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噛噛堂 あと2112冊

遅読、積ん読、併読、乱読。それでも読んどく、70までの2112冊。いよいよカウントダウン。

ゆれる

2009年07月29日 | that's ものがたり棚

西川監督作品「ゆれる」の、西川監督自身による小説「ゆれる」。

西川美和    ポプラ社  2006年

血のつながり。
うんざりするほど湿気にまみれ、どろどろと腐臭を放ち、べったりと貼りついてくるもの。
鼻の奥がツーンとくるほど甘やかな一瞬を誇り、うっすらと皮膚をやわらかく包み込むもの。
血のつながり。
いやも、いいも、ないもの。…


さてと。映画は見ていませぬ。
西川監督は、映画ですくいきれなかったことを活字に追い込む作業を今度の「ディア・ドクター」でもされているようですが、
映像の手練れイコール小説の手練れとはいかないようで。
表現者としての「思い」が、あまりにもちりばめられすぎた文章は、文章としては吟味されたのでしょうが、「小説」という作品手段で全体を堪能しようという身にとっては、
オール緊張をはらんだ文章の連続が、、、、少々かったるいのでした。
平平凡凡な表現もあってこその、ヤマ場、見せ場といったところでしょうか。

やはり映画で観たいものです。
もとい。映画観たいものです。
特に、兄が知っているということを弟が気づくことになる、あのシーンを…

new21冊目(全24冊目)

竜馬がゆく (六)

2009年07月28日 | 「この人」を見よ棚

さあ!あと、3冊だ! とセルフ叱咤激励。
一気に読めばよかったのだが、2巻目以降は図書館利用にしたため合間合間にややタルミが…

司馬遼太郎    文春文庫  1963~66年

「生きるも死ぬも、物の一表現にすぎぬ。いちいちかかずらわっておれるものか。人間、事を成すか成さぬかだけを考えておればよいとおれは思うようになった」…(本文より)
そういうこの人の、いずれ迎えるその死の場面がどう描かれるものか。
運命のXデーも近き6巻読了。


それにしても高杉晋作の船の名前よ。
オテントサマ号って…
幕末、すごすぎ。

new20冊目(全23冊目)

わたしの旅に何をする。

2009年07月27日 | ワハハもしくはクスリ棚

美容院で読んでた雑誌の「笑える本紹介コーナー」で紹介されていた、旅エッセイ「ときどき意味もなくずんずん歩く」。
タイトルに惹かれて有隣堂に行ったら(案の定)なくて、
ジュンク堂に行ったら、それより先に出ているこの「わたし…」と2冊並べて売っていた。
「ときどき…」よりも更に惹かれるこのタイトルにより、2冊お買い上ゲット。

宮田珠己    幻冬舎文庫  2007年(2000年に旅行人より刊行)

女の人だと思ったら、男の人だった。
著書をみたら「ふしぎ盆栽ホンノンボ」の著者だった。
まあ、ホンノンボは、着眼の面白さに借りたはいいが、同時に借りたもっと面白い本の方に集中してしまったため、あっさりと期日で返してしまった一冊だったんだが。

作風。と、というよりは、この 芸風。
哲学教授の土屋賢二に似ているような。
そう、芸風もだけど、雑誌の連載時にちらっと読む分時にはめっちゃ面白いのに、
まとまって本になって、集中攻撃的に読むとちょっとうっとうしいとこなんざ、ソックリ。

それでも ちょっとずそずわしますが はヤバかった!
10行目でメガトン級の笑発作が、のどちんこの上までこみあげてしまい、それをこらえたら鼻の方からブホッと漏れてしまった。鼻くそがたまっていなくて幸い。

そう、電車の中。

必死でカンジーザイボーサツギョージンハンニャーハーラーミッタージーと心中となえてシキソクゼクウの境地にわが身を追いやったが、危なかった。まったく。


家にたどりつき、さてさてじゃあメガトンに笑わしてもらいましょうかねっ!
と、続きを読み出したら。
あれ。
メガトンていうか、線香花火級?
いつもながら不思議だよね、電車車中魔力。
泣きも笑いも10倍濃縮の磁場だよね。

ま、線香花火でも、それはそれですべての話にちりばめられているし、時には不発もあるが、時には10本束になって暴発もあり、ってことで、あははと楽しんだのでした。

new19冊目(全22冊目)

9割りの病気は自分で治せる

2009年07月26日 | 体棚

桐島洋子さんが書いたわけじゃなくてね。桐島洋子さん推薦。
その、推薦の、「オビ広告」と思いきや、、、
とれません。このオビ広告。
表紙一体型のオビ広告。
一体型なら、もはやオビでなく表紙広告?
絶対の自信のあらわれでしょうか。

岡本裕    中経の文庫  2009年

最近とみに言われている「自己免疫力」の本。
9割とはまたカゲキな、、とも思いますが、
じっくりキチンと自分の体調に問うてみれば、「それって、病気?」というような、もともとはハンドルの遊びレベルの体調のブレの段階で医者にかかっちゃいませんか?ということなわけです。

自己治癒力を高める14の方法の中で、もっとも「よっしゃあっ」と思ったのは、
読書のススメ。
正確には、「海外旅行や読書」とあって、「海外旅行」と並列なのですが、
前者をストレスに感じるアタシにゃ、後者のみで十分。
だって、ご推奨の14の方法それ以前に、自分のやりたいことをやる、嫌なことはできるだけやらないように工夫する、あまり我慢をしない… これが一番強力な自己治癒力UPの秘訣なんだということですから。

まあね。
それができれば、ね。(…)
とりあえず、読書、読書。せめて、読書。

new18冊目(全21冊目)

おそめ

2009年07月19日 | 「この人」を見よ棚

「伝説の銀座マダム」    石井妙子    新潮文庫  2009年(2006年・洋泉社)

光り輝くようだった、という若き日の秀。写真がある。確かに、美しい。だが、と私は思う。秀の美しさは写真では捉えきれぬものだったのではないか。それは、ちょうど、蛍や、月の美しさを写真に残せぬのと同じように…(本文より)

いまは、老いの中を生きるおそめ(秀)との偶然の、しかし運命の出会いにより5年がかりで「おそめ」を著すことになった著者。
この著者がまた、美しい…
美しいものが大好きだったというおそめは、この石井妙子氏だったからこそ、つきあい始めてのある日、「これ」…と黙ってある箱を渡したのではないか。
「おそめ」だった秀の写真を、整理もせずに詰め込んだ箱を。
川端康成と、里見と、大仏次郎と、小津安二郎と、並んだ写真の詰め込まれた箱を。
この箱は棺だった。中には、おそめ、と謳われた女の亡骸がいっぱいに詰まっている。
私は、いったい、どう弔えばいいのだろう。
私は、傍らのひとに問いたかった。
あなたの生の痕跡をめぐる旅に出ることを許してもらえるか、と。…


おそめに対する熱い想いを内包しつつも、抑制された、冷静な、公平な筆致でまつわったことどもを人々を浮き彫りにしてゆく著者。
これは昔の話だけれども、まだ歴史の彼方に行ってしまったことではない。
いまだその生の流れを受けて世間に生きている人々をおもんぱかったことと、
「おそめ」を浮き彫りにするために、どうしても描き出さなくてはならなかったこと。
この相容れない二つの要素を、見事なまでに矛盾なく、読者に提示する力量よ。
毎日新聞囲碁欄にて囲碁記事を担当されているという和服の麗人・石井妙子氏に、次回作も期待しつつ、でも、おそめとのあまりにも運命的な出会いによる本書以外には手を付けてほしくない気持ちもあったりと、フクザツなのでありました。



new17冊目(全20冊目)

八朔の雪

2009年07月13日 | 食っ棚

時代小説は食指の動くジャンルじゃないにも関わらず、美容院で読んでた雑誌(←とうていアタシ世代をターゲットにはしていない)の、「絶対泣ける本特集」をながめていて、ここらで久々に、ちょいと泣き本、いいね… のノリで、そのまま本屋へGO。

--みをつくし料理帖--  高田郁    ハルキ文庫  2009年

つるつるつるつるつるつるつるつる…読めてしまう。
この『漫画感』はいったいナンダ?!…と思ったら、
この初めて名を知る作者はもともとレディスコミックの漫画原作者だったのね。
どうりで。
絵がうかびます。
その上、やいやいやいやいっ!泣かせようとするないっ!てな、大変にわかりやすすぎる(=ぽっぽや級)泣き地雷が満載。
ふつうなら、やいやいやいやいっ!てやんでえ!と、
いつもながらいとも簡単に反応する我が涙腺を引き締めにかかるところですが、
なんとこいつにゃ、アタシの泣き所 料理 がからんでる。
しょうがない。素直に泣きます。

野江ちゃんはどうなるのか?
小松原さまは何者なのか?
佐兵衛は見つかるのか?
こいつは書き下ろしの続きものですな! わくわく

気の張る大作連続巻モノ、たとえばそう、「竜馬がゆく」のような。
その合間にサラッと一日だけ、かるくおいしい涙を流すに最適。
料理好きは必読 

new16冊目 (全19冊目)

竜馬がゆく (五)

2009年07月12日 | 「この人」を見よ棚

司馬遼太郎    文春文庫  1963~66年

池田屋ノ変を中心とした前半部分は、しょーじきカッタルイ…
そこをもしかし、司馬先生はこうしてググッとひきつけて下さるのです。
…だから、小説の場面を、竜馬とは一見無縁の長州に移している筆者を、読者は迷惑とされるかもしれない。
が、維新史は、その歴史そのものが壮大な戯曲である。
しかも、この劇は諸所ほうぼうの劇場でばらばらに興行されているのではなく、一ツ劇場の一ツ舞台で演じられている。
この時期の長州藩の異常加熱は、浪士志士団の暴発をよび、池田屋ノ変を誘発し、さらに池田屋ノ変はそれに憤激した長州藩兵の大挙上洛となり、幕府の第一次、第二次長州征伐、竜馬の海援隊の活躍というように関連してゆく。
しばらく読者も、眼を本州の最西端防長二州に移しつづけられたい…
(本文より)

まいりました。眼を移しつづけます。

後半は、いよいよ西郷と竜馬の出会い。幕末の奇縁 がたっぷりと堪能できまっせ

new15冊目 (全18冊目)

がんになったらすぐ読む本

2009年07月06日 | 体棚

『がん常識の嘘』改題文庫化
渡辺亨    朝日文庫  2009年

がんは、病気の問題とか、医療の問題とかいうよりも、
哲学領域の問題。
そう思ったのは、Dr.中川「がんのひみつ」を読んだ時から。

これもまた腫瘍内科医の第一人者による本ですから、具体的な治療の最前線、トホホな医療の実情が非常にわかりやすく提供されており、もはや二人に一人がなる病なのだというなら、タイトルいきなり「すぐ読む本」でも良いのかもしれません。

よく言われるところの5年生存説、10年生存説に送られる、こんなチクリの言葉に、ここでもまた改めて『がん=哲学』の認識が深まるのでした。
…こう言うと、「結局、治らないのか」と悲観的になるかもしれません。しかし、そこは考え方しだいです。がんにかからなくても、すべての人が死亡率100%です。それに5年、10年先の自分がどうなっているか分からないにもかかわらず、がんとなると生存期間の意識にしばられがちです…(本文より)

new14冊目 (全17冊目)

ヒラリーをさがせ!

2009年07月04日 | よのなか棚

そういえば、積んどく山にあったハズ…と、政治づいたついでにもう一冊。

横田由美子    文藝春秋  2008年

『女性』ライターがあぶり出す、日本の『女性』議員たち。
しかし『女性』議員をあぶりだそうとする試みは、同じく『女性』と冠されてしまう職業を選び取ったライターである自身の鬱屈、というか恨み節をあぶり出してゆくのでした。
なので『女性』読者であるこちとらも、おもしろがってばかりもいられないのですが。

ま、男にかぎらず女にかぎらず。
竜馬の時代のダイナミズムにはほど遠い、爪の垢にもなり得ない、今の時代。
目を背けるわけにもいきゃあせぬが、
今はしばし幕末へ。
ささ、竜馬の第五巻 

new13冊目 (全16冊目)

政治家失格

2009年07月01日 | よのなか棚

田崎史郎    文春新書  2009年

「総理の資格」の次にコレときちゃあ、政治好きみたいじゃないの(笑)
まあ、好きじゃなくとも、知らなくっちゃあ始まらない分野ですね。

「政治家失格」というカゲキなタイトルの割には、淡々とした、、というか「記事」然とした内容。
それもこれも、「総理の資格」の、タイトルの割にはカゲキな内容の後だからでしょうか。
「政治家の資格」と「総理失格」てな具合に入れ替てみた方がしっくりきそう。

さて、著者が政治家の言葉の力の章で言及している、情緒に訴える「ラポート・トーク」と、情報中心の「リポート・トーク」になぞらえれば、
「総理の資格」はラポート。
「政治家失格」はリポート。
時事通信で長く政治記者をつとめた著者ならではの、リポートです。

new 12冊目 (全15冊目)