噛噛堂 あと2112冊

遅読、積ん読、併読、乱読。それでも読んどく、70までの2112冊。いよいよカウントダウン。

竜馬がゆく (四)

2009年06月28日 | 「この人」を見よ棚

司馬遼太郎    文春文庫  1963年~66年

「では、さな子もお好き?」
さな子は呼吸をとめて、返事を待った。
竜馬は石ころを蹴って、
「うん」
といった。これが数えて二十九にもなるりっぱな武士のしぐさだろうか…(本文より)


司馬先生の世界一受けたい歴史の授業。
ってとこでしょうか。
上記のごとくの、Ryoma my love  な描写も満載ながら、
あたしゃここにきてやっと、幕末の薩長土の関係性ってのがわかった気がしますよ…
「勤王」と「佐幕」の、単純に白黒でないいろんな事情を了解してなきゃわからないワケだわ、幕末。
物語に乗せて自由自在に薩長土を解きほぐしてみせてくれる歴史の授業、30年前に受けてたら人生変わってたかもねえ。

そしてまたこの巻では「切腹」について多々思う描写あり。
こりゃあ、読み始めてはリタイアし…を繰り返してきた積んどく本「切腹の話」(講談社現代新書)を、やっぱり極めなければならん!と、気が重くなりつつも小さな決意。

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総理の資格

2009年06月27日 | よのなか棚

福田和也    文春文庫  2005年

初出は「文藝春秋」「新潮45」「諸君!」にて平成12年~17年にかけての論評。
平成とはなんだったのか(いけね、まだ現在進行中)、
小泉改革とはなんだったのか、
そしてなにより、
そんな「ヘーセー」や「コイズミ」を揶揄しているアタシたちは、
何様なのか?

森やら小渕やらナンヤラ、もう名前も思い出せないここんとこ続々のソーリダイジンをイマイマしく思っているアタシたちこそは、
結局はこの「ヘーセー」をかたちづくっている、日本人の、アタシたちこそは、
何様なのか?

すべて我が身にはねかえり、その上でなお、何をどうイマイマしく思わなくてはいけないのか。
問うてくる一冊です。

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慢性疲労は首で治せる!

2009年06月21日 | 体棚

松井孝嘉    角川oneテーマ21  2009年

いえね。相方の「首」がかなり心配で。
あ、いえいえ「クビ」じゃなくて(と、思うけど)、フツーの意味で首。純首。

約6キロ。
重めのボウリング球や、Lサイズのスイカ級の重さの頭部を支えている、首。
“脳が下に延びたもの”と考えてもよいほど大事な脊髄を保護している、首。

更年期障害も、メニエールも、かなりの部分が「首」の治療によって完治または症状軽減されるとか。
いわゆる「不定愁訴」ってヤツで、んもうメチャクチャ不調です!てなヒトは香川県の松井病院(行けませんってば)や東京脳神経センター(まあこちらなら)の門を叩くしかないでしょうが、
① なんとなく不調とか、
② 更年期障害かも?とか、
③ PC漬けのシゴト(又は趣味)とかの人はご一読あれ。
特に③の人。ヤバいですから。

new9冊目 (全12冊目)

点と線

2009年06月14日 | やぱミス棚

松本清張    文春文庫  1957~58年初出

読んだことのない作家はあまたあり、松本清張もそのひとりですが、
文春文庫企画の清張生誕100年記念シリーズ第一回配本の「点と線」が、挿絵入り だったもんで、ついつい購入。

読んだことはないけど、駅のホームで「おや、あれはお時さんじゃないか?」のシーンはあまりにも有名なのでしょう、
これも見たことはないはずの映画のシーンを、そこだけは知っていたりして。

それにしても。
もはや古典だとはいえ、なぜそこに気がつかない?三原刑事!? の連発…
しかし、推理小説というよりは、もとより「鉄道」を主役としたハナシなのだとわかれば腑に落ちます。
初出は雑誌「旅」の連載。
作中作ともいえる亮子の随筆「数字のある風景」は、小文ながら、そして旅のままならない病人が想像に遊ぶ切なさとも相まって、秀逸です。
秀逸といえば、風間完画伯の手による挿絵(しかもカラー!)。
読後、24枚の挿絵ページだけを、
こんどはその絵にのみ神経をとどかせて、もう一度物語を反すうする楽しみを持てる、恐らくは清張ファンでもこの2009年版の文春文庫を新たに手に入れて損はないでしょう。

作中の鳥飼刑事の手紙、三原刑事の手紙も風雅なり。
つーか、風雅すぎ?(笑)

new 8冊目(全11冊目)

竜馬がゆく (三)

2009年06月07日 | 「この人」を見よ棚

いよいよ勝海舟が出てきましたよー。
やっぱり脳内イメージは北大路欣也になっちまいます。大久保はタイゾーだし、西郷さんは小澤ジュニアだしなあ… 嗚呼サブリミナル篤姫。

司馬遼太郎    文春文庫  1963~66年

獰猛な野良犬が、思わず仔犬のように地面に体をすりつけて喜んだり、
気を失ったさな子の口に水を含ませるにあたり、容器がないものだから口移しする行動があきれるほどすがすがしいとして(ああ、この男には及ばない…)と師匠をして嘆息させたり、
企まずしての好かれキャラ、
その数々の描写には、男性の読者であってもただ単純に魅了されるものでしょうか。
または、嫉妬の念も伴うものでしょうか。

女性読者としては、さな子への口移しといい、おりょうへのプロポーズ(?)の方法といい、いやもうノックアウトです。
韓流なんざメじゃありません。
日本男児はコレで行ってください。コレで。

new 7冊目 (全10冊目)

そして誰もいなくなった

2009年06月06日 | やぱミス棚

いまだリアル引っ越しの片づけゴタゴタ冷めやらず…

アガサ・クリスティー    早川ポケットミステリーブックス  昭和36年版

やぱミス。
やっぱりミステリーが好き。
なので、読んできたもの、素通りしてしまっていたもの、このあたりもなぞっていこうと思います。2112冊の中で。
となると、最初の一冊はこれはもう決まり!これしかありません、「そして誰もいなくなった」。
何故かといえば、過去に 2回 読んでいながら、3回目となる今回、犯人がまるで思い出せないから。
しかもなんと、相方の本棚に、なつかしのハヤカワポケットミステリー版、
しかもなんと、アタシの生まれ年版ときたひにゃあ、どんなに活字が小さかろうともこれを読むしかないでしょう!

それにしても。
途中で「あ、そうだそうだ、こいつだった!」と思い出すかと思ったのに、やられました。
最後の最後までわからなかったよ。今回も。トホホ~。

昔々、一番最初に読んだ時の、ただもうびっくりしゃっくりだった読後は、今はなく、
そしてまた、いま改めて読み返せば穴の目立つトリックや、「うーん」な動機はさておいて、
ミステリーというよりは、「我が罪を見つめ直す」の書、といったとこでありましょうか。

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