じいたんばあたん観察記

祖父母の介護を引き受けて気がつけば四年近くになる、30代女性の随筆。
「病も老いも介護も、幸福と両立する」

年末年始の過ごし方。

2005-12-30 16:11:50 | 介護の周辺
去年は、相方と二人、祖父母宅にて

わたしと相方とでふぐちり鍋などを作り、
祖父と祖母、わたしと相方の四人で食べた。


甘いものや果物以外、何を食べるのも嫌がった祖母が
ふぐの刺身とふぐちりを

「おいしいわねぇ」と笑顔で食べてくれたのを、思い出す。

(つまり、味覚は正常だったのだ。
 …マンションで出される食事が彼女は嫌だっただけなのだ)


正月も、マンションで朝食を共にし、

それとは別に、ささやかながら
黒豆と雑煮くらいは作って、

…四人で初詣にも行き、雪に喜ぶ祖母と二人、笑いあった。


今年も、そんな年越しになる、と
どこかで、去年のわたしは思っていた。


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でも、違った。

この年末年始は、ばあたんは病院、じいたんはマンション。

ばあたんは先日、病院内で転倒して、頭を数針縫った。
帰ってきているうちにもし、何か異変があったら、対応できない。

…加えて、人手もぜんぜん足りない。
仕方がない。


今年は、じいたんは自分の分だけ先に、
正月メニューを頼んでしまった。
わたしの分は、オーダーしていないとのこと。

(わたしを休ませようという、じいたんの配慮だ)


それでも、じいたんを一人にしておくなんて、
そんな淋しい思いをさせるなんて、いや。
只でさえ最近、わたしの不調に耐えてくれているのに。

だから。

私に体力がないので、おせちなどを用意するのは諦めて、
デパートかどこかでおせちや年越し蕎麦を調達して、

せめて、せめて側にいよう、と思う。
祖父の側で丸くなっている介護猫でありたいから。


相方も、来てくれる。
感謝、感謝ばかり。ありがとう。

こんな年末年始も、ありですよね。



(追伸)

わたしが作ったものなら、喜んで食べてくれた。

…わたしがいま、台所に立てなくなったのは、
そのせいもあるのかもしれない。