自画像の課題が終了しました。シンプルな課題ですが年に2回程度は描かせたい意義のある課題です。自画像には本人のその時の心模様が鮮明に表れます。しかし、自画像制作は楽しめることそうでない子の差がはっきりしています。本人よりもカッコ良く(?!)描くことができニンマリしている子。思うような仕上がりにならなくて自宅に持ち帰りたくないと訴える子。それほど自画像は難しいという思いが強く出る、つまづきの石になりやすいのです。
多く見受けられるのは「鼻が描けなくて、友だちに笑われた」「肌色が混色できない。顔が汚れた」「記号のような当たり前の顔にしか描けない。自分じゃない」これらが苦手意識の始まりです。ではそうならないための指導とは?本物そっくりに描くための技能的向上でしょうか。まったく違います。答えは「自画像を楽しむこと」です。難しいから楽しめるわけがない!と反論が聞こえそうですが、小学生の年齢期は模写を第一の目的ではありません。
例えば難しい算数問題を「難しいから好きでない」ととらえるのか、「クイズを解くみたいで楽しい」ととらえるのか。その差は結果が全く違ってきます。たとえ不正解であったとしても、どこが間違いの原因なのかを探る楽しさを知っている子は「なるほど!」の満足した声が聞こえます。図工も同じです。もちろん正解がないので点数をつけられませんが、達成感、充実感は算数以上に味わえると思います。
話を戻します。苦手意識を持たないようにするには「楽しさに集中する」外からの価値のない声や評価を弾き飛ばす。そうすると思う存分やり切り、完全燃焼させることができます。完全燃焼してるエンジンは最大限の推進力を生み、外部からの抵抗力を身につけられます。
写真はりょうたくん(2年生)の絵です。線に勢いがあります。迷いがないので、思いを出し切っています。本人の心がよく表れています。これこそが本物の「そっくり」ではないでしょうか。(でもね、)この絵は描き上げたその瞬間を持って役目を終わります。当の本人はいつまでもこの絵をいとおしく思い続けることはしません。すでに次の楽しみを楽しみにしています。これこそが楽しみを積み上げるということです。