じいたんばあたん観察記

祖父母の介護を引き受けて気がつけば四年近くになる、30代女性の随筆。
「病も老いも介護も、幸福と両立する」

冬の朝の散歩。

2005-12-12 09:19:48 | じいたんばあたん
お決まりの早朝覚醒に振り回されるのが、
腹立たしくなって、

思い切って、朝から、公園へと散歩にでかけた。

ばあたんと二人、去年の今頃には戯れていた場所へ。


紅葉が、やっと赤く染まった、散歩道。


ふたりでよく散歩した道。

ある日、
子供の頃わたしが、
桜の季節、彼女にそうしてもらったように、

ばあたんを抱き上げて、紅葉に顔を近づけさせた。


「まるで、赤ちゃんのお手手のようね。
 かわいらしいわ、なんてかわいらしいの。」

はしゃいでいた、ばあたんの弾んだ声を思い出す。






「昔ね、こうして、おばあちゃんがね、
 わたしに、桜の花を、見せてくれたのよ」

と、語りかけると
ばあたんは、ぴょん、と私の腕から飛び降りて


「でも、いまは、たまちゃんが、おばあちゃんの、お母ちゃん」

…わたしの胸にぎゅうっと抱きついて、
顔をうずめて、

そして、恥ずかしそうに、微笑んだ。


**************


わたしが 早朝覚醒で苦しかった、午前四時過ぎ
彼女が せん妄でひとり 苦しんでいなかっただろうか


どうか、そんなことはありませんように
どうか、彼女だけは無事で安寧でいてくれますように
どうか、治療が、効いてくれていますように


去年ばあたんを抱き上げた、その木に、

まるでばあたん本人を抱きしめるような気持ちで

くちづける。



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