噛噛堂 あと2112冊

遅読、積ん読、併読、乱読。それでも読んどく、70までの2112冊。いよいよカウントダウン。

坂の上の雲 (一)

2009年12月31日 | 「その時」棚

司馬遼太郎    文藝春秋  昭和44年

ドラマが始まっちゃうから読まなくてもいいか、と思った「坂の上…」。
3年がかりとな?!


というわけで、なぞるようにして読み始めた第一巻。
カットされた部分、膨らませた部分、いずれをも堪能しつつドラマに追いつく年の瀬でした。

new57冊(全63冊目)

男はつらいよ 噂の寅次郎

2009年12月30日 | that's ものがたり棚
何もしないと決めた年末。
つけたらやっていて、ずるずるっと、、、、

結局最後まで見てしまいましたなぁ。初、寅さん。
いえ、途中をチラッと見たとか、名シーンを見たってことはあったけど、通しで見たのは恥ずかしながら初でして…
そこで初めて知る、寅さんの楽しみ方。
あの時代のあの人・風物を懐かしがる。 なのねぇ。
第22作は1978年。その当時は誰もいない海を走りたくなるよなお年頃の17才。
好きだった大原麗子様の美しさにうっとりし、
室田日出男に、志村喬に、「おーっ」となり、
だけどだけど、それよりなにより、

マドンナ早苗がもっていたビニールのバッグに激しく反応してしまいましたよ!

横50㎝位、縦35㎝位、マチが7~8㎝あって、手提げ型の、ビニール製。
持ってた!持ってた!持ってた!持ってたっ!
かなりの率で、女子は持ってた気がする。(見るまで思い出しもしなかったから気のせいかもしれないが…)
マジソンバッグみたいな一世風靡感はないけれど、
確かに「あの頃」、大量流通したあのバッグがきちんと小道具されている事にその時歴史が動いた級の高揚感。
今や、あの時代の小道具として使いたくとも恐らくありゃしないほどのチープさが、更にあの時代っぽくてちょっと感慨。

カキフライが無いなら来なかった

2009年12月28日 | ことばの棚田棚

「この中で、どれが好き?」と、あの人やらこの人やらに聞いてみたい。
絶対に(言い切る)ウチの相方はオール却下だろうけど。

せきしろ×又吉直樹    幻冬舎  2009年
 せきしろ氏と又吉直樹氏(氏って雰囲気でもないが)、自由律俳句。というか、ぼやきか?


いや、そっちの方向へは行きたくないな、
と、思うんだ一応は。
「クロワッサン」とか「栗原はるみ」を普通にこなしてみたいんだ本当は。
でも。
本当の本当は、
赤瀬川源平の「トマソン」に大啓発され、
タモリの「トワイライトゾーン」に夢中になり、
「VOW」なんかついついいったい何巻まで買っちゃったんだっけ?
なアタシなのだった。
つまり、文学界のイヤゲモノ を素通りできない体質っていうか。

たとえば本書のイヤゲモノ感は、
やっぱり家のリモコンと一緒 あたりに顕著だろうか。
まったく豊かなのか貧しいのかよくわからないこの感じ、
リバーシブルであることを放棄させた ここに2009年を味わってみたり。

好きなのはどれかと聞かれれば、心の標語のようなこれも好き。
登山服の老夫婦に席を譲っても良いか迷う
あるある感の多い中でもイチオシなのはこれ。
キャベツみたいな観葉植物で通じた
いやまてよ、これも、、
いや、こっちか…?
このたった数日間でも、その時々で味わいが変わったりして決めかねるところが味なとこ。
ま、469句のうち半分は、私的には「わかんねーよ」とか「いかがなものか」なんだけど。


調子こいて噛噛堂もひねってみましたがどうでしょう。
いや、皆様もついひねりたくなるはずです。読後には。


見事なまでに父親似の少女

ポイント10倍デーまで卵を買わないでおく

趣味が合わないときにどちらかというと優越感   -噛噛堂-


new56冊目(全62冊目)

子育てハッピーアドバイス もっと知りたい小児科の巻②

2009年12月27日 | 贈るコトバたち

 プレゼント for musume

吉崎達郎+明橋大二ほか/太田知子イラスト  1万年堂出版  2009年


2巻目は、耳鼻科、皮膚科、眼科、歯科等々の専門医療受診のポイント。
虫歯菌 のことと、近視の考え方 は、いやもう目からウロコ。

確かに、今日の正解が明日の邪道になるかもしれない医療分野。
それでもやっぱり、この分野については出版年を気にしたい。

尚、この巻のお気に入りは、「ブタのように…」の注釈です。
そうそう子供ってさ、鼻が柔らかいんだよね(大爆)

new55冊目(全61冊目)

子育てハッピーアドバイス 知っててよかった小児科の巻

2009年12月26日 | 贈るコトバたち

本元の「子育てハッピーアドバイス」については賛否両論あるようですが、
小児医療に関しちゃやっぱトレンドを抑えたい。

 プレゼントfor musume

吉崎達郎+明橋大二/太田知子イラスト    1万年堂出版  2009年

ジブン自身が、吐いて下して高熱にうなされた最中~直後でしたからね、
おたすけ戦隊マモルンジャーはまったく参考になりました!
赤・青・緑・黄・ピンクを、それぞれ、熱・鼻水・咳・嘔吐・下痢にあてはめての解説。
しかしまあ、よくあてはまったこと。
吐き始めて3、4時間は何も飲ませないようにすることが大切です。
えーっ。そうだったのーっ。
すぐさま水分補給とばかりにポカリ飲んじゃったよ。
でも確かに、吐き切って何時間かたってから飲んだほうが、「浸みる」感じがしたかも。
小児科ったって、ヒトのからだのことだもの。

太田知子さんのマンガがイケてます。
この本のウケた理由の大方は、この人の描いた慌てるお母さんの表情だとか、熱でハアハアしてる子供の顔の、「あるある!」な共感なんでしょう。
この、ニコニコしながらミルクをがばーと吐くヤツとかね、あったあったよ。
不思議なことにマンガという表現の方が、手に取った以上は多くの人がこの向こうで共感してるに違いない、
という妙な一体感を感じるわけですな。
嗚呼、漫画世代。

new54冊目(全60冊目)

心から愛するただひとりの人

2009年12月24日 | やぱミス棚

ローラ・リップマン    ハヤカワ文庫  2009年(Copyright2008年)
 ミステリの魅力と楽しみを伝える画期的全集/現代短編の名手たち⑥
表題作ほか15の短編と、表題作に関連する中編1が描きだすのは、まさにリアルタイムの現代アメリカ。


クロックスが、まんまクロックスと訳され、
クンダリーニヨガが、まんまクンダリーニヨガと訳される。「今」、ですなぁ。

スプラッターな場面でも、どこか、渇いていて、そして可笑しい。
コーエン兄弟の「ファーゴ」を観たときの、あんな感じといいましょうか。

いくつかの短編は、この著者が長編の主人公として登場させている私立探偵テス・モナハンもの。
それも魅力的だけど、
みずから「売春宿のおかみ」と称する美しきロビイストのエロイーズが登場する表題作、
そしてそれに続く中編「女を怒らせると」の魅力ときたら!
売春婦であり、母であるエロイーズの多面感は、
コチュジャンとかバルサミコが、うまいこと和食の味付けにマッチした時の快感に似ています。
いつものサバ味噌の、今日のこの奥行きは何?みたいな。

あとがきのミステリガイドにより、改めてロアルド・ダールやウールリッチへの読む気をそそられますが、
そこでウールリッチのある作品を評した「…最後の一行で忘れられない後味を残します…」との賛辞、
本短編集では「女を怒らせると」に捧げます。
渇いた可笑しさが、この最後の一行で、じわっと涙腺をゆるめます。

new53冊目(全59冊目)

それにしても、文庫で1092円。
その価値がなかったとはいわないが。
大出版社以外の文庫の、まー、高いこと高いこと。

悪女について

2009年12月23日 | やぱミス棚

どうも禁断症状的な感じだとおもったら、このところ小説を読んでいないではないか!
そんなわけで、唐突に有吉佐和子。
そして、迷ったけれど、ミステリーに分類。

有吉佐和子    新潮文庫  昭和58年(昭和53年単行本刊)
 富小路公子。彼女は悪女だったのか。心の清らかな人だったのか。美女だったのか。そこそこ程度の容貌だったのか。
その突然の死ののちに、ライター(?)が彼女をめぐる27人にインタビューする形式をとった長編小説。


そうか、唐突でもないか。
昨今の詐欺騒ぎですからね。
タイムリーといえばこれほどタイムリーなハナシもないわけで。
しかしスケールが違います。
金額のことだけでなしに、人をあやめずしてのし上がるその手法が。
美しき怪物 のお話です。

new52冊目(全58冊目)

そういえば先日NHKのドラマで、一つのストーリーを登場人物各々の視点から描いたってのをやっていましたが(見てないけど)、
こういう多視点型小説(勝手に命名)の推薦本がありましたならば、ご紹介のほど是非に。

よいこの君主論

2009年12月22日 | ワハハもしくはクスリ棚

架神恭介+辰巳一世    ちくま文庫  2009年(2006年「完全覇道マニュアル・はじめてのマキャベリズム」改め)
 「さあ、みんな!だれが5年3組を制圧するかな~?!」
クラス替え直後の新学期、来る覇権争いに向けて虎視耽々と野望をめぐらせているひろしくん、りょうこちゃん、まなぶくん、まあやちゃん、その他大勢。
時に妙計を凝らし、時に極悪非道をつくし、時に籠城し、時に傭兵・援軍を頼み、時に分断工作をし、同盟し、中立し、、、、
最終学期にはたして3組専制君主として君臨するのは、誰か?
この覇権争いを我が参考にすべく観戦するたろうくんとはなこちゃんに、ふくろう先生がやさしく『君主論』を解説しつつ、君主たるものの在り方を説く、抱腹絶倒のマキャベリズム!


いやー、笑えたー。
ビジネス書への応用ばかりの君主論、これじゃイマイチ笑えないからと「小学生」をそこに充てはめた著者の発想に喝采。

よいこたちの、あまりの群雄割拠ぶりは、常識的なPTA様にはエグすぎるお味付けかもしれませんが。
上記、妙計・極悪非道・同盟・分断工作等々のネタが、
遠足のおやつ、駄菓子屋、夏休みの宿題、給食のプリン、ドッジボール大会レベルだってとこで、
(ま、それでも、ちっとも微笑ましくはないのだが)
お許しあれ。

new51冊目(全57冊目)

日々の日常

2009年12月20日 | ことばの棚田棚

本タイトルは「日々の非常口」であることをここに謹んで訂正いたします!

アーサー・ビナード    新潮文庫  2009年(2006年単行本)

何がすごいって、一編あたり 文庫で見開き2ページ分 だけ。
その文字数「だけ」なのに、圧倒的な情報を受け止めた気がするのは、なぜ?

道におちている紅葉マークのことも、イラク戦争のことも、等しく2ページ。
そうか。
何かに似ていると思ったら、川柳に似ているんだ。
声高に論戦を張っているわけではないのに、為政者サイドに一矢報いるようなこの方法が。
たった2ページの文字数に反比例するほどの、受け止め手の気持ちの揺さぶられ方が。


うかつにも48年見落としてきた「とある日本」を、卓越した「日本語表現」で我が前につまびらかにしてくれた、至福の一冊。
ハゲしく付箋だらけです。


new50冊目(全56冊目)

美智子皇后と雅子妃

2009年12月15日 | よのなか棚

福田和也    文春新書  2005年

というわけで、納得いかねーぞと積読を漁ってみたら、ありましたわ。
皇太子と(つまりアタシと)同年代の福田和也の手による皇室本が。

「そんなことじゃいかんのだ」なんて感情論じゃなく、
本にまでするならば、やっぱりここまで解きほぐして提示してくれなきゃ。

『美智子さまの…』のオヤジのグチったれ節の後だと、
福田節が2倍冷静で、3倍論理的に見えるナ。

new49冊目(全55冊目)