噛噛堂 あと2112冊

遅読、積ん読、併読、乱読。それでも読んどく、70までの2112冊。いよいよカウントダウン。

おせん

2010年08月19日 | そのむかし棚


池波正太郎    新潮文庫  1985年

江戸の時を生きたおんなたちが13編。
うまうまです。
とっくりたっぷりじんわりと、“ものがたり”ってものを味わいきった読後は、
これぞまさしく、
「短編が書けなくてものがたりが書けるか~!」の、池波巨匠的面目躍如。

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眠狂四郎無頼控 (三)

2010年05月09日 | そのむかし棚

柴田錬三郎    新潮文庫  昭和35年

眠狂四郎シリーズ新装版で店頭平積み?!
ついこのあいだまで、たいがい数巻欠け状態。
図書館でも書庫から出してもらわなくちゃならなかった眠シリーズが。
GAKTO効果ですか。
しかし新版はやっぱり丸々大活字。
疾風を起こして、一身を竜巻と化した狂四郎が、ぴたっと、静止相にかえった時、すでに、数個の生命は、あの世に送られていた…
こんな描写も丸々大活字じゃあ、フットワークが重すぎるというものです。
というわけで、今後も眠シリーズは書庫から出してもらう昭和版で読み進めたいと思います。

第三巻にいたって、上記抜き書き部分じゃないけど、
あまりに「あの世に送られ」る人数の多さに辟易とする部分もあるのですが。。。
時代モノのオヤクソクとして、そこはサラリとスルーしましょう。
それよりなにより第三巻は、狂四郎と女たち
運命の一対である美保代をも、静香が見せた命を賭けての誠意を前に、
「よし!美保代をすてる!おれは、お前を妻にする!」…



って、おいっ!

さてさて、そんなナルシーなキャラ部分は、やっぱりGAKTOでナイスキャスティングなのではありますが、
そのルックスにて、女子であれば敵をも惑わせてしまう…ほどの美オーラって部分はいかがなものでしょう。
ま、遠いですからね。
舞台は。
ズームないし。

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眠狂四郎無頼控 (二)

2010年04月14日 | そのむかし棚

柴田錬三郎    新潮文庫  昭和35年

現実の日々について深く考えたくない時がありますが、そんなときになんとも、
うってつけ。
都都逸、小唄に講談の、しゃべくり乳くりトトンがトンと調子も良いなか、
印籠代わりの円月殺法、すべてこれにて一件落着~
ただただ、ひたすら安心して活字に身をゆだねられるのも、この結果オーライ、予定調和があったればこそ。

さても二巻目では、御存じ大塩平八郎や鼠小僧次郎吉が痛快な縁で狂四郎にからみ、
幕末の喧騒や龍馬に限らずここにもあり~、、てな展開です。

そして何より楽しみなのは、無頼で孤独がウリのはずの狂四郎の「実は…」な一面探し。
実は、子供好き。
いざとなりゃ、めちゃくちゃ雄弁。
 てか雄弁すぎ。
極めつけは、けっこー、おっちょこちょい。
そのオッチョコでやらかしちまったコトへの自己フォローが無駄にニヒルでなぁ…

あー好きだあー、このキャラ。
やっぱ、GAKTOの舞台、見たいかな~

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眠狂四郎無頼控 (一)

2010年03月23日 | そのむかし棚
言っときますけどGACKTファンじゃないですから。
とりあえず言い訳してしまうほどタイムリー?
たまたま噛噛堂ではシバレンキャンペーン中だったわけですが、眠がGACKTで舞台化とは…

柴田錬三郎    新潮文庫  昭和35年

シバレン作品は買い集めようかなぁとも思ったのですが、懸念は昨今の活字拡大化です。
…やがて、深夜の路上に、幾人かが円月殺法をあびて仆れ伏す筈であった…
ってなノリをですよ、これ以上太りようもないほどにまるまるっちい活字で読んでごらんなさいよ、
そりゃ円月殺法どころか月に向かってお仕置きよ、ですがなー。
なので図書館の倉庫に眠っている真っ黄色に変色した古文書並みの文庫にて味わうことといたしました。

それにしても眠狂四郎。
とりあえず一巻目を読んでみたところでは、
無頼とか孤独とかと言いつつも、
けっこー、おせっかい焼き。
かなり、さびしんぼう。
かまってもらいたいキャラ。

いや~、自分の方から果たし合い仕掛けるし、
あまつさえヒトのかたき討ちにまで首突っ込むし。
そういう意味では、GACKTにぴったりじゃん!ナイスキャスティング。
大河んときの謙信ノリでやってくれるんでしょ?
無頼とか孤独を気取っていながら「見て見て~、オレを見て~っ」感じで。
うーん。そりゃまさに眠狂四郎。いいかも。


実は、物語としては、ころび伴天連の父親に対する葛藤がいつしかどこかで人物をデカくするために昇華していくのか…
と、そこにふくらみを期待していたのですが、「え?まじ?」ってくらいあっけなく出会って、しかも殺しちゃったりして。
それでチャンチャンにしてしまうのかどうなのか?!
そこんとこも知りたいじゃないかとばかりに二巻三巻への期待を持って、第一巻の終わりです。

new83冊目(全89冊目)

梅一枝

2010年03月19日 | そのむかし棚

柴田錬三郎    集英社文庫  2008年(文庫版オリジナル編集)

シバレン。
まずは作家というより、よくテレビに出ていたうちのおじいちゃん似のヒトなる認識。
作家としての認識は、まだ中国loveだった頃に「てっとり早く三国志を読破したい」と手に取った「英雄ここにあり 上・下」
続いてこれも中国モノ「毒婦四千年」
いずれも、なんとも血沸き肉躍る読中感!
そのうち全作品を読破してみたい…なんて思いつつも無為に時は過ぎてゆき…
それがなんだかキブン的に、突然今年はシバレンな感じです。
ウォーミングアップとしては短編がよろしかろうというわけで、手にとった剣豪モノ。

9編の中で実はラスト1編だけは、剣豪ではなく、気持ちだけは剣豪にならんとしたある小者の話。
剣豪小説集でありながら、トリをつとめたのが剣豪ではなく、ジブンに重ねられる程度の情けなき小者とは。
なかなか憎い編集です。

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