武蔵野つれづれ   第3の生活を自由人として

中国での体験記を記して参りましたが2012年の秋に帰国しましたので、これからは武蔵野での生活を徒然なるままに書きます。

第58話 蘇州の拙政園・留園・獅子林  世界遺産

2012-07-16 22:59:30 | 上海

蘇州は上海から高速鉄道を使うと30分で行ける。自然院の年代では、蘇州と聞くとまず思い浮かぶのは「蘇州夜曲」である。

 ♪ 君がみ胸に抱かれて聞くは、夢の舟歌、恋の歌、水の蘇州の花散る春を ・・・・・
 
日本人の手(西条八十・作詞、服部良一・作曲)による曲とは思えないくらい、中国情緒たっぷりの曲で高校時代に愛唱した。「東洋のベニス」と呼ばれるように、運河が縦横に走り、今も生活のインフラになっている。

  

蘇州は案外広い。そこで、今回の目的は運河めぐりでなく、庭園めぐりに絞った。唐代、シルク産業で栄えた蘇州は国内有数の大都市に成長した。そして、富豪たちが競い合うように、この地に江南式庭園を造った。そのうち、9か所が世界遺産に登録されている。

さらにその中で、拙政園・留園・獅子林の3つを一日かけて周ることにした。なぜこの3園なのか?
まず、拙政園は規模が最大だから、獅子林は太湖石庭園の代表だから、そして留園は、昔会社の近くに同名の中華料理屋があり、親しみを感じたから。

漫然と見ると、中国の庭園はどちらも同じように見えるが、注意してみるといろいろ工夫されている。まず庭園は壁や建物でいくつかの景区に区切られている。そして、壁には左下の写真のように、大きな飾り窓が開いている。訪問者に中の様子がチラっと見せ、次の景区への期待感を募らせるという仕掛けだそうだ。

 
景区と景区の間は、飾り窓(漏窓という)付きの壁や、丸い入口「円洞門という)で緩く区切られている。円洞門では、次の世界の景色を切り取って見せるというのも一つの仕掛け。

建物から庭園を見る方法も工夫されている。中から窓を通して外を見ると額縁の中の絵のように見えるようになっている。そしてどの窓からの景色も、それぞれ違う絵のようになるように工夫されているとのことである。

   
左二つは漏窓。右は飾りがなく空窓という。

 庭は、半分くらいの面積を池が占める。水と橋と回廊と楼閣と石と植栽が中国庭園のパーツである。

庭のゴツゴツした石(早い話、鬼の押し出しのような石)は太湖石と呼ばれ、太湖の湖底から取れる石で、浸食により無数の穴があいている。秀・痩・漏・皺の基準から価値が測られるそうだ。

 
左は留園の冠雲峰。天に聳える雄姿で太湖石の傑作とされる。

  
左写真:獅子と龍が戦っている形(に見えますか?)

太湖石だけでなく、中国人の石へのこだわりはすごい。石を平面に磨いて、天然の模様を楽しんだ。下の写真の模様などは、人が描いた絵のようだが、天然の模様である。

  

 
庭の要素は、石以外にも、もちろん植栽が重要である。このために盆栽がある。Bonsaiは英語になっているが、やはりルーツは中国である。日本の盆栽ほど「小ささ」には拘らないように見えた。

   
石も立派な盆栽

庭を設計した人の絵もありました。どこに見どころを置くか、また歩きながら角度が変われば見どころはどうなるかなど、客の動線を考えながら無数の可能性を考えながら設計してたのでしょうね。おかげで良い目の保養をさせて頂いています。

 

屋根も面白いですよ。クネクネと!!