CRASEED Rehablog ニューロリハビリテーションとリハビリ医療の真髄に迫るDr. Domenのブログ

ニューロリハビリテーションの臨床応用を実践するリハビリ科専門医・道免和久の日記【CRASEED Rehablog】

6・11 リハビリを考えるシンポジウム(再掲)

2006-06-10 20:14:57 | リハビリ
頭部外傷や病気による後遺症を持つ 若者と家族の会 主催
 NPO法人リハビリテーション医療推進機構 CRASEED 協賛

わたしたちのリハビリを継続して下さい!
 ~6・11 リハビリを考えるシンポジウム~

日 時 : 2006年6月11日(日)  13:00 受付開始
会 場 : 「アステップKOBE」(神戸市男女共同参画センター)セミナー室1
       神戸市中央区橘通3-4-3
    地下鉄山手線「大倉山」 阪急・阪神「高速神戸」 JR「神戸駅」各線下車
  * 資料代 500円 先着150名受付
  * ご参加にお申込は不要です 直接会場にお越し下さい
  * 車椅子での入場可
  * シンポジウム後、交流会をもちます
    参加希望の方は受付にてお問合せ下さい *

講演内容と講演者

「診療報酬の決まり方とその背後にあるもの」     
      勝村 久司 氏   中央社会保険医療協議会委員・医療過誤原告の会
「新聞報道記事と医療現場での混乱」
      道免 和久 氏   兵庫医科大学リハビリテーション医学教室教授
            NPO法人リハビリテーション医療推進機構CRASEED代表
「個人クリニックでの矛盾と今後の展望」
      山口 研一郎 氏  やまぐちクリニック院長・現代医療を考える会
 厚生労働省担当係官(どうしても御都合がつかず欠席)

生存権の侵害で報道すべきこと

2006-06-10 08:52:07 | リハビリ
多田富雄先生が文芸春秋で述べられている通り、この問題は『生存権の侵害』なのです。

しかし、メディアの中には、すぐに『実害』を探す場合が少なくありません。『生存権の侵害』における『実害』とはです。

メディアの叡智は、問題の本質に深く切り込むことであり、「やっぱり死んだ。大変だ。」と騒ぐことではないと思います。今回の問題に限らず、さまざまな問題における報道で感じていることですが、「政府発表の垂れ流し」が多いように思います。それでは、報道各社の優秀な『伝える能力』がもったいないです。

ニュースソースが国家権力側に多いことが問題であれば、民から吸収する努力が必要です。それを取材と言うのです。国民からのメールやファクスも重要なはずです。それが現実に記事になることを国民に伝えて下さい。ネット署名の公開メッセージは、メディアの皆さんが国民の声を取材しやすいように作成したという側面もあります。

専門家が問題視していることは沢山あります。それが、巡り巡って国民にどう影響するのか、そこを地味に淡々と、しかし、鋭く深く伝えることが、メディアの使命ではないでしょうか?

リハビリ打ち切りの危機感が、患者さんに意外に少ないようですが、それは、何とか順法か違法かぎりぎりのところで、継続できるような方法を考えている医師が多いからです。例えば、立派な理学療法をやっているのに、打ち切ったら相当危険な場合に、『消炎鎮痛』というコーヒー代くらいの診療報酬で継続している病院もあります。でも、それでは倒産してしまいます。経済的裏付けなく、良心だけで医療を支えようとするとき、行く行くは限界が来ます。その先は、悲惨な医療荒廃。

どうしても継続しなければ寝たきりになることが明らかな場合に、病名を変えて150日を2回つなげげたことの違法性を指摘されたとき、「診療報酬の不正請求」と報道されるかもしれません。「必要なリハビリ医療を医師の責任において続けた」と言っても、違法は違法・・・。もちろん、悪徳医者がこのような部位ころがしで、不正請求する場合は、摘発されてしかるべきでしょう。

では、順法ということで、患者さんが死ぬことが「予見」できるのに、リハビリを中止したら、その医師と制度を作った厚労省は殺人罪を問われるのでしょうか? その可能性もあります。 良心的な医師ほど制度と目の前の患者さんの間で、悩み続けるでしょう。

臓器別の体系がリハビリ医療の初歩の初歩を無視しています。でも、すぐには実害はありません。だから、問題ではないとは言えません。そこは、現場の医師が苦悩して、欠陥だらけの制度を穴埋めしながら運用しているからです。

制度の理念通りにやれば、呼吸器リハビリを実施中に、手足に何が起きていようと見て見ぬ振りがまかり通ります。骨折の治療中に、昔の脳梗塞のことを無視していたら、転倒の予防はできません。高次脳機能も無視して治療しろというのが運動器リハビリの制度です。

実害が出るとは、そのような臓器別のアプローチだけで退院した患者さんが、再骨折をしたときです。それまで待ちますか?

センセーショナルな治療、神の手の外科手術、奇跡のリハビリテーション・・・テレビ画像にすぐにでもなるようなニュースが受けます。しかし、医療に関する報道で、そのような描き方は大変な危険をはらんでいると思います。