噛噛堂 あと2112冊

遅読、積ん読、併読、乱読。それでも読んどく、70までの2112冊。いよいよカウントダウン。

サクリファイス

2010年04月28日 | that's ものがたり棚

近藤史恵    新潮社  2007年

ロードレースとはいかなるものか。
ってあたりがさらりとわかりつつ、さらりとミステリーの気配もあり、と。

しかし、両方さらりで、結局どっちも印象薄く…

new94冊目(全100冊目)


 ところで。

さすが大殺界の恐るべき最終年「停止」の年…
てんこ盛りです。
まぁ、本が読めてるだけ上出来としましょう。


尚、てんこ盛りの中には副業プログにログインできなくなっちまった事も含まれておりますゆえ、お身内方はどうか副業へのアクセスでお時間ムダにされませぬよう…

プリンセス・トヨトミ

2010年04月17日 | that's ものがたり棚

万城目学    文藝春秋  2009年

ああ。
仕掛けが、ありえないほどご大層。
発想が面白いとか、奇想天外とかのレベルで楽しめる閾値を越えてます。
っていうか達していないというか。

そのご大層さを「説明」で切り抜けてしまった(っていうか切り抜けきれずにかなり苦しい)箇所がいくつかあり、
まあ、マンガで見たかったかな、という感じでしょうか。

これが大阪でなく、勝手知ったる横浜が舞台!だったならば、
地元贔屓の目線で別の楽しみ方があったのかもしれませぬ。

って、あたしゃもはや地元じゃないだろ!ブルーライトヨコハマ…(泣)
中田の新党結成に憤慨できる立場じゃないしー
桜木町の新スポットも恐らく今後ずっと縁がないだろうしー
くそー
はー
ヨコハマーっ


new93冊目(全99冊目)

眠狂四郎無頼控 (二)

2010年04月14日 | そのむかし棚

柴田錬三郎    新潮文庫  昭和35年

現実の日々について深く考えたくない時がありますが、そんなときになんとも、
うってつけ。
都都逸、小唄に講談の、しゃべくり乳くりトトンがトンと調子も良いなか、
印籠代わりの円月殺法、すべてこれにて一件落着~
ただただ、ひたすら安心して活字に身をゆだねられるのも、この結果オーライ、予定調和があったればこそ。

さても二巻目では、御存じ大塩平八郎や鼠小僧次郎吉が痛快な縁で狂四郎にからみ、
幕末の喧騒や龍馬に限らずここにもあり~、、てな展開です。

そして何より楽しみなのは、無頼で孤独がウリのはずの狂四郎の「実は…」な一面探し。
実は、子供好き。
いざとなりゃ、めちゃくちゃ雄弁。
 てか雄弁すぎ。
極めつけは、けっこー、おっちょこちょい。
そのオッチョコでやらかしちまったコトへの自己フォローが無駄にニヒルでなぁ…

あー好きだあー、このキャラ。
やっぱ、GAKTOの舞台、見たいかな~

new92冊目(全98冊目)

あなたと共に逝きましょう

2010年04月13日 | that's ものがたり棚

村田喜代子    朝日新聞出版  2009年
 なんだかんだで今まで夫婦を続けてきた義雄と私。
そんな夫婦が、およそ睦まじいとは言えないすったもんだの中に終わった東北旅行から戻ってみれば、
夫はいつ破裂するかも知れぬという大きな動脈瘤を内に抱えた『風船』であることが判明した…


…むろん夫が死んでも明日はある。日にちは続く。しかしその明日は、将来、とは呼ばないのだ。将来とは人生の連れ合いが欠けたりするようなことのない、もっと翳りのない、まだ何かいろいろ充実してやることのある、そういう日々のことをいうのだ…

のっけから、
『夫婦』、それも30年も40年も『夫婦』してきた『夫婦』の風景が、これでもかこれでもかと展開され、
それは別に美しくもなんともないものだから、
素直に自分に引き寄せて、すっかり物語に入り込むことになるのでした。
だって、たった3年の我が家でも、それはもうトシがトシなだけに相手の『老病死』、我が身の『老病死』を考えない日はありませんから。

誕生にまつわる「ドンナ・マサヨの悪魔」がコテコテの小説!…てなノリでできあがっていたのに比して、
死や病や老いや夫婦をテーマにした本作は、いつしか限りなくノンフィクションな体験記をたどっているような気分にもなる一冊でした。

new91冊目(全97冊目)

氷姫

2010年04月12日 | やぱミス棚

カミラ・レックバリ    集英社文庫  2009年(2003年Copyright)
海辺の家のバスタブに凍ったまま横たわった全裸死体は、作家エリカの幼き日の親友・アレクサンドラだった。ずっとアレクサンドラとは疎遠だったが、偶然にも遺体を発見することになってしまったエリカは、地元警察の警察官であり幼馴染のパトリックと共に、この不可思議な遺体について調査をしていくことに…
スウェーデンのミステリ作家カミラ・レックバリのデビュー作にして大ヒット作である本作は、今後次々とシリーズが邦訳されることが待ち遠しく望まれる「エリカ&パトリック事件簿」の第一作目でもある。


ミステリだけど、
ミステリしてない部分 がめっちゃ楽しい不思議なミステリ。

まずは何とものんきな雰囲気のスウェーデンの地方警察署。
どんなに地方でもアメリカじゃこうはいかんでしょう!
まず、そののんきさが味わい。
その最たるものが、禿げ隠ぺいも涙ぐましい、いけすかないことこの上ない警察署長メルバリの人物像。
ニヤニヤ笑いなくして読めませぬ。

かつての親友の悲惨な死、加えて事故で両親を亡くしているエリカは人格破壊者?てな妹婿と遺産相続で泥沼の攻防戦を繰り広げなければならない状況…
なのに。
あらあら、旧交を温めたパトリックとブリジット・ジョーンズの日記なノリでフォールインラブ。
ダイエットへの後悔と勝負下着への気合いはクスクス笑いなくして読めませぬ。

いやー、ミステリ部分としては、
なぜアレクサンドラが『その男』にそんなに惚れちゃったの?!
という部分にいまひとつ踏み込めていない!
まあ、惚れたはれたの世界は不可解だから。
とはいえ、その不可解を読者に了解させるのが小説だと思うのですよ。
エリカとパトリックの恋の駆け引き描写があまりにも懇切丁寧なもんだから、結局は人ひとりが命を落とすまでに至った方の男女のナニガシが余計にあっさりと感じてしまう次第。

そんなこんなを差し引いても、「楽しく読める」稀有な雰囲気のミステリといえましょう。
二作目以降では、エリカと亡き母との確執が何であったのか…等々、本作でチラッと触れられていた小さな謎が次々と物語の中心に展開していくようです。

東京都民の人口よりはるかに少ない人口900万人のスウェーデンは、
実はヨーロッパでは5本の指に入るミステリ大国なのだそうな。
初めて知るも、うなずける一冊でした。

new90冊目(全96冊目)

刺繍

2010年04月07日 | that's ものがたり棚

表紙イラストと題字と、絶妙な活字・文字間・行間に誘われて手に取った一冊は、
第21回 太宰治賞受賞作。
それにしても、この年にして未だ太宰作品「走れメロス」オンリー…

川本晶子    筑摩書房  2005年

日々が過ぎるのと同様に、私たち父娘は、母に忘れられてしまった事実に、少しずつ慣れていった。慣れるというより、母の変化の慌ただしさについていけなかったのかもしれない。慣れるふりをして、一つ一諦めていくという作業を、その頃進めていたような気もする…

認知症で「壊れて」ゆく母。
器用で、エリの家庭科の宿題も、刺繍も編み物も、その手から様々なものをつくりだしていた母。
壊れても、その手は何かを作りだそうとするかのように毛糸玉をこねくり回し。。。。

介護系のネタもさほど珍しくはない、どころか食傷気味かもしれないほどの昨今ですが。
母の介護に実家へ戻ったバツイチ四十路イラストレーターの娘エリ、
その娘のうーんとうーんと年下の恋人・敏雄、
敏雄を慕う、というか恋している?!母、
「敏雄君にいっしょに暮してもらおう」と提案する父。
そんな4人の『生活』は、
淡々としていながらユーモラスで、
残酷なほど現実的で、
でありながら夢のようでもあり、
随所随所にホロリの種。
介護体験記が『小説』に昇華するのはどのようにしてなのか、
そのエッセンスがたっぷりと詰まっています。

母との時間に寄り添うように、私は刺繍をした。刺繍は祈ることに似ていた…
おお。
アタシにとっての編み物が、いつしか『祈り』に変わっていると気づいたここ半年ほど。
ここん箇所、ズバリ直球琴線に触れるのでした。
今日も編みます。

new89冊目(全95冊目)

日本の食欲、世界で第何位?

2010年04月05日 | 食っ棚

さて、そばを多く生産している国はどこでしょう?

「…とくるならば、少なくとも日本じゃあるまい。どこだろう?」
と、思った人なら、そばに始まり、クジラやマグロも押さえて、はては冷凍食品、糖尿病患者割合まで、データと自らの体験をからめてうんちくを披露してくれるこの一冊を楽しめること間違いなし。

岡崎大五    新潮新書  2010年

牛肉をよく食べるのは、第一位アメリカ又はオーストラリアでしょ?と思ったら…
意外や意外、アメリカは第3位、豪州は第4位。
日本は、84位。
てな具合に、必ず我が国がどのあたりに位置しているのかがわかるようになっており、
加えて、食べるの第一位は○○○○○○でも、
生産第一位はアメリカ、
で、その牛肉を一番多く輸入しているのは、なんと○○○○で、
輸出量が一番多いのは○○○○、
そして、日本に来る牛肉はどこから来るのかで、一位豪州は言わずもがなとして、6位バヌアツって…
一食材についてフォーカス角度を変えてみるだけで、食べ物と世界がまた違った色合いを呈してきます。

じゃあ輸入量は輸入量として、その輸入した牛肉の使途はいかに?
…とまで徹底究明しているわけではないので、
ま、そのあたりはもとより「新書レベル」と含んで読む必要はありますが、ね。

new88冊目(全94冊目)

シャッターアイランド

2010年04月04日 | やぱミス棚

デニス・ルヘイン    ハヤカワ文庫  2006年(2003年Copyright)

こんなにまで、、、
こんなにまで大がかりにする意味が、よくわからんぞー。

以下ネタばれ御免。

類似の手筋としては、セバスチャン・フィツェック「治療島」の方が、
「ここまで仕掛ける」意味がまだしも納得できる、でしょうか。
「治療島」を読んでいたせいか、「シャッター…」のオチは途中で見えてしまい、
となると後はずっと、「なんでこんなに大がかりに?」と首をひねるばかりなのでした。

new87冊目(全93冊目)

文学賞メッタ斬り!

2010年04月02日 | 本との話

大森望/豊崎由美    PARCO出版  2004年

読みたい読みたい読みたい読みたい読みたい読みたい読みたい読みたい…
と思っていながら、アッという間に2、3年なんて過ぎてしまうものですが、
いやー、ほんとに。
なんでもっと早くトライしなかったかねぇ。
痛快っ。
タイトルに誇張なし、掛け値なしのメッタ斬り。
初めて聞くよな超マイナーな賞についてですら、二人の俎上にのったならば「うまい」料理のいっちょあがり。

鼻づまりで頭ガンガンのド風邪ひいてまるまる2日間寝込んでいたときにでも、
これだけは読めた。というほどの痛快さといえばわかりやすいでしょうか。


それにしてもこの両氏。
嗚呼、同い年とは。
中途半端なジンセー航路の我が身にとっては、一芸に秀でる方々はどなた様も御神体。
その上同い年とは。
ま、いっこ上でもいっこ下でも、同い年でさえなきゃここまでジンジンこなかったかも。
同い年マジックですな。

本に、出版に、活字に、作家に、その裏の裏に、上下左右前後東西南北に精通するということの凄みに感服の一冊です。

new86冊目(全92冊目)

凸凹デイズ

2010年04月01日 | that's ものがたり棚

山本幸久    文藝春秋  2005年
 凪海は、大滝とクロが運営する弱小デザイン会社「凹組」の新人。つぶれかけ遊園地の再生企画でキャラクターデザインが認められた凪海は、今をときめく新進デザイン会社のQQQに出向することになるが、QQQの美人社長・醐宮はなにやら凹組とワケありの因縁がある様子…。はたして生き残るのは凹組か、QQQか。青春オシゴト物語。
 

遊園地再生を旗振る副社長、
その比喩が 『ビルとテッド』の頃の莫迦っぽいキアヌ…

わかりやすすぎー(笑)

キアヌは『JM』んときが一番カッコよかったよな。うわ、過去形。

new85冊目(全91冊目)