じいたんばあたん観察記

祖父母の介護を引き受けて気がつけば四年近くになる、30代女性の随筆。
「病も老いも介護も、幸福と両立する」

じいたんの抜け駆け。

2005-12-15 18:59:57 | じいたんばあたん
毎週木曜日は、じいたんと二人で、ばあたんを見舞う日だ。

ある日の木曜は、ナースステーションに、
クリスマスのしるしが飾られていたので、パチリ。

私が看護師さんと大事な話をしているうちに、
じいたんは、ばあたんを、別のフロアに連れ出してしまったらしい。

一瞬追いかけようかとおもったが、その日は
デートの邪魔はしないで、病室で二人の帰りを待つ。

こんなとき、「孫」のあたしはちょっとだけ、淋しい。


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次の週のこと。
やっぱり看護師さんと打ち合わせをしている間に、

じいたんは、わたしのダッフルコートをばあたんに着せて、
二人で、またもや最上階のテラスへと抜け駆け。

いつもならそっとしておくのだけれど、

ばあたんは風邪をひいたばっかり。状態もよくない。


必死で追っかける、その道すがら、
とても清楚な、クリスマスツリーを見つけた。



ツリーの前で、ふたりきり、
静かに交わされた愛を思い、しばし佇む。