高校の漢文の授業で長恨歌を習った。まず出だしを読んで驚いた。「皇帝は女好きで、超美人を探していた。(君皇色を重んじ傾国を思う)」というのである。そして楊貴妃を見いだし大奥に入れる。「初の夜伽の前に入念に華清池温泉で玉の肌を磨かせた。(春寒くして浴を賜う華清池。温泉水滑らかにして玉脂を洗う。)」と来るからいよいと色っぽい。少し笑っただけで百の媚態が生まれる(瞳を巡らして一笑すれば百媚生ず。)という超美人の入浴シーンを、初老の先生が真面目な顔で教えるのだから、高校の授業は面白かった。
長恨歌は音感が良く大好きで何度も音読みしたので、大方暗唱できるくらいになっていた。今回、此のブログを書くので改めて長恨歌を音読みしてみると、あの頃の感覚が蘇ってきた。
授業で色っぽいといえば、与謝野晶子の歌も情熱的で色っぽいのが多かった。確か副読本に載っていて読んで驚いた。
柔肌に 熱き血潮に触れもみで 寂しからずや道を説く君
春短し 何に不滅の命ぞと 力ある乳を手にたぐらせぬ
「柔肌に」とか「乳を手にたぐらせぬ」とか、紅顔の高校生には衝撃的な表現だった。未だに覚えているのだから。
話は横道に逸れたが、その華清池にやって来た。高校で習ったあの華清池を目の当たりに出来る嬉しさよ。
驪山を背景に華清池宮 華清池
楊貴妃が入った風呂も見れた。1986年に発掘されたそうだ。と言うことは、自然院が長恨歌に身を焦がした頃から10年後ということになる。自分が生きている短い期間に歴史上の発見が次々に起こるなんて楽しい。昔の知識を常に更新しなくては。
左:楊貴妃専用のお風呂。少し小振り。ここで侍女たちに玉の肌を磨かせていたのだろうか?
右:玄宗皇帝専用のお風呂。後宮の華麗たちと一緒に入ったのだろうか?広いしね。
今でも湧き出てくる源泉。掛け捨てだったのだ。