛同署名を提出し、改悪を止めることができた」「それ以来、勉強合宿や集いを継続している」と報告。
ドクターズネット・九州については「93年に発足し、全九州規模の職業病掘り起しを提起した」「そのためには、医師の組織化が必要ということで、医師の研修と交流の場になってきた」「2012年3月には、福岡で専門家を講師に大規模なアスベスト学習会を成功させた」と述べました。
 間質性肺炎をめぐっては宮崎地裁で勝利した田平裁判の判例をとりあげ、「石綿肺か間質性肺炎かが争われた都城労基署事件」と題して、争点、裁判所の認定事実、判断、判決の教訓について詳しく報告しました。
 田村先生の講演を聞いて、組合の果たすべき役割をあらためて痛感しました。厚労省の改悪を阻止するために、長崎でも組合員が診療を受けている医師のみなさんにお願いし賛同署名を集め、共に闘いました。さらに、宮崎地裁で勝利した田平裁判の教訓が医療機関にも影響を与えています。今後、一審判決で敗訴した川名訴訟と今山訴訟については、控訴審で勝利することがいかに重要であるかも痛感しました。
建交労長崎県本部 執行委員長 中里研哉

報告する村里正昭事務局長

講演する田村昭彦医師

第24回なくせじん肺キャラバン 長崎出陣式

2013年10月01日 17時30分32秒 | 活動報告
 第24回(2013年)なくせじん肺全国キャラバン長崎実行委員会は、10月1日12時15分から長崎市の中町公園で、出陣決起集会を開催し70名が集まりました。
 集会では中里研哉事務局長が主催者あいさつで「1990年9月25日の第1回長崎実行委員会結成式では具島兼三郎元長崎大学学長、河内貫一長崎大学名誉教授、鎌田定夫長崎総合大学教授、山下兼彦医師の4名」「さらに、翌年の第2回キャラバンの時には、山口仙二長崎原爆被災者協議会会長と秋月辰一郎長崎平和推進協議会会長が名を連ねておられます」と23年間の歴史について述べました。
 県労連の馬場隆副議長(高教組書記長)が連帯のあいさつを述べ、建交労の横山晃書記が三井神岡じん肺訴訟原告団、泉南アスベスト闘争団、下関造船じん肺闘争団、九州建設アスベスト訴訟闘争団から寄せられたメッセージを読み上げました。