湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

メビウス10ミリのタバコ

2017-12-13 12:27:40 | 日記
昔から
タバコの煙は嫌だったけれど
タバコの匂いは
何故か
父親の匂いのような気がしてた


好きな人が出来るたびに
その胸にしがみついた時の
タバコの匂いを嗅いでみたりして
嫌いなはずの父を
身近に感じていたいような


それほどのヘビースモーカーだった父


いや、それほど
父が嫌いと言いながら
どこかで父を探していたような私だったかもしれない


破天荒で女好き
博打好きで情深い


ここ数年は
介護の名のもとに
大人しく私に面倒を見させていて
私は、コンビニに
『メビウス 10ミリ ソフト ワンカートン』と

なかば呪文に似た言葉で買いに走らせ
自分はデッキで煙を燻らしていた


肺がんと言われても
これぞ男の本懐とばかりに
タバコをやめなかった人が
たった4日間
タバコを吸えなくなったまま


今生に別れを告げて逝った


家から
旅立ちたいと言った最後の約束を
ちゃんと果たせたでしょ?
良い娘に恵まれたでしょ?
わたし、いい子だったでしょ?


もう
コンビニに
タバコを買いに行かなくて済むのが
かなり寂しくなったよ







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切なくてもあたたかな

2017-12-07 16:44:44 | ポエム
誰かがいつも
私をみていてくれていると言う感情に
行き着いてしまうことがある


それは
神さまか
お日様か

あなたなのか


そう思えた時は
切なくても温かな

温かでも
その距離が切なくとも‥‥



いったいどっちなんだろうかと
思考の迷路にハマる前に
私は
きっと
私を見てくれている心地よさ

とても感謝したいほどに
自分を傾けてしまうことにする


幸せな方がいい


切なさは
いつか
切なさを
超える形のものに変えてしまえる時が
きっと来るのだろうと思うから


幸せな瞬間は
その時だけのもの


この先
どれだけの幸せが
私に訪れようと


あなたが私を思う
私があなたを想う
今の瞬間の気持ちは今だけのもの


風は冷たくて
肩をすぼめてしまうけど
まだ、お日様の匂いがする

そんな小春日和の日に。




緞帳みたいな夕陽


今日と言う日に幕が降りていく






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月の夜空の風景

2017-12-06 08:49:33 | ポエム
ストーブの熱が
まとわりついて
とても居たたまれなくて
駆け足で外に出た


見上げれば
満月から
少し欠けたほどでも
圧倒的な光を放つお月さまがいた


光が強いほど
空は暗黒ではなく
深い深い紺色の海のようだ


夜なのに
たなびく雲さえ白く漂っている


私は
何かから
少し逃げたかったのかもしれない


ひんやりした空気を
受けながら
月の光を浴びていたかった


瞬く星が
心に素敵なものを
宿してくれそうなことを期待しながら


パワーストーンの石が
その霊力を
月の光を浴びながら
取り戻すように


両手を広げて


どうか
この身に宿る
人として
当たり前と思いながら
よこしまな感情から
解き放たれますようにと


どうか
浄化されますようにと


そっと目を閉じながら
冷たい風に
しばらく佇んでいた


夜空っていいね
すごくいい


しばし
安息の数分間







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空からの手

2017-12-05 14:17:38 | ポエム
空から伸びた手のひらに
何も乗せられるものは
まだないの



まだ
乗せるわけにはいかないから



あと少し
あと少しだけ待っていてくれる?



カラクリの貯金箱のように
手をだして
人の魂を乗せて
持っていく気なんでしょ?


あと少し
あと少しだけ
私に時間をくださいな



せめて
年寄り夫婦の顔を見たくて
帰ってくる子供たちのために
2人の魂をこの下界に据え置いといて。



やせ細った体がいかに軽くなったのか


こうして人は
お迎えの待ち人になっていくのだとか



子供達は
それを知り


今までを感謝し
2人に伝えられるまで



そしたら
もう一度
くしゃくしゃの
2人の笑顔が見られるかもしれないからさ。






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旅に出ようか

2017-12-04 07:46:25 | ポエム
すべて終わってしまったら
一人で旅に出ようと思う


どこに行くのかわからないけど


精一杯頑張ってしまったら
一人で旅に出ようと思う


どこに行けるのかわからないけど


そのくらいの
夢でも見てもいいでしょう?


重たい体を引きずりながら
戦場から引き揚げるように


今度は
誰の顔色も見ずに
自分の顔色だけを見て


温かいお湯にでも浸かりにいきましょうか


縮こまった感情を
広げるため


だから
旅に出る夢を見続けていたい


ほら、
私の得意技だったじゃない?


ガイドブックとにらめっこするのって
いつも、夢を見て
そこに行けた気になれた


それが楽しくて
大好きな時間の過ごし方だった



今度は本当に旅立とう


今がすべて終わったら‥‥


誰もとがめることなど
できやしまい


ふと、そんなこと


手に触れたような満月に思う夜だった









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