武蔵野つれづれ   第3の生活を自由人として

中国での体験記を記して参りましたが2012年の秋に帰国しましたので、これからは武蔵野での生活を徒然なるままに書きます。

第14話 世界唯一 新幹線寝台に乗る

2010-06-09 22:05:07 | 上海

 中国には新幹線で寝台車がある。北京~上海間1500kmを10時間で結ぶ。両駅から夜9時台に4本出発し、朝7時台に相手駅に到着する。
 寝台車に乗りたいと言ったら、私の通訳君は「先生、飛行機の方が便利なのに」と言った。確かに飛行機の方が時間も短いし快適ではある。運賃も余り差がない。総合的には飛行機の方に分がありそうだ。しかし、自然院は好奇心の塊。世界で中国にしかない新幹線寝台車に一度は乗ることにした。 

 新幹線(中国では動車組という)の乗客は、列車毎に指定された待合室で待機する。待合室番号は電子掲示板に表示される。空港で便毎に搭乗ゲートが指定されるようなものである。発車の10分前になると待合室からホームへ誘導されて乗車する。

待合室からホームを通って車内へ。端っこの車両だと10分で移動するのは、かなりきつい。

「はやて」を基本に開発した中国版「和楷号」(調和という意味)

 寝室は上下2段で4個のベッドが設置されている。スリッパも用意されている。それが4色になっている事に気がついた。4人の客がスリッパを混同しないようにとの配慮で、意外と細かい気遣いがされているんだなと感心した。 食堂車にも行ってみた。麺類を注文したらインスタント・ワンカップが出てきた。まあ、こんなものか。ビールも飲んで再び寝室へ。 ベッドはやや狭いが何とか許容範囲。熟睡するには、振動が気になりデリケートな自然院にはやはり難がある。
結論:経験として一度は新幹線も良いが、恒常的には飛行機を利用したい。

寝室は上下2段。一室に4人。

食堂車

 運賃について、もう少し詳しく述べると、新幹線寝台車が上段655元(約8,800円)。一方飛行機代は、、上海~北京は競争が激しいので800元くらいからあるので、大きな差はない。ちなみに、中国の鉄道は日本に比べると滅法安い。日本には新幹線寝台車がないので比較はできないが、座席車同士で比べると日本の値段の2~3割くらいである。

 中国の高速鉄道建設の勢いは猛烈である。鉄道省の発表によると、2012年までに高速鉄道(250km/h以上)を9,000km建設し、総延長を13,000kmとし、日本・ドイツを抜いて世界一となるらしい。現在においても、在来線で200km/h以上で走行している距離は6,550kmあり、新幹線分3,670kmと加えると既に世界一なのだそうだ。

 走行速度においても、眼を見張る勢いである。中国の新幹線は高速型(最高時速250km/h級)と超高速型(350-400km/h級)がある。自然院が今回乗ったのは、日本の川崎重工と共同開発した高速型である。外見も「はやて」そっくりである。一方、超高速型はドイツ・シーメンス社と共同開発したもので、京広高速鉄道(北京~広州間2012年開通)で使われる。昨年12月に武漢~広州間が開通し、既に営業走行している。

 リニアモータカーも既に上海市内と浦東空港の間を世界最速の最高時速431km/hで走っている。実は自然院の事務所の近くに路線があり、窓から疾走する姿が15分毎に見られる。
 さらに上海~杭州(199km)のリニア・モーターカー線建設が今年始まった。わずか4年で開通に漕ぎ着けるという。
 一方、日本のリニア・モーターカー計画は、東京~名古屋間の開通が2025年を予定していたが、遅れそうだと先日のニュースは伝えていた。日本は土地買収・騒音問題など障害要因が多いのは仕方がないが、中国の勢いを眼のあたりにすると大丈夫かいなと、つい心細くなってしまう。

 アメリカではオバマ大統領が13地域で高速鉄道を敷く構想を打ち上げた。これまで航空機に頼っていたアメリカ人が日本などの例を見て高速鉄道の有用性に目覚めたとのことで、それは日本にとっても誇らしいことではある。しかし、肝心のアメリカへの売込みでは、フランス・ドイツはもとより韓国・中国よりも出遅れてしまっているらしい。

 40年前に世界の常識を覆して新幹線を完成させた日本の技術は賞賛に値する。しかし、いつの間にか日本は世界に追い越されつつある。どうして、こうなったのだろうか??  携帯電話やパソコンと同じで、国内市場重視のあまり国際標 準に合わせる努力を怠って来た結果だろうか??開発資金が潤沢にあり、意志決定の早い中国は手強いぞ。中国企業の内部に入って、その強さを感じる。頑張れ日本。


第13話 日本のiPadと中国のiPed

2010-06-01 23:11:14 | 上海
 先週末の日本のTVワイドショーは、iPad発売の話題で持ちきりだった。確かに、スイッチ入れれば即ネットに接続・持ち運びに便利・パネルタッチで使いやすい・画面が綺麗 ・・・・・ と来れば、様々な可能性を秘めた画期的な商品という予感もする。
普天間問題などで政治が低迷するなかで、唯一明るいニュースということも、iPad狂想曲に輪をかけたのかも知れない。

 その中で、気になったのは中国製iPed(紛らわしい名前だが)の話。
またまた中国が外見までそっくりの模倣品を作ったか、しかも値段が日本のiPadの4分の一以下とくれば、「もしかして買い得?」と誰もが関心を持つのも当然だろう。現に「仲間を募って代表者が中国にiPedを大量購入に行くことにしよう!」などと呼びかける書き込みも登場している。
 まるで中国へ行けば簡単に模倣機械が買えるような幻想が、日本のオタクに跋扈しているようである。

 現状はどうか? 中国のオタクに「iPedって知っているか?」と聞いてみたら、誰も知らないという。中国最大(というよりアジア最大らしいが)の百度(BAIDU)でiPedを検索してみると、「日本からの情報では中国製Ipedというものがあるらしい・・・」というふうに中国では戸惑いが見られるというのが実情である。
 少なくとも日本で騒がれているほど、Ipedは中国の主流の一角にはなっていない事は確かである。数年いや数ヶ月先は見えないが。

本ブログとしては珍しく写真なし、しかも時事問題でした。