武蔵野つれづれ   第3の生活を自由人として

中国での体験記を記して参りましたが2012年の秋に帰国しましたので、これからは武蔵野での生活を徒然なるままに書きます。

第46話 上海蟹余談

2011-12-29 00:09:26 | 上海

上海蟹の旬は11月と12月である。今年の年末はよく食べた。レストランで食べると、一匹150-180元(2000円弱)、スーパーで買ってくると50-60元(約700円)。週末に雄雌一匹ずつ買ってきて茹でる。

蟹は紐でくくって売っている。ある金曜日の夜、きつく縛られたままだと可哀そうだと思って紐を少し緩めておいて寝た。次の日に食おうと思ったら蟹がいない。あわてて探したら部屋の隅っこにいた。「こいつふざけやがって」と甲羅を箸でコンコン叩いてやったら、怒ったように箸をハサミでつかみ掛かってきた。

 

そんなことをして遊んでいたら、だんだん情が移ってきた。「こんな遊び相手(と言っても蟹は本能的に反応しているだけだろうが)を食っていいのか? 自分はたまたま人間に生まれてきて、彼は蟹に生まれついてきた。そんな偶然の関係に甘えて、俺は食う権利があるのだろうか?」

しかし、こうも思う。「相手は食物である。食物は人間に食べられるために存在するのである。」 そうだ、俺が食べなくても、ほかの誰かが食べるんだからいいんじゃないか。

そう思い直して、熱湯の中へほおり込んだ。と思ったら、奴さん、鍋のへりに足を引っ掛けて外へ飛び出した。勢い余って床にぶつかって足を2本折った。「観念しろ」ともう一度鍋に入れたら、瞬時に動かなくなった。一命が失われた。美味を求める人間の欲望のために。
「南無妙法蓮華経」「南無阿弥陀仏」お題目と念仏を唱えて、食べた。

単身赴任で蟹とたわむれる自然院でした。

 


第45話 玉龍雪山 標高4600mに登る

2011-12-10 23:35:18 | その他の中国都市

麗江から車で一時間、玉龍雪山の麓に着く。麓といっても既に3356m。富士山の八合目よりも高い。ここからロープウェイで3kmを30分かけて4506mまで登る。途中から森林限界を超えて緑が消え岩と氷河のみの世界に入る。
ロープウェイの山頂駅から登山道に従って、4636mにある展望台まで歩いた。

 
【左】ロープウェイ山頂駅。ここで4506m。  【右】展望台まで歩く人の列が蟻のように見える。多く見られる赤いヤッケは、地元でのレンタル。(これでも季節は8月なのでヤッケを持参しない人もいるので)

自然院の一生で、これまで一番高い所は、モンブランのエイギュデミディ・ロープウェイ駅の3842m。それを遙かに上回る。少々息が苦しい。酸素ボンベを買い、酸素を吸いながらゆっくり歩く。それでも高山病にかかる人は多いようだ。
身体を張っての観光となったが、それに見合うものすごい景色だった。