右手にハンドル
左手には
少しピンク色と
少しオレンジ色と
少しブルーグレーな色と
手のひらに乗せながら
いつもの
湖岸沿いの道を行く
『今日は
初夏の日差しだったね』
隣の席には
誰も座っていないというのに
最近増えたよね、独り言
ふと、自分の年を数え始めたら
今まで鼻歌で歌っていた歌が
どこまで歌って
どこで終えるのか
わからなくなって
幾度もサビをエンドレス
うふふって
すこし薄気味悪いね
ほら、また独り言
手紙を書くように
メールを打つように
言葉はあなたへと続いているけど
その辺の木に引っかかって
言葉が破けて
バラバラに飛んでいってるのよ
そして
どこかの空に
きっと浮いているに違いない
この空中の
分子と分子の間に
詰まった言葉達が
広がって
連なって
充満したならば
きっと、あなたに届くに違いない
そんな気がするから
そんな気がするから
幾重にも重なった雲の時も
ステキな夕暮れの時も
言葉を飛ばし続けているんだよ