みらいのダ・ヴィンチたちへ

できるかできないか。そんなことは明日に任せて、今このときを一所懸命に「ぼく・わたしは考えたよ。描いたよ。作ったよ。」

笑顔に救われて

2012年12月20日 13時23分48秒 | カリキュラム

12月の課題「ファッションデザイナーになろう」が完成を迎えています。今回もかなり手こずった様子です。(今回、マーカーでの着色で時間を稼ぐつもりでしたが、意外にも塗りつぶしに負担があったようです。ヒゲ先生の反省!)幼・小学年生には、平面かつ分離している袖の存在にも戸惑っていました。でも、そこも今回の私のねらいでした。(そうはいっても、この子たちの将来には布を断裁縫製する服飾はもう無いかもしれませんね。実際にミヤケイッセイさんは一枚布でできたドレスを発表していますから)モノづくりの大変さ、楽しさを一人ひとりがそれぞれに感じ取ってくれたらいいなと思いながら、ファッションデザイナー、布地のデザインをするテキスタイルデザイナー、型を起こすパタンナー、そしてファッションモデルに至るすべてを今回の課題で経験してくれたことと願っています。

クラスのお姉さんが早々に服が出来上がっていくのを見ながら、少し不安げになりながらもがんばっている姿に「塗りつぶし手伝おうか?」と声をかけても「じぶんでやる!」と最後まであきらめなかったKちゃんでした。終了時間が過ぎても手を止めないYちゃんがお母さんの応援が効いて、ラストスパート!みんなが帰った後、袖を通して、暗い外窓に自分の姿を見てひとこと大きな声で「やった!やった!」小さな指で、出来たての自分の服の裾を優しくつまんで、クルリッと笑顔で一回転。この時、一番喜んでいたのはYちゃんよりヒゲ先生の方だったことは秘密です。

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上段は「メカむし」2年生Kくん。下段は「ドラゴン?」1年生Yくんの作品です。


先生と交換スケッチブックしてみない?

2012年12月04日 19時03分28秒 | インポート

「この子いいかげんに描いているようですが、大丈夫でしょうか?」3年生
ここでいう「いいかげん」は5歳期前後の健全な行為である「なぐりがき」とは違い、いいかげんな描画行為をいいます。なげやり・乱雑に近い意味です。人によって解釈と基準がありますが、乱雑な筆(ペン)使いで勢いに任せ走り描きをする(塗り残しをする)、サイコロ形がおにぎり形になってもお構いなしをいいます。これらはどのようにして起きるのでしょうか。ある子の例です。
その日は人数が少なく、始まりが3名でした。これまで見たこともないくらいに集中して楽しそうに描き続けていましたが、10分を過ぎ3.4名が合流して着席すると、変化が出てきました。突然、ギクッギクッと走り描きが始まり、そうかと思うと机から離れていきました。
その時に、この子の心の声が聴こえてくるのです。「先生、私に注目して!この作業を続けてもいいの?完成させることができるのか、とても不安なんだけど」言葉では十分に伝え表現する経験が浅いので、走り描きという無言のアピールとして「先生こっちを向いてよ」と言っているのです。
この子にはこれから先の成功体験の蓄積で「一所懸命のスイッチ」が入ることになります。完成させることが、どんなに平安な心になるのかを知ります。それを待たずに、外から無理やり、やらされる「はみ出さないで」「ぬりえの練習」などの押しつけられては、自分を表現しようとする自発的な要求は生まれないし、不完全燃焼からの逃避になってしまいます。
もうひとつは、
いいかげんは個性であること。突き放した言い方になりますが、いいかげん」な描き方をどれだけ指導しても個性が変わることはありません。つまり、先述のように、押しつけ訓練では何も変わりません。(私も道を間違えたことも過去にありました)どうしたらよいか。声なき声を聴き上げることでしか、方法はないと考えます。結論です。繰り返し、対話を心がける中から引き出します。筆使いの指導の前にしなければ意味がありません。
またある子の例です。完全に手も思考も対話も止まってしまった子を前に、その子の うなづきから推測して、下絵のための線を薄く描いて見せました。この線をおおよその大きさだと思って描くように丁寧に伝えたつもりでしたが、しばらくしてみると、私の線に忠実に上からなぞっていました。多くの場合、経験が少なく興味がわかないため、表現する意欲が乏しい。何をして良いのか自分で見つけられない。これは「ぬりえ」訓練をしてきた子に多い行動です。先生の描いた線を塗りつぶす作業に満足するはずがないことはもちろんのこと、依存心の強い、柔軟性に欠けた活動になってしまいます。
これらの事柄は小中学年生に限りません。5.6年生になると成長過程(メンタルとテクニックの不均衡)の中で、創作活動に一時的なスランプがあるといわれています。そのような時にも
声なき声を聴き上げることは有効です。ダ・ヴィンチでは意欲のある子にはスケッチブックを渡します。(もちろん全年齢・生徒が対象です)その絵の中から理解し合えるヒントを見つけたいと考えています。お声をかけて頂ければ、本人に使い方を伝え渡します。「ひげ先生と交換スケッチブックしたい人、この指と~まれ」