レベッカ・ブラウン 新潮文庫 2004年(1994年Copyright)
11の短編は、ケアワーカーの「私」とその訪問先の人々とのものがたりです。
「私」が訪問する先の人々は、「ある共通の病」を抱えています。
治癒することのない、「ある共通の病」を。
時として壮絶なまでの介護現場。
精神的にも。物理的にも。
そうした現場に、ケアする者としてのまっとうな感情を以って臨んでいる「私」ですが、
レベッカ・ブラウンの表現は、まったく感情にまみれていない。
しかしだからといって、ただ淡々とした報告書ではない。
レベッカがどれほど巧みに「現場」を綴っているか。
たとえばこんな一場面、
私は彼の体に軟膏を塗りはじめた。ほかのことは考えないつもりだった。心のなかでもこの人と一緒にいるつもりだった…(中略)…ある意味では、いい感じだった。パーティーで知り合った人とか、近所に越してきた人とかと普通に話しているみたいで。でも何だか、そこに四人の人間がいるような気もした。普通に話している人間が二人と、軟膏で他人の体に触れている一人と、腫れ物のできた体を持った一人…
なんという現場感。
ケアをする者と、ケアされる者。
感情のタレ流しではどうにもならない、そこは「現場」。
ケアをする者と、ケアされる者。
一方向に見える行為を、しかしいつしかレベッカは、
様々な「贈り物」を媒介にして「する・される」が双方向である事実を浮き上がらせていくのです。
11編の小さな短編たちが、どでかい「贈り物」になって胸に迫る、出会えたことに感謝の一冊。
そして私にとっては、
オヤジを見送った日々と「あの日」について、あらためて丁寧になぞることのできた一冊となりました。
この時期にこの一冊。
なんというホントの本との出会い。。。
だから本はやめられない。
new104冊目(全110冊目)




関西で葬式の司会者をつとめる著者が見た、「そんなんあり?!」「それってないでしょ!?」な悲喜こもごもたち。






とか。