噛噛堂 あと2112冊

遅読、積ん読、併読、乱読。それでも読んどく、70までの2112冊。いよいよカウントダウン。

美晴さんランナウェイ

2010年03月16日 | that's ものがたり棚

山本幸久    集英社  2007年
 27歳の美晴さんは、世宇子の叔母さん。「もう許さない!」と思ってしまう奔放で勝手気ままな美晴さん。そんな美晴さんが、実はさびしんぼうで、どんなにお母さん(世宇子のお祖母ちゃん)を思っていたかが、女の子から少女へと成長する時期の世宇子の目を通して描かれる。家族小説ならぬ一族小説(?)


各章トビラの挿絵、そして主人公・世宇子の年齢設定…
ジュニア小説の趣ですが、てゆーかジュニア小説?
いえいえ軽く見ているのではなく、ジュニアに訴えるってのはなまじなオトナ相手よりも大層なことですから。
中学生になんなんとする孫がいたなら、ぜひにもの推薦本。

家族のあいだで交わされる日々の会話の数々が、
小さな日常であっても、時としてやっかいなスッタモンダであっても、
どれもこの家のフツーを見事に見せてくれている。

家族の日常。それは、可笑しくてやがてせつなき。
お父さんのつくってくれるチャーハンや、
お母さんと半分こするおかわりのおしるこや、
世宇子の布団にもぐりこんでくる美晴さんのセリフや、
いろんな日常の何やかやはクスクスと可笑しくて、
だからそれが日常であればあるほど怒涛のようにラスト結婚式の日に集結していきます。
日常が、最後に怒涛。

とてもとてもとても、シアワセなものがたりです。

new78冊目(全84冊目)

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