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ニューロリハビリテーションの臨床応用を実践するリハビリ科専門医・道免和久の日記【CRASEED Rehablog】

医局制度を考える その3

2005-10-30 12:21:33 | 医局制度
「医局」を辞めるのはなかなか難しいようです。

もちろん、どこの職場でも社会的責任がありますから「明日辞める」ということは通りませんが、「半年後に辞めます」と言っても認められないことが多いようです。病院側も医局側も「診療体制が崩れる」とか「患者さんを見捨てるのか」という大義名分がありますから、辞める方にも罪悪感が生まれて、延期を迫られます。
さらに「学位を取るまでは医局にいなさい」と言われていた人が、「学位を取れたので来年辞めます」と切り出すと、「恩を忘れたのか、2~3年は御礼奉公しなさい」と言われます。これ以外にも、女性医師に対して「結婚しない約束をしなさい」と迫るような噂はよく聞きます。

一人の医師が医局を辞めることによって、ある地域の病院の1つの診療科がなくなってしまうことさえありますから、ある意味、地域医療の安定化にも医局制度が役立っているとも言えます。また、医局制度は、一定のグループがローテーションによって複数の病院(いわゆる関連病院)を支えていますので、特色ある病院で経験を積むことができ、医師の育成という点では利点も多いと思います。

しかし、私は、医局制度によって人事が硬直化しているところに問題の根っこがあると考えています。

入りやすく辞めやすい医局、あるいは、大学医局でなくても診療科グループが数多く育つことにより、人事が流動化すると思います。1人が辞めても、もし社会に必要とされている診療科であれば、また誰かが参加してくる、ブランクがあっても最短にとどめることができる、と思います。

その意味でも、新臨床研修システムは、研修先として大学医局を選択肢からはずす第一歩を踏み出すきっかけを作った功績があると思います。大学病院側は大変ではありますが、そこは自由競争となり、望ましいことと思います。大学病院の方も、研修医に選ばれるように相当の努力が必要になります。

来春には、新臨床研修医のシステムの初の「卒業生」が生まれます。多くの3年目の医師が、どのような選択をするか、つまり、特色ある専門医育成コースを作る市中病院に人が集まるか、大学医局に戻ってくるか、注目されます。

私達のグループは、大学医局のようでもあり、一般診療科グループのようでもありますが、両方の良い部分だけを残したシステムにしたいと考えています。御礼奉公不要、メンバーの投票による病院選定、最低条件(専門医までに2病院を経験する)以外には自由意志を尊重、など、全く新しい試みを実践しています。

あとは、将来の自分探しをしている多くの医師、研修医による自由選択を待つばかりです。

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