噛噛堂 あと2112冊

遅読、積ん読、併読、乱読。それでも読んどく、70までの2112冊。いよいよカウントダウン。

しがみつかない生き方

2010年08月20日 | 考え棚
副題「ふつうの幸せを手に入れる10のルール」
香山リカ    幻冬舎新書  2009年


〈勝間和代を目指さない〉の部分が、突出して話題となってしまいましたが。

生物としての自然のプロセスである老い自体は、「良い」とか「悪い」とかいった価値判断の外側に位置するものであるはずだ。 〈老病死で落ち込まない〉より。

高橋尚子でも、“オリンピック出場”を「本当にかなえたい夢なのか」と自問し続けたら、自分でもわからなくなるのではないか。 〈仕事に夢を求めない〉より。

親も子も、当時はそんなつもりはなくても、窮地に追い込まれると必ず「こうしてやったのに」と互いに恩を着せたくなるもの… 〈子供にしがみつかない〉より。

含蓄でございますな。

それにしても最近の発言で気になるのは、スポーツ選手と宇宙飛行士。
彼らが子供たちに語ることを許されるのは「夢」だけなんでしょうか。
てゆーか、「夢」関係を言っとけばとりあえず無難みたいな。
昨日も「言うなこりゃ」と思ってたらホントに言っちゃうし。「夢を持ってください」by本田圭佑。

ま、他にもいろいろ言ってたとしても、テレビ側の編集カットで「夢」なのかもしれないけど。

カマしてくれるスポーツ選手に、シャレの効いた宇宙飛行士の登場が待ち望まれます。

new111冊目(全117冊目)

サラリーマン劇薬人生相談

2009年05月23日 | 考え棚

「森に眠る魚」にて煩悩まみれの奥様方(ジブン含む)に遭遇したあとにゃ、なんだか悟りでもひらいてみたくなり…

ひろさちや    ベスト新書  2008年

人生相談の多くは、両方とも手に入れたいという相談者の欲張りに答えようとしています。そうすると、相談者の悩みはますます深まるだけです。わたしはそんな解答はしません。どちらかをあきらめなさいと言います。それが「劇薬」の意味です…(本文より)
その「劇薬」っぷりときたら、
「この人は結局、自分は偉いと思っているだけだと思いますね」 
「放っておきなさい」 
「これはどういう答えを求めているのでしょう?」 

とまあ、びしばしと、いっそ痛快なほど切り捨てて下さるわけですが、
ひろ先生、70過ぎたところでふと、いまさら過激なことを書いて誰かに暗殺されたところでもう元は取っている…と思い至りいよいよ遠慮がなくなったとか。
難を言えば、寄せられている相談があまりにもステレオタイプというところですが、ステレオタイプな分、どこかジブンに通じる範囲も広いというわけで、劇薬はびしばしとこちらに向けて効き目をあらわします。

「森に眠る…」彼女たちには、以下の一節を贈りましょう。(つーか、アタシももっともっと早くこの一節に出会っていたかった、かなー、うん)
われわれはみんな仏の子で、わたしのこの命はわたしのものではなく、わたしがお預かりしている命なのです。わたしの子供はわたしの子供ではなく、仏様の子供を親として預かっている。子供のなかには、目の見えない子供、足の不自由な子供もいるでしょう。
しかし仏様は、この子をオリンピック選手にしてくれなどとは頼んでおられないのです。
「この子を、この足の不自由なままで幸せにしてやってくれ」と頼んでおられる。
目の見えない子は、目が見えないまま幸せにしてやってくれと頼んでおられる。
勉強のできない子は、勉強ができないまま幸せにしてやってくれ、勉強がよくできる子は、勉強がよくできるまま幸せにしてやってくれと頼んでおられる…


「勉強がよくできるまま幸せに…」 それが一番難しいかも。知と智の違い。

new 6冊目 (全7冊目)

無宗教こそ日本人の宗教である

2009年05月11日 | 考え棚

島田裕巳    角川oneテーマ21  2009年
…無宗教は信仰の対象ではない。それは世界そのものであり、私の中にも広がっている。可能性はそこにしかないとも言える。まだ、無宗教についての考察ははじまったばかりなのである… (本文より)


タイトルで、どーんと引き込もうと企む昨今の新書事情からすると、
「○○である」
って、この言いきり型は、ヘタすりゃトンデモ本かもねと思いつつも、
「あなたは宗教を信じますか?」多くの日本人は、答えることができない(帯広告より)
ハイ、その一人ですから。
何か新興宗教にでもすーっと引き込まれるかのように(笑)、思わず手にとっちゃいましたよ。

いやいやいやいや、どうしてどうして、
他の宗教に対して排他的にならざるを得ない一神教。
「森」をダメにしてきたのも、この一神教ではないのか、ということを、名著「魂の森を行け」でも宮脇先生がおっしゃっており、つい先日の感銘がここでまたつながる読書リンクの醍醐味を味わいましたな。

キリスト教ではないし、ましてやイスラム教でもなく、
仏教かと言われてもうーんちょっと言いきれず、かといって神道もどうなんでしょ。
でも、無信心、というわけでもないのです。
そう思ったらぜひともご一読。
日本における各宗教のこれまでの浸透の経緯から、各宗教の特徴からを織り交ぜ、
そこはかとなく無宗教を自認するすべての日本人に自信と誇りと希望をもたらす、
スカッと爽やか解明本 でございます。

new 2冊目 (全2冊目)