港町のカフェテリア 『Sentimiento-Cinema』


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映画音楽史(316) 『巴里っ子』 1931年公開

2014-12-22 03:39:21 | 映画音楽



『巴里っ子』 Le Roi des Resquilleurs (仏) 1930年制作
監督 ピエール・コロンビエ
音楽 レーモン・ベルナール
主演 ブブール … ジョルジュ・ミルトン
    ルル … エレーヌ・ペルドリエール
    アルレッティ … エレーヌ・ロベール
主題歌 『モン・パパ』 ( C'est pour mon papa ) 唄・ジョルジュ・ミルトン

当時フランスきってのコメディアンであったジョルジュ・ミルトンが主演した巴里風情豊かな庶民喜劇作品。
巴里下町のブブールは無一目の風来坊であるが、スポーツ好きでタダで試合観戦に潜り込むのでもぐりの大将と言われていた。
いつものようにボクシングの選手権試合にタダで潜り込んだブブールはそこでルルとアルレッティに出会う。今度は彼女たちを連
れてダンスホールに行きタダで踊りまくってトンズラして大騒動に。次いでルルと英仏対抗ラグビー戦に潜り込んだが、ブブールが
陣取った席は観客席でなく選手席であったため選手と間違えられて試合に出場するハメになる。しかしブブールの活躍でフランス
が勝利して英雄となり晴れてルルと結ばれる。

主題歌の『モン・パパ』はシャルル・オーベルフェルド作曲、ルネ・ピュジョルとシャルル・L・ポーティエの共同作詞によるものです。
ユーモラスなこの曲は日本でも榎本健一がカヴァー、「ウチのパパとウチのママはノミの夫婦~」という歌詞で大ヒットしました。

↓はジョルジュ・ミルトンの『モン・パパ』 YOUTUBEより




映画音楽史(315) 『嘆きの天使』 1931年公開

2014-12-21 02:46:13 | 映画音楽



『嘆きの天使』 Der Blaue Engel (独) 1930年制作
監督 ジョセフ・フォン・スタンバーグ
音楽 フリードリッヒ・ホレンダー
主演 ローラ … マレーネ・ディートリッヒ
    イマヌエル・ラート … エミール・ヤニングス
主題歌 『また恋に堕ちて』 ( Ich bin von Kopf Bis fuss auf Liebe ) 唄・マレーネ・ディートリッヒ
註・英語版では Falling In Love Again

ハインリッヒ・マン原作の大衆小説の映画化で、ドイツ・ウーファーがアメリカですでに成功していたオーストリア人のスタンバーグ
を呼び寄せて作らせた作品。当時のドイツの退廃的な社会を象徴する重厚さと無名だったディートリッヒの退廃美が注目を浴びた。
独身で厳格な中学校教師のラートは不良学生の出入りするキャバレーを検察に出かけそこで踊り子のローラに出会って心を奪われる。
ラートは今までの人生を捨ててローラと結婚し、彼女と巡業を共にして身の回りの世話をしていたものの長続きするはずがなかった。
やがて巡業団の団長はラートにピエロ役を押し付け、客寄せのために彼の教えていた学校の町でラートに道化役を強要した。絶望
したラートは浮気なローラにも見切りをつけて巡業団から飛び出し、古巣の学校の教壇で死を迎える。

退廃的な主題歌の『また恋に堕ちて』はロベルト・リープマンの作詞、フリードリッヒ・ホレンダーの作曲によるもので、ディートリッヒ
が太腿をあらわにして検察のラート教授に語りかけるように唄う場面は、世界映画史に語り継がれる強烈な名場面となりました。
ディートリッヒはこの曲の他にもジャズっぽい『気ままなローラ』を唄っていました。

Falling in love again Never wanted to
What am I to do? Can't help it
Love's always been my game Play it as I may
I was born that way Can't help it

↓はマレーネ・ディートリッヒの『また恋に堕ちて』 YOUTUBEより


ラートが巡業団を飛び出して町をさまようラストシーンは、ドイツ表現主義を彷彿とさせる芸術的シークェンスでした。



60年代ポップス変遷史 1961年11月

2014-12-20 07:38:14 | 60年代ポップス変遷史

1961年11月にはこんな曲が流行していました。

コーヒー・ルンバ ウーゴ・ブランコ楽団
悲しき街角 デル・シャノン
峠の幌馬車 ビリー・ヴォーン楽団
月光のノクターン ディック・ジェイコブス楽団
悲しき足音 スティーヴ・ローレンス
トラベリン・マン リッキー・ネルソン
夢のデイト コニー・フランシス
九月になれば ボビー・ダーリン楽団
ポケット・トランジスタ アルマ・コーガン
⑩電話でキッス ポール・アンカ
太陽の誘惑 ファウスト・パペッティ楽団
小さい悪魔 ニール・セダカ
嵐の季節 エルヴィス・プレスリー
ハローメリールー リッキー・ネルソン


コニー・フランシスの『夢のデイト』が初登場、彼女のお得意?である日本語盤とともに大ヒットになりました。
リッキー・ネルソンは『トラベリン・マン』のヒットに乗ってB面の『ハローメリールー』もベストテンに入り、
また、ポール・アンカとしては久々の大ヒット曲となった『電話でキッス』がベストテンに登場してきましたが
こちらのB面の『シンデレラ』も人気はありましたがそれほどのヒットにはなりませんでした。

↓はポール・アンカの『電話でキッス』 YOUTUBEより


ベストテン入りはしませんでしたが、フェランテとタイシャーのピアノによる『さよならをもう一度』、
ビリー・ヴォーン楽団の『白い夜霧のブルース』などもこの頃のヒット曲でした。

またラジオ関西の『電話リクエスト』の残党としては、ロベルト・デルガード楽団の『祈り』を外す
ことができません。この時期毎週のようにかかっていた名曲で、関西(神戸)では影の大ヒット曲でした。

↓はロベルト・デルガード楽団の『祈り』 YOUTUBEより





映画音楽史(314) 『ニュウ・ムーン』 1931年公開

2014-12-19 05:04:52 | 映画音楽



『ニュウ・ムーン』 New Moon (米) 1930年制作
監督 ジャック・コンウェイ
音楽 ハーバート・ストサート
主演 ミハエル・ペトロフ … ローレンス・ティベット
    タニア・ストロゴフ … グレース・ムーア
    ボリス … アドルフ・マンジュウ
主題歌 『恋人よ我に帰れ』 ( Lover Come Back To Me ) 唄・グレース・ムーア

オスカー・ハマースタイン・Jrとシグマンド・ロンバーグが1928年に発表したオペレッタ(ブロードウェイミュージカル)の映画化。
ミハエル中尉は上司であるボリス総督とともに蒸気船ニュウムーン号に乗りこんだ。同じ船に乗っていた伯爵令嬢のタニヤは
ミハエルが余興で唄った美声に惚れ込んでしまう。しかしタニアはボリス総督の許嫁であり、それを知ったボリス総督はミハエル
を激戦地の要塞に赴任させた。要塞ではタルキスタン軍の猛攻にあったもののミハエルの指揮のもと敵を打ち破りミハエルは
晴れてタニアと結ばれる。

主題歌の『恋人よ我に帰れ』はオスカー・ハマースタイン・Jr作詞、シグマンド・ロンバーグ作曲によるもので、今日でもジャズや
ポップスのスタンダード・ナンバーとして多数のミュージシャンたちからも愛されている名曲です。
レコードとしてはダイナ・ショアやパテイ・ペイジ、さらにはブレンダ・リーなどが有名です。

The sky was blue and high above
The moon was new and so was love
This eager heart of mine was singin'
Lover, where can you be

↓はグレース・ムーアの『恋人よ我に帰れ』 YOUTUBEより


この作品では、挿入曲『朝日のようにさわやかに』 ( Softly as in a Morning Sunrise ) がタンゴ調のリズムで披露されています。
こちらもジャズのスタンダードとしてMJQ (モダン・ジャズ・クァルテット) などが好んで演奏しています。

↓はMJQの『朝日のようにさわやかに』 YOUTUBEより




なお、この『New Moon』は1940年にキャストや舞台背景を一新して再映画化されていますが、主題歌は前作と同じです。
物語はフランス革命後のニューオリンズが舞台で、政治犯としてフランスから追われていたシャルルと地主の娘マリアンヌが
結ばれるまでを描いた作品でした。

ついでに1940年版も紹介しておきます。



『ニュー・ムーン』 New Moon (米) 1940年制作 (1948年公開)
監督 ロバート・Z・レオナード
音楽 ハーバート・ストサート
主演 マリアンヌ … ジャネット・マクドナルド
    シャルル … ネルソン・エディ
    ヴァレリー … メアリー・ボーランド
主題歌 『恋人よ我に帰れ』 ( Lover Come Back To Me ) 唄・ジャネット・マクドナルド

↓はジャネット・マクドナルドの『恋人よ我に帰れ』 YOUTUBEより



折角ですので洗練されたパテイ・ペイジの『恋人よ我に帰れ』もUPしておきます。
↓はパテイ・ペイジの『恋人よ我に帰れ』 YOUTUBEより




映画音楽史(313) 『エマニエル夫人』 1974年公開

2014-12-18 06:58:34 | 映画音楽



『エマニエル夫人』 Emmanuelle (仏) 1974年制作
監督 ジュスト・ジャカン
音楽 ピエール・バシュレ
主演 エマニエル … シルヴィア・クリステル
    マリオ … アラン・キュニー
    ビー … マリカ・グリーン
主題歌 『エマニエル夫人』 ( Emmanuelle ) 唄・ピエール・バシュレ

Melodie d'amour chante le coeur d'Emmanuelle
Qui bat coeur a corps perdu
Melodie d'amour chante le coeur d'Emmanuelle
Qui vit corps a coeur decu

↓はピエール・バシュレの『エマニエル夫人』 YOUTUBEより


* * * * * * *

1970年以後は本当に駆け足になってしまいました。
ここで取り上げた映画主題歌以外にも良い作品が多々あるものと思われますが、前にも申し上げたように
1970年以後の作品はほとんど劇場で観ておりませんし、残念ながら個人的にもあまり興味がありません。
これにて『映画音楽史』の戦後編を終了し、次回から戦前の作品を少々取り上げてみます。
すでにお気づきになられたかもしれませんが、ビートルズの映画はこのブログで全く取り上げておりません。
ビートルズファンの方には誠に申し訳ありませんが、その理由はただひとつ、私は「アンチ・ビートルズ」だからです。
ご容赦ください。