噛噛堂 あと2112冊

遅読、積ん読、併読、乱読。それでも読んどく、70までの2112冊。いよいよカウントダウン。

とんび

2009年08月31日 | that's ものがたり棚

重松作品、初読み。

重松清    角川書店  2008年

ブキで直線でアツいオヤジ・ヤスさん。
男手ひとつで  
もとい、たくさんのたくさんの手に育てられていくアキラとヤスさんをめぐる父子モノ。
ときたら、泣くしかないよなぁー。

ほれほれほれほれ泣いてみそ?
ってな浅田二郎バリの泣き仕掛けではないのが救いで、すなおにホロリ。

「トンビが鷹を生む」からきたタイトル「とんび」なれども、鷹は意外にフツーの設定。
それでこそ、物語をすなおに引き寄せて、すなおにホロリといけるわけですが。

new27冊目 (全31冊目)


妹、曰 「重松、あたりはずれあるからねー。泣ける?じゃ、当たりか。じゃ、読むか」
みんな泣きたいんだな。
カタルシス味わいたいんだな。
いい汗流そう。涙は青春の汗だしな。

オリンピックの身代金

2009年08月30日 | that's ものがたり棚

奥田英朗    角川書店  2008年
 東大生・島崎国男、スリ常習犯・村田留吉。思想とかそういうことじゃなく、爆破脅迫によって人(?)質にとったのは「東京オリンピック」。日本が成長だけしかない勢いでいた頃にもどん底を舐めている秋田の寒村、王侯貴族の墳墓に駆り出された奴隷ともさして変わりのない五輪会場建築現場、そしてそこだけが「祝福」を受けているかのような首都東京を舞台に、はたして国男と村田は成功するのか、逃げ切るのか?!


『最悪』のようなキョーレツなドライブ感は、なかったなぁ…
となると、上下二段組み524ページは、なかなか辛いものがあったなぁ…



話は変わりますが、次の次の五輪誘致反対派です。
予告のある爆弾よりも怖いですって、地震・竜巻・土砂災害。

nwe26冊目 (全30冊目)

竜馬がゆく (七)

2009年08月29日 | 「この人」を見よ棚

司馬遼太郎    文春文庫  1963~66年

あと一冊。

それだけかいっ。

いえいえ、面白いのですがね。
嗚呼、こういう大作モノを一気読みする時間のあった10代、体力のあった20代、知力のあった30代が恋しいやね。

11月に向けて「坂の上の雲」も予習しとこうかと目論んでいましたが、断念。

new25冊目 (全29冊目)

龍の子太郎

2009年08月24日 | 噛噛堂のできるまで棚

松谷みよ子    講談社  1960年

「おかあさんは北のみずうみにいる。おらが、つよい、かしこい子になってたずねていくのをまっている、そう、ばあさまはいった。おら、さがす。ひとつひとつ、ぬまでも、みずうみでも、おかあさんにめぐりあうまでさがしていく。だども、おら、てんぐさまに力はもらったが、かしこくなったかなあ、おかあさんにあいにいってもはずかしくないほどに、かしこくなったかなあ」…

ばあさまにつくってもらっただんごをくっちゃあ、毎日けものたちと野山で遊び呆けていた龍の子太郎。
ある日じぶんの出生の秘密を知り、龍に姿を変えてしまったまだ見ぬ母をたずねて旅に出る。
天狗に力をもらい、黒鬼を退治し、にわとり長者をぎゃふんと言わせるなまけものの成長譚。

ただの昔話と思うなかれ。
これこそが、声に出して読みたい日本語。
ばあさまが菜を洗っている川に何かが流れてくる音は、つんぶくかんぶく つんぶくかんぶく
けものたちの大相撲、その掛け声は、でんかしょう でんかしょう
まさに、日本の音だね。
けものたちといっしょになってゆかいになって、太郎といっしょになってちからがわいて。

何度も何度も読んだこの本の魅力箇所は、おかあさんが食べてしまったイワナ3匹。(やっぱ食いもんなんだな)
そんなにもうまい魚がこの世にあるとは!
ご多分にもれず魚嫌いの幼少期、3匹も立て続けにむしゃむしゃと食べてしまうほどうまい魚ってのに、食べたこともないのにうっとりしたものです。

 Re4冊目 (全28冊目)

ココ・シャネル

2009年08月23日 | 見て記て

クリスチャン・デュゲイ監督    2008年  米・仏・伊

いやー、オドレイ・トトゥが若き日を演じて、シャーリー・マクレーンが晩年を演ずるのかと勘違い。
別作品だったとは。
映画観てるバヤイじゃないほど忙しいんだから、無理に観るなよって教訓ですな。


ちっとも萌えないつくりの恋愛部分がかったるく長いぞ。
NHKの「たったひとりの反乱」枠で45分にまとめた方が良かったんじゃないのか?

尚、嫌煙者には辛い一本です。
実話だといえ、けむすぎ。

安心マタニティブック

2009年08月15日 | 贈るコトバたち

プレゼント for museme 

正確なタイトルは、「お腹の赤ちゃんの成長が毎日わかる!はじめての妊娠・出産 安心マタニティブック」
A.Christine Harris    2009年  永岡書店


この、写真もなきゃ、イラストもせいぜい添え物程度の、字ばっかりの本が、
めっちゃ臨場感。
ま、字ばっかりとはいえ、一日に読むのは(読むべきなのは)、ほんの400文字ほどですし、
いつ、どこを読むのかもほぼキッチリ決まっているので、活字嫌いさんでも気が楽なのではないでしょうか。
たとえばこんなふうに… 8週と6日 48日目 出産予定日まであと218日。
そしてたとえば、この日の一部はこんな感じ…まぶたの成長が続きます。舌と耳の外側の部分が完成します。外耳はほぼ最終形になりますが、その位置はまだ低すぎる場所にあります。足先の部分は、ようやく水かき状のものが消え、指が長くなります。手足はちゃんと目的をもった動きができるようになってきました…

大~昔に、この54日目を過ごしたアタシですら、しばし絶句するほど打たれるのですから、
今まさに、54日目を迎えている方々の臨場感たるやドキドキ感たるや…想像して余りあるものがあります。

400文字前後の「その日情報」の中には、おおむね平均的な母体状況や、健康や栄養や遺伝子等々についてのミニ情報も的確に盛り込まれていますから、胎児にだけ、いたずらに不安な意識が集中してしまうこともないように思います。
日々のDiaryスペースや、巻末には出産の記録スペースもあり、ジブンとその子だけの一冊に仕上げることも可能。
特に妊娠初期は、キョーレツに生命の神秘にて、できればごくごく妊娠初期にプレゼントorゲットできたらタイムリーです。

誇りと復讐 (上・下)

2009年08月12日 | やぱミス棚

ジェフリー・アーチャー    新潮文庫  2009年(Copyright2008)
 最愛のベスにプロポーズを受け入れられ、有頂天のダニー。それが開始12頁めにして、親友でありベスの兄であるバーニー殺しの被告として裁判にたつはめに。。。有罪となったダニーは、刑務所でおきたある偶然の事件をきっかけに、「脱獄」に成功。。。無実の罪を晴らすため、自分を陥れた4人への復讐をとげるため、着々と計画をすすめるダニー。成功まであと少しへとこぎつけたところで、またまた逮捕、そして5つの大罪で告発されてしまう。はたして絶体絶命のこの状況から、奇跡の大逆転はあるのか…?!


奇跡の大逆転は、トーゼン あるんですがね。

それ以前に、そこに至るまでの設定が、それってありえないでしょ、どー考えても。



なのに。



なのに、
いいんですわー、これが。

笑っちゃうくらいありえないのに、それをねじ伏せて読者をジェットコースターにいざなうジェフリーの手腕よ。
おみごとと言うしかありません。
特に下巻後半は、これでもか、これでもかの、水戸黄門状態。
「いよっ!」と掛け声でもかけたくなろうというものです。



それにしても、時々は翻訳ミステリーを読まねばなるまいとちょい決意。
だって。
どうしても、どぉーっしても、 
名前がアタマに入っていかない…
スペンサーって誰だっけ。
あれ、トピーって…。
フレイザー、フレイザー…と、、。
えーと、ヒューゴーは叔父だっけ?
アレックス?マシュー?ピアスン?ラリー?

脳内活性リハビリ状態。

new23~24冊目 (全26~27冊目)

日本人の知らない日本語

2009年08月08日 | ワハハもしくはクスリ棚

海野凪子・原案/蛇蔵・構成、漫画    メディアファクトリー  2009年
 日本の、日本語学校で、日本語の教師をしているなぎこ先生が遭遇した、世界各国留学生たちとの「日本語」バトル。

いやー。
笑った。
けど、
笑ってる場合じゃありません。

「しゃもじ」にのけぞり、
便器を数えるときの助数詞にうなり、
「ピカイチ」に感嘆し、
「鮪」にボーゼンとし、
「~です」のルーツに唖然とし、

いったいアタシャ、日本語の何を知ってるというのか。とほほ。ってな読後。
日本語に対して、謙虚になれます。

new22冊目(全25冊目)

剣岳

2009年08月02日 | 見て記て

木村大作・監督    2009年  日本

あの地味~な原作が、どう映像になるんだろうと思っていましたが。
案の定、地味。 (注)いい意味で。

変にドラマさせないからこそ、、、のドラマティックよ。
もはや俳優陣、演技してないし(笑)

すべての「先人」に対し、ただただ素直に頭を垂れるなり。
そして、やってくれたね、エンドロール。
すべての結晶したエンドロール。
泣かせるぜっ。

だれでも知っているあの有名な ももたろう

2009年08月01日 | 贈るコトバたち

プレゼント for 甥っ子ブラザーズ。

五味太郎    絵本館  2007年

「だれでも知っているあの有名な」のタイトル部分は、ごくごく小さく表記されているので、
フツーに、「ももたろう」だと思って手に取ってみれば…

本当におじいさんとおばあさんがすくすくと育てたの?
本当にお供はサルとキジとイヌだけだったの?
本当に…?
本当…?

実はね… と、あまり有名ではないけれど、
とっておきの、思わずニヤニヤしてしまったり、うーんそうだよなあ~と感心してしまったりの、本当の(?)ももたろうが展開されます。
そして、こんなにも無邪気に四方八方へとオハナシが展開していけるのは、別の要素が入り込めそうもないほどに盤石な「ももたろう」ストーリーなればこそ、と、改めて「日本人ならももたろう」と感じ入ってしまうのでした。
浦島太郎でも、金太郎でも、一寸法師でもなくね、あくまでも、ももたろうなればこそ。

だからもちろん、この絵本の読中のワハハ感や読後のハッピー感は、
基本のももたろうを抑えていればこそ、です。
あれ。
抑えているかな。
昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。おばあさんが洗濯をしていると、川上から大きな桃が、ドンブラコ~ドンブラコと流れてきました。おばあさんは桃をひろって、いや、すくって?...んー、すくいあげてだったっけ?またはひろいあげて?つかまえて、、、、あれ?あれあれあれ?あっ、あっあっあーっ、桃といっしょに流されちゃいましたとさ…
うりゃあっ。