にこにこ堂「ちえまる本舗!」

編み編み大好きなハマのおばはん。闘病の日々ですが、明るい気持ちで頑張っています!!負けないぞ!!

すずめのお宿  最終回

2008-09-30 | 夢、不思議なお話
彼女の瞳から水晶玉の涙が溢れ出し、頬を伝って足元に零れ落ちると

あっという間に美しい結晶となって消えていきました。



「ちえまるさん、今日は本当に有難う御座いました。これでやっと私の気持ちを伝

えることが出来ました。お忙しい時間なのにお付き合いくださってとっても嬉しか

ったです。

私はいつもここに居ます。ちえまるさんがここを通り過ぎる時、いつもここに居て

ちえまるさんのこと見守っていますから、どうぞ安心してご主人と暖かい毎日を

送ってくださいね。もう、雨はあがっていますよ。ほら。」


彼女は私の後ろを指差しました。

今歩いてきた方を振り返ると、そこには一面の夕焼けが広がっているではありませんか!!


なんて素晴らしい夕焼けなのだろう。


夕焼けを見上げながら、

「ああ、本当だ。あなたのおかげで雨宿りもできました。今日は本当に嬉しかっ

た・・・・また遊びに来てもいいですか?」


といい終わり、そっと彼女の方へ向き直りました。


「あ!!」


なんとそこは公園の花壇のまん前だったのです。

彼女の姿も忽然と消えていました。

私は一瞬何が起こったのかわかりませんでした。


まるで夢から覚めたかのような不思議な感覚でしたが、

確かにすずめさんが人間の姿になって逢いに来てくださったのです。

そして、あの優しい言葉はありありと頭の中に残っていました。

無事、天国へ召されたかいつもいつも心配していたので、きっとその気持ちが

通じたのでしょうね。



すずめさん、本当にありがとう!!

あなたのこと、一生忘れないよ。

そしてこの夏のステキな出来事も!!




                          完
























すずめのお宿 その四

2008-09-29 | 夢、不思議なお話
その木戸は、私が生まれた家のそれとそっくりでした。


彼女がそっと木戸に手をかけた時、

「チリンチリンチリン」という懐かしい音色が体中に響き渡るのを感じたのです。

幼い時、毎日聞いていたあの音と同じでした。


そして私の目に飛び込んできたのは、

とても広い澄んだ空間を笑顔で飛び交っている大勢の鳥さんたちでした。

そこはもはや竹林ではなくなり、まるで植物園のような暖かい世界でした。


彼らは、とても楽しそうに飛び回っています。


時にはじゃれあい、時にはたわわに実った秋の木の実をついばみ、時には木の枝に

とまって羽づくろいをしていました。


そこは、本当に澄んだ世界で、自由そのものに見えました。

殆ど表情のない鳥さんなのに、明らかに皆心の底から笑っているのです。


「ちえまるさん、あの時、あなたがお花の中に私をうずめてくださいました。

そのすぐ後に、お花の精が私をここへ運んでくださったのです。

あのまま地面の上にいたら、ここへは来れなかったでしょう。

本当に有難う御座いました。心から感謝しています。

ちえまるさんのお陰で、今、私は本当に幸せです。

それをお伝えしたかったのです。」


彼女のつぶらな瞳から、水晶のように美しい球体が零れ落ちました。


それを目の当たりにした私は感激で涙が溢れ出し、何も見えなくなってしまいました。


つづく

すずめのお宿 その参

2008-09-28 | 夢、不思議なお話
茶色のワンピースを着たおかっぱさんは、とても嬉しそうな顔をして、


「ちえまるさん、思い出してくださったんですね。よかった!!

あのときの小雀です。

ちえまるさんのお陰で、無事に先に旅立った父、母と兄弟に逢うことが出きたのですよ。

ちえまるさん、決してお時間はとらせません。ご主人様が待っていらっしゃる

ことも知っています。ほんの数分だけ、一緒にいらしていただけませんか?」

と言いました。




不思議なことに私は何の恐怖感も無く、吸い寄せられるように彼女の後に着いて

行きました。

そして彼女は公園のすぐ横の高層マンションの入り口へ入っていったのです。

自動ドアが開き、中へ入るとそこは一面の竹林でした。


室内のはずなのに、そこはとても明るくて心地よい風を感じ、ふと見上げると、竹

の葉の合間からは遠く澄み渡った秋の空があったのです。


ああ、なんて気持ちがいいんだろう・・・・


細く続く竹林の道を歩き始めてどれくらい経った頃でしょうか。

少し道を曲がった時、小さな木戸が現れたのです。

「ちえまるさん、ここが私の家です。どうぞおあがりください。」


つづく









すずめのお宿 その弐

2008-09-26 | 夢、不思議なお話

 

 

それは、とても暑い日のほんの数分の出来事でした。

 

この日も郵便局へ行くため、この公園へ入っていきました。

ふと見ると、少し先の道の真ん中に、何か小さくて茶色いものが落ちているではありませんか。

 

何だろう?

と、そっと近寄ってみました。

すると、とても小さな「すずめ」が地面の上に横たわっていたのです。

 

上から落ちたのだろうか。

それともカラスに襲われたのかなあ・・・・・

 

私は暫くの間、しゃがんだままじっと「すずめ」を見つめていました。

 

どうしてもこのままにして立ち去ることは出来ない。

でも、どうしたらいいのだろう・・・・・

 

まわりを見渡すと、公園の隅に小さな花壇がありました。

 まるでこの「すずめ」の事を待っていてくれたかのように。

 

私は心の底から救われたような気持ちになりました。

この美しい花壇の中に、入れてあげよう!!

 

そして、持っていたティッシュに「すずめ」をそっと乗せました。

 

あ、まだ少し暖かい・・・・

 

すずめを抱いて立ち上がったとき、てのひらの中で身体の向きが変わりました。

地面のすぐ上になっていた身体が現れました。

傷一つ無い綺麗な体でした。

そしてなんて安らかで優しいお顔なんだろう。

そう思ったとき、なぜだかとてもいとおしく感じ、このままずっと一緒にいたい衝動にかられました。

 

いかんいかん!!

自然に戻してあげなければ、この子は成仏できないんだよ。

 

花壇には、優しい色のお花がたくさん咲いていました。

心を鬼にして、ぎっしりと咲いているお花とお花の間にそっとすずめの身体を沈め、

両手を合わせました。

 

どうぞ安らかに眠ってくださいね。

本当はちゃんと土の中に埋めてあげたかったんだけど、

許してね。

 

帰り道、涙が溢れて止まりませんでした。

なぜ、こんなにも見ず知らずの「すずめ」に心惹かれたのか・・・

 

そして、またこんな形で再開できるなんて、夢にも思っていませんでした。

 

つづく。

 

 

 


すずめのお宿 その壱

2008-09-25 | 夢、不思議なお話

 

近所の郵便局へ出かけたときの事です。

いつもの裏道を行き、ちょうど郵便局の裏の公園に差し掛かったとき、急に雨が降り出しました。

 ここのところ、夕方近くになると、毎日のように夕立がやってくるのです。

しかも、大粒の雨です。こりゃあかん・・・・と、 急いで郵便局まで走り始めました。

あともう少しで郵便局という時、

「ちえまるさん」 と、私を呼ぶ声が聞こえたのです。

 えっ?ちえまる?どうして?ネット上しか名乗っていないのに・・・・

 

 「ちえまるさん」

 

もう一度私を呼ぶ小さくて細い声が聞こえてきました。

 

恐る恐る振り返ってみると、そこには、とても小柄なおかっぱ頭の 茶色いワンピースを着た女の子が立っていました。

 「あなたが私のこと呼んだのですか?」 と尋ねると、

「はい。私が呼びました。ちえまるさんですよね?」

「は、はい。ちえまるですが・・・・、あなたはどなたですか? なぜ私の名前を知っているのですか?」

「私はこの前、あなたに抱き上げていただいたものです。」

え?抱き上げた?・・・・・何かの間違いでは? この女の子を抱き上げてあげた覚えが全くありません。

 誰かの間違いでは?と言うと、

 

 「覚えていませんか?先月の暑い日、木から落ちて息絶えていた私をそっと抱き上 げてくださったではありませんか。私はその時の小雀です。」


お墓参り

2008-09-24 | 夢、不思議なお話

昨日は、お義父さん、お義母さんのお墓参りに行って来ました。

やっぱりいいもんですね。お墓参り。

いつも思うのですが、お墓参りをした後はとても清々しい気持ちになります。

そして、また頑張らなくっちゃと思います。

 

我が家のお墓は室内にあります。

ちょっと言い方が悪いですが、一つ一つのお墓がロッカーのような感じで並んでいます。

お供えの御菓子なども、きちんと管理してくださり、いつもとても清潔で本当に有難い墓所です。

 今日も、お花とお義父さんの大好きだったお酒(ワンカップ)、お義母さんの「お~~

いお茶」、和菓子とおせんべいをお供えして、備え付けのコンセントに香炉の電源を差し込みました。

 

ぷ~~~~んと白檀と伽羅の香りにうっとりです~~~。

 

「お義父さん、お義母さん、いつも有難う御座います。お陰さまで二人とも元気で

やっていますよ。これからもどうぞよろしく見守っていてくださいね。」

 

チ~~~~ン

 

とお鈴を鳴らし、両手を合わせて感謝をこめて合掌しました。

 

そして、すぐ下の納骨堂の扉へ耳を押し付けて、

「お義母さん・・・・」

と呼びかけました。

 

すると、中からなにか音が聴こえて来たのです!!

 

えっ!!  なに?  

 

「ちえこさん、ちえこさん・・・・」

 

小さく囁くお義母さんの声です・・・

 

ほえ~~~っ

 

なんじゃこりあ~~~、とびっくりして思わず納骨堂の扉に手をかけました。

すると、驚いたことに開く筈の無い扉がスッと開き、

なんとお義母さんがちょこんとこちらを向いて座っているではありませんか!!

 

「お、お義母さん・・・・どうしたんですか・・・・」

 

しかも、よく見るとお義父さんのお骨がなくなっていました。

 

「お義母さん、お義父さんのお骨は?」

 

と尋ねると、

 

「お腹すいちゃったから食べてしまったのよ。でもまた出るからだいじょぶよ。」

 

・・・・・・・

 

「ねえ、ちえこさん、かぼちゃが食べたいの。」

 

「お義母さんの大好きなおせんべとどら焼き持ってきたよ。お茶もあるよ。」

 

「もうすぐハロウィンだからかぼちゃ持ってきてくれると思った。」

 

「わかったよ。じゃ、今買ってくるから」

 

そして近所の八百屋やさんへかぼちゃを買いに行きました。

でも、行けども行けども八百屋さんにたどり着けません。

 

ただ、道の両脇に真っ赤な彼岸花がたくさん咲いているだけでした。

 

汗びっしょりになって一所懸命八百屋さんを探しているうち

 

はっ!!と目が覚めました・・・・

 

帰りの電車の中で居眠りをこきながら見ていた夢だったのです・・・・・

 

しかし、妙にリアルで不思議な気持ちでした。

そして、おかしくてこっそり笑ってしまいました。

 

その後、夢でもお義母さんに逢えた事、本当に嬉しくて思わず涙が出てきて困りました。

 

お義父さんはお義母さんのお腹の中に消えてしまったので、またまたお会いできなく

てとても残念でした・・・・