虫さんの目線だね。
昨日の午後、近所の本屋さんへ出掛けた。
これといった収穫がないまま帰途につくと、反対側の歩道をヨタヨタ動く物体が・・・
よく見ると、腰が曲がったおばあさんだった。
何だか危ないなあ・・・
大丈夫かなあ・・・と思いながらおばあさんに歩調を合わせた。
45度、いや、50度は腰が曲がっている感じだ。
時々よろけてガードレールにぶつかりそうになる。あっぶないなあ・・・
前方を見ることが出来ないのだ。ひたすら地面を見ながら必死で歩いている。
じっと見守り態勢を保っていたが、もう、いてもたってもいられなくなり、
たたっと駆け寄って
「大丈夫ですか?どちらまでいらっしゃるんですか?」
な~んて話しかけてしまった。
下を向いていた顔がゆっくり起き上がった。
おっなんて美しいおばあさんなんだ
女優の北林谷栄さん風の美人さんじゃん
「ええ、そこのスポーツセンターでね、ジュース飲んで休むんです。私なんて早くあの世へ行ければいいんですけどね~」
「あ、じゃ一緒に行きましょう」
「すみませんね~~~」
おばあさんを支えながらスポーツセンターのロビーへ行った。
「さあ、ここに座りましょう。ジュース、買ってきましょうか?」
「・・・・・・・・・」
ベンチに座った途端、おばあさんはまるで堰を切ったように喋り始めた。
ご主人は30年前に亡くなり、息子さんの一人も亡くなったそうだ。自分だけが生き残ってしまった。早く死にたい、早く死にたい。そればかり繰り返し喋るのだ。延々と・・・
「喉かわいたでしょう?ジュース買って来ましょうか?」
と言うと、刺し子の巾着袋からビニール袋に入ったジュースの空き缶を出した。
「このね、空き缶をもってくとジュースがでるんですよ。」
「???????」
何だか可哀想で20分くらい話しを聞いてあげてたけれど、永遠と続きそう・・・
「じゃ、そろそろ買い物して帰るね。帰り、本当に気をつけてね。ゆっくり歩いてね。」
「見ず知らずの方に親切にしていただいて、もう思い残すことはありませんよ。」
またまたそんなことを言うんだから~~~
聞くところによると、来年80歳になるのだそうだ。
毎日毎日家に閉じこもっているらしい。
たまにこうして出掛けてくると言っていた。淋しいんだろうな・・・
どんな小さなことでもいいから、何か楽しみがあればな・・・
こんな事言っちゃ失礼だけどね、あんなに綺麗な人なんだから、デイへ行ったらモテるだろうな~