武蔵野つれづれ   第3の生活を自由人として

中国での体験記を記して参りましたが2012年の秋に帰国しましたので、これからは武蔵野での生活を徒然なるままに書きます。

第28話 黄山 (世界遺産) 後編

2010-12-23 21:45:04 | その他の中国都市

 早起きし、5時頃から真っ暗の中を懐中電灯で照らしながら歩き出す。少し霧雨が降っており、山歩きのベテランのK氏と同行でなければ、心細い思いだ。30分ほどすると少し白じんできて懐中電灯が要らなくなった。目指すは飛来石。実は来る前に、写真をみて「凄い!是非会いたい」と思ったのが、この石である。

  

 実物を見ると、やっぱり凄い、というか不思議な岩である。岩山の上に突き立ったように「存在」している。その様ロケットの如し。名前の通り、飛来したとしか思えないような形である。右の写真を見て頂くと分かるが、下の地面と点接触である。押せばクラっといきそうだが、さすがは巨岩、ビクともしない。
朝早く数人の観光客しかいなかったので、ゆっくり見ることが出来た。早起きは苦手の自然院であるが、この時ばかりは「早起きは三文の得」と思った。


この岩の周りは絶壁である。この岩の周辺を手摺りを頼りに歩くのは、かなり怖い。これで混み合っていたら、どうなるのだろう。

飛来石を後にして、奇岩を見ながら歩く。

 
【左】象岩            【右】チンポコ岩

 
妙義山のような岩山のある。

連続して歩くこと約6時間。段々人が増えてきた。昼頃に漸くロープウェイの駅に近づく。


最後の名所は、迎客松(左)と送客松(右)。送客松は手を振ってくれているように見える。

ロープウェイを降りると、そこは俗界だった。


第27話 黄山 山水画の世界(世界遺産) 前編

2010-12-11 16:52:25 | その他の中国都市

 中国では、「黄山を見ずして山を語るなかれ」と言うらしい。知人の中国人に聞いてみても「黄山が一番」と言う。それならばと、行ってみた。今年の8月の事なので、いささか旧聞に属するが、記憶は鮮烈だったので、以下紹介する。

 上海から午後2時発の飛行機に乗って約1時間で黄山空港に着く。それから車で、茶畑の中をドライブして麓のホテルに着いた。
夕食は近くのローカルな食堂で食べる。オバサンにメニューを見せられるが、よく分からない。こういう時は、台所に連れて行ってもらって、食材を確かめて注文する。(台所訪問って、中国ではよくあるんです。念のため。)
野生鶏のスープが名物ですよ」と教えられたので、注文したら丸ごとの死体が出て来た。(目は閉じていたが、耳の穴は開いてた。) でも美味だった。

 
【右】食堂の食材               【左】地鶏スープ(姿煮)

 翌朝、ロープウェイで登り、歩き始める。麓では、曇りだったが、山上は霧だった。黄山は晴れることは少なく、ほとんど年中雲海に覆われているらしい。それで山水画の世界を創り出すというのが、黄山の妙味だそうだ。

 山上は、舗装された遊歩道になっていて、標高1600mあたりを登ったり下ったりする。道はよく整備されているので、無意識に歩いてしまうが、よく見ると崖っぷちに取り付けたようになっていて、道の下は千尋の谷という箇所も多い。

 
【左】崖っぷちに取り付けられた遊歩道。下を意識せずに通ってしまうが。下は・・・・・
【右】谷へ張り出したベンチ。ここに座るのは相当の勇気がいる。

山道は、普段運動不足の身にとってはややきついかなとも思われる長い坂道であるが、何とかなる程度。それでも無理という人にはという手もある。山上には4軒ほどのホテルがある。車は通らないので、シーツなどの運搬は剛力達の人力に頼っている。 

  

黄山の見所の一つは、此の地独特の黄山松である。黄山松は土に生えずに岩に生える。根から岩を溶かす成分を出し、岩に喰い込むのだそうだ。

 
       岩に喰い込む黄山松の根

そして枝振りも独特である。ある高さまでは、太い幹があるが、途中でストンと幹がなくなり水平に枝が分かれる。このために独特の個性的な姿を形成しており、名木には名前がついている。以下、数例を紹介する。

  
【左】竪琴松  【右】団結松(中国らしい名前。5本の松が団結しているように見える)

   
【左】黒虎松                【右】龍爪松(根が爪の形)

  
【左】鎖に付けた南京錠。カップルで施錠した後、鍵を谷底に放り投げる。鍵が無ければ永遠に解錠できない。つまり永遠に離れない愛と言うわけだ。  
【右】二本の松がくっついたような形の連理の松。やはり、この松の付近が、鍵を付ける名所となっている。楊貴妃と玄宗皇帝にあやかって。

霧の中から現れる名松を訪ねながら歩くこと約4時間、早めに山上ホテルに着く。明日に備えて早寝する。

 


第26話 上海蟹

2010-12-06 21:24:17 | 上海

上海蟹は10月が雌の卵、11月は雄の蟹味噌が美味しいと言われている。今年は両方とも食った。

 
【左】上海蟹                【右】陽澄湖周辺 (赤丸が陽澄湖、緑丸が蘇州、青丸は上海)

上海蟹(中国語では大閘蟹)とは、上海から50kmほど西にある蘇州(「蘇州夜曲」の蘇州。中国のベニスとも言われる。)の近くにある陽澄湖で取れる蟹のことである。この湖底は蟹が運動するのに好都合の泥状態になっており、それが美味の秘訣と言われ、高級ブランドとなっている。

しかし、上の地図でご覧頂くと分かるが、周りには沢山の湖があり、当然同種の蟹が住んでいる。価格に雲泥の差があるから、偽物が絶えない。そこで、蟹の背中にレーザ光線でマークを付けたり、タグを付けたりといろいろ手を施したが、もともとが偽物天国の中国のこと、マークタグも偽物を作る始末だから、お手上げ状態らしい。
蟹に「お前何処の湖に住んでいたの?」と聞く訳にもいかないから、まあ、店を信頼するしかない。