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じいたんばあたん観察記

祖父母の介護を引き受けて気がつけば四年近くになる、30代女性の随筆。
「病も老いも介護も、幸福と両立する」

じいたんのいびき。ばあたんの匂い。

2005-08-30 02:46:32 | じいたんばあたん
例によって、じいたんの書斎からアクセス。

明日は、ばあたんが入院している病院で、じいたんも診察を受け
そしてばあたんを二人で見舞う予定。
片道一時間半はかかるので、結構、強行軍。
お手洗いの問題や、水分補給のタイミングなど
きちんと考えながらルートを選んだ。

隣の部屋からは、じいたんの豪快ないびきが聞こえてくる。
それを聞くと、ちょっと、ほっとした気分になる。
ばあたんがいない寂しさの中でも、きちんと眠るじいたん。
がんばってくれているなあって思う。

今日は、じいたんの隣の、ばあたんのベッドで休むつもり。
ほんの少しだけ、ばあたんの優しい匂いが残っている、
その枕で
明日は私を認知できないかもしれないばあたんに、
こっそり甘えてから
面会に行こう
そう思って。



看護師さんに聞いたら、食が細くなってしまっているとのこと。
昼には、もし私のことがわからなくても、
食事介助をさせてもらえたらうれしい。

ばあたんに頬ずりする夢を見る。
しょっちゅう見る。
ばあたんが頭をなでてくれる夢を見る。
しょっちゅう見る。

「たまちゃん、そんな悲しまないで。
 おばあちゃんまで悲しくなってしまうわ」

私が、家族のことで悩んで彼女の前で涙ぐんでしまったとき、
一緒に泣いてくれた、ばあたんの、
やさしい、おおきい、暖かい手を思う。

じいたんのいびきを聞きながら、そんなことを思い出している。

じいたんの慰労会。

2005-08-28 22:56:01 | じいたんばあたん
今日は、一番末の従妹が祖父宅へやってきた。

「夏休みの間に何とか一度、来るね」
と言っていた彼女。

最初、介護疲れで微熱が続いている私は、
ホームヘルパー二級を持っている彼女に「途中まで」、
じいたんと二人きりで過ごしてもらおうと思っていたのだが、

いざ頼んでみると(たかだか服薬の促しと散歩介助、
そして一緒に食事をすることくらいだ)、
あからさまに気乗りしない返事。

少し腹が立ったけれど、

彼女にしてみれば
じいたんだけではなく、私にも会いたいから来るのだ。
(母親の病気や就活のことなどを話したいのだろう)
やっぱり、寝ているわけにはいかないか。
そう思い直し、当初の予定を変更することにした。


それでも、私一人で、
彼女と祖父の両方に気を配るのはしんどいので、

彼氏=介助犬ばうにとりあえず、応援要請をして
昼過ぎ、祖父宅へ行った。

実を言うと、少々うんざりした気持ちで。


*****************


それでも、今日は、こうしておいて良かった。


なぜなら四人で、にぎやかな
「じいたんの慰労会」ができたからだ。


八月最後の日曜日、偶然実現した
会食のために、選んだ店は、
公園の中にある、イタリアンレストラン。

建築家の手で造られた、白とアースカラーが基調の建物。
天井が高く、そしてオープンテラスになっていて、
蝉の声や涼しい風が、室内まで入ってくる。
空や風景にはいっぱい、明るい緑色と木漏れ日が降り注ぐ。

テラスで食事をしている人たちは、小型犬を連れていたりして、
「とてものどかな休日」が広がっている場所。


そんな、「介護の匂い」が微塵もしないところで、

ひさしぶりに、
「じいたん中心」のひとときを、つくることができた。



うれしかった。

いつも、いつも、いつも
じいたんのことは、後回しになってて。
ばあたんが入院するまで…

そのことが、いつも、いつも
とても気になっていたのだ。



イタリアンというメニューが、じいたんの気に食わないか?
と少し、心配だったのだけれど、

じいたんは、「お前さん、これはおいしいなぁ」と
喜んで食べてくれた。
「ホント?」と聞くと
「もちろんさね」と笑顔で答えてくれた。
ああ、うれしい。


四人ともパスタセットを頼んだのだが、
あいにくデザートがついていなかったので、
従妹とじいたんのだけを、追加する。

そして、じいたんと従妹がデザートに熱中しているうちに、
さっさとレジを済ませた。
もともと、この店を使おうと思ったときに、
最初から私が払うつもりだった。

この料理に、これだけのコストがかかるということを、
じいたんの世代の人は、理解できない。
彼らは、とても質素な人たちなのだ。

それに、たまには
「孫にしてもらった」という気分を
存分に味わって欲しかった。

ばあたんのことは、よく、散歩のとき、喫茶店に連れて行ったけれど
じいたんに、外でご馳走したことは一度もなかったのだ。


やっとできたよ、じいたん。
わたしはね、じいたん、

ばあたんもじいたんも、同じだけ好きなんだよ。
本気で憎たらしいと思うこともあるけど、
本当に本当に大好きなんだよ。

そう、こっそり告げることができたような、
そんな気がして、本当にうれしかったのだ。

 (伝わらなくてもいいのです。
  伝えておきたかったのです。
  祖父の、最近の、しんどそうな横顔が、怖いのです
  別れが近づいていやしないか、そう思うのです)



レジを済ませて席に戻ったら、
じいたんがさっと、手を差し出した。

「お前さん、勘定はおじいさんが払うよ。
           レシートを寄越しなさい」

…来た。でも、言ってみよう。

「うふふ。今日は、じいたんと従妹の慰労会だよ。
 だから、わたくしに任せてちょうだい。
 最初っから、そのつもりでしたのよ。
 たまには、ご馳走させて?」


どうだろう。
プライドの高い、じいたん。

内心ドキドキしながら反応をうかがう。


じいたんは、しばらく考えた後、
手をそっと、ひっこめた。

そして、心配そうに

「お前さん、お金は、大丈夫なのかい?

 おじいさんは、お前さんが支払うなら、
     デザートなんて頼まなかったのに」

と言う。

なんて、いじらしいことを言うんだろう。


いいんだよ、じいたん。
じいたんは、もう、じいたんなんだよ。
もっと大事にされても、いいんだよ。
生きているだけで愛される存在なんだよ。


ほろっと涙が出そうになったが、ごまかして

「デザートも、食べて欲しかったの」
にっこりうなずくと、

じいたんは、
何ともいえない嬉しそうな顔をして、

「…じゃあ、今日は、ご馳走になるよ。
 おじいさんは、幸せ者だな。
 ありがとう。ありがとう。」


ああ、よかった。
「ありがとう」って言ってもらえた。

久しぶりに「すまんな」じゃなくて「ありがとう」を。
久しぶりに、感情のこもった笑顔を。

ばあたんが入院してから、見られなくなっていたものを。


…そして。

じいたんは帰り際、
自分の財布と帽子を店に忘れたのだった(笑)


じいたんらしいオチである^^


**********************


多分、数日もしたら、じいたんは、忘れてしまうだろう。

それでもいい。

今夜、見送ってくれるとき、

「今日は、本当に楽しい一日だったね、お前さん」

と、言ってくれた、あの笑顔。


それだけで充分。

MRIを何故、お年寄りが嫌がるかについて。

2005-08-26 23:51:06 | じいたんばあたん
今日、じいたんと二人、夕食後のお茶をしていたときのこと。

じいたんに、自分の頚椎のMRIの結果について報告すると、
思い出したように、じいたんが言った。

「お前さんも、MRIを受けたのかね。
 いや、おじいさん呑気者で、知らずにいて申し訳なかった。
 (↑じいたんが、忘れているだけなんだけど…orz)

 一人で、怖くはなかったかい?嫌だと思わなかったかい?」


…??


何を聞かれているか良く解らなかったので、
とりあえず

「いや、面白かったよ。変な音はするし、
 装置のしくみがわかっているから、
 なんていうか楽しみだったし。
 身体を動かしたらあかんっていうのがしんどかったけど」

と答えたら、じいたんはため息をついた。

「お前さんは、やっぱり若いんだなぁ」



…???

すぐ、じいたんは続けた。

「なあ、お前さん。こんな話があったんだよ。
 この、マンション(健常な高齢者専用マンション)に住んでいた
 おじいさんの友達なんだが、それはそれは身分も出自も立派な方で、
 いつも堂々としていなすった男の人がいたのさ。」

うん、それで?

「だが、その方は、MRIを受けるときに、
 そのー、なんだ、ひどく暴れたそうだ。
 全身を皆で押さえつけなければならん位にな」


…MRIを受ける際、それに耐えられそうにない人には通常、
睡眠導入剤を使う。
わたしは、そのことを知っていたが、敢えて
黙って、じいたんの話を、目で促した。


「何故なのだろう、と、あれからおじいさん、随分
 考えてみたんだよ。
 
 あの機械の中にずるずると運ばれていく時というのはだな、
 まるで、火葬場で焼かれるときにそっくりだからだ、と、
 おじいさんは思ったわけだよ。」


…呆然とした顔を、私はしてしまったのだろう。
じいたんは続けて、

「お前さんたちのような、若い人には想像も出来んだろう。

 だがね、お前さん。

 わしらのように、お陀仏が目の前に来ている人間には、
 あの機械はまるで
 火葬場の竈のように見えるのさね。
 わかるかい?

 生きたまま焼かれたら、たまらんからなぁ。
 死んでから焼かれるならまだ、諦めもつくが。」



…言葉が出ないので、ただ黙ってうなずく。


じいたんはさらに続ける。

「おばあさんは、また、入院中、
 あの検査を受けなければならないのかい?」

…そうか。
それも、心配だったのね。
私は即座に答えた。

「ばあたんの入院先には、MRIないから、大丈夫よ。
 それに、拒否することも出来るから。
 心配しないで」

そういうと、じいたんは、安心したように目を閉じた。
そして、いつもの顔で、わたしの前で、まどろんでゆく。





……じいたんにMRIの検査を受けさせたのは
今年の3月の終わりだった。
慢性硬膜外血腫の疑いがあったからだ。

検査には、私が付き添ったのだけれど、
当然、中に入ることは出来るはずもなく…


かなり長い時間の後、検査室から出てきたじいたんは、
珍しく
わたしを着替えの手伝いに呼んだ。


鍵のかかる更衣室で、二人きりになったとき
じいたんは

「痒い。痒い。痒くてたまらん。
 たま、掻いておくれ」

と、
それこそ
背中から股ぐらまで
すべてを

20分ほど、
私に掻かせ続けたのだった。


じいたんにとって、検査が辛かったのだということは
すぐにわかったのだが、

何故そんなにあの検査が辛いのか、あのときの私には全く解らなかった。


でも。
今は理解できる。

じいたんは、死の近づく音を、身体で感じている。
わたしの感受性よりも、はるかに現実的に。

そのこころのありかたさえ、言葉に出してもらわなくては、
見えないなんて。
猫失格。


じいたん、ごめんね。

たとえ話としてしか話せない、じいたん。
漠然としか、いつも何も見えていない、わたし。
そばにいても、ただそばにいるだけ。

わたしには想像も出来ない、恐怖と闘う毎日を送っている。

孤独を埋めるひとかけらにさえなれない。


でも、
じいたん、わたしね、

理解できないからこそ、ずっと
目に焼きつけ続けるからね。


あなたが
最愛の妻にも忘れられ

それでも
屈することなく
孤独と闘う姿を誇りに思っています。

決して、決して忘れないから。

いつでも待っていたのは、私。

2005-08-15 08:08:26 | じいたんばあたん
いろんなことがあったので、何から書いたらいいのか解らない…

夕べ久しぶりに自宅へ帰って休んだ。
昨日突然来てくれた、伯父夫婦が、一晩介護を交代してくれたから。

でも、主治医の宣告で頭が一杯で
なにも手につかなくて

今、もうすぐ、祖父母宅へ行くという時間になって
ここにアクセスしたのです。


*************************


先週、紹介された病院に、入院を断られた後、
(脱水症状など内科的な部分での治療が優先というのがその理由)

別の病院は、まるで棺おけみたいで、とても入院させる気になれず

内心ほっとしながら
訪問看護を導入しヘルパーさんも増やし、
ここ数日がんばってきた、ばあたんと私たち。


だけど、昨夜、
往診にきた主治医が勧めたのは

とてもとても遠いところにある精神科病院への、入院だった。


「たまさんと私二人で頑張るのは限界ですし、
 ここはとても良い病院ですので、いちど見てこられたら」

と伯父に言う先生。
そして帰り際

「入れたほうがいいよ。決断苦しいだろうけど」

と私に耳打ちしてくれた、先生。


…昨日から来ている伯父と二人、今日、
その病院に行ってみる予定。

伯父は、入院させるという判断をしている様子。
じいたんも、同じ。

わたしはただ、黙っているしかできない。
在宅では無理ということも、うすうすわかっている。
それに、わたしは口出しを出来る立場ではない。


でもあたしは

いきなりこんな現実。
どうやって受け入れていいのかわからない。

入院費用のことも考えたら、今までのように
働かず過ごすというわけにはいかないだろう。

じいたんの介護を続けながら(それは、精神的な部分が大きいが)
働いて、片道一時間半かかる病院に毎日、通えるかどうか。

多分無理だ。


そしたら
ばあたんと毎日、会えない。

そんな毎日、想像もできない。

ばあたんが生きていて
私を呼んでいるのに

どこかに置き去りにするなんて。
あたしには無理だよ。
無理なのに。



「待っているわ」ってばあたんは、
私が帰るとき、電話したとき、いつも優しく言ってくれた。

だけど本当は、ちがう。
待っていたのは、わたしの方。

ばあたんが笑ってくれるのを
ばあたんがぐずってくれるのを
ばあたんが眠ってくれるのを
ばあたんが泣いてくれるのを
ばあたんがひどいせん妄で、苦しむときでさえ

生きているばあたんを五感で確認出来る
そんな瞬間を
待ち望んでいたのは、
いつでも、わたしのほうだったの。

神さま、本当にばあたんはもう、治らないの?
あたしのことはわかってるんだよ。
どんなひどい症状の中でも、わかっているもの。
おねがいよ。
おねがいよ。
いや。とりあげないで。


「たまちゃん、たまちゃんがいれば、おばあちゃん大丈夫」

「たまちゃん、おばあちゃんの犠牲になって、…ごめんね」

「たまちゃん、おかげでわたし、生きているって気がする」

「たまちゃん、怖いの、怖いよう。何もわからないの。」

「たまちゃん、おばあちゃんと仲良し、うれしい」

「たまちゃん、わたしの、おかあちゃん」


まるで子供を奪われるみたいな気持ち。

入院で、改善していくのなら、
ばあたんのためになると断言できるならいい。

でも違う。今回の入院は。


…こんなにも、ばあたんといたい
わたしが、ここにいる。
生きているかぎりは、共にありたい
そんなわたしが、ここにいる。

どうしたらいいのかわからない。
たすけてくださいかみさま、おねがい。おねがいです。

ばあたん、眠りながら話し続ける。

2005-08-05 05:50:27 | じいたんばあたん
夕べから、寝る前の薬が変更になったばあたん。
今度の薬は、セロクエル。メジャートランキライザーの一種である。
高齢なので、25mg錠を半分に割ったものから開始。
(脳に作用する薬は特に、少量から、高齢者には投与するのだ。
 せん妄などを起こしやすいからである)

今まで飲んでいたレンドルミンを中止して丸二日。身体から抜けたころだ。

さて結果は。

とりあえず、手は全然握ったりしなかったけれど、
寝息をたてていたのは一時間半程度。
あとはずっと、空に向かって、目を閉じたまま延々
離し続けていた。

整合性があるようなないような、
ものすごくはっきりした寝言のような感じなのだが、
身振り手振りがある。
そして、私が話を促すとちゃんと、答えらしきことを言おうとする。

意識があるかないかのギリギリのレベルで、
やはり眠れてはいないような気がする。
たぶん昨日、昼に結構な時間、じいたんが眠らせたのだろう。
昼夜逆転はあまりよくないのだが、仕方がない。

一方で、リラックスしているようにも見える。
本当に、話したいことを思いつくまま、
誰かに向かって話し続けているような感じで、
ひとりで話し続けていても、なんだか楽しそうな印象である。

とりあえず、今日主治医に報告しておいたほうが良いかもしれない。


先ほど、5時ごろ、ばあたんは起き上がったので、
りんごジュースで水分補給をして
(飲むという動作を忘れているような印象。
 声がけも慎重にやらないと、混乱して飲まなくなってしまう)

童謡のCDを掛けて、もう少し横になっているよう促し
傍にいながらこの記事を書いている。


ばあたんは、歌を口ずさみながらも、目は、閉じている。
疲れがたまってしまわないかしら…


追伸:
コメント返信、もう少しお待ちくださいませ。
もう少し集中できる環境で
(つまり自宅に戻ったときか、祖母が眠っているとき)
書きたいので…

じいたん、介護人デビュー。

2005-08-05 04:43:49 | じいたんばあたん
水曜夜、祖父母宅に私はいなかった。
ずいぶん前から入れていた約束があり、渋谷へと出たのだ。
ヘルパーを臨時に入れたのだが、正直気が気じゃなかった。

いくら「夜の食事・着替え・服薬介助」と、
「夜間の巡回(ばあたんの様子見とトイレ介助・水分補給)」を
お願いしていたところで、もしばあたんが不穏だったら、
じいたんが参ってしまうからだ。



夜中、最終電車で帰宅し、タクシーで祖父母宅を覗く。
とりあえず、落ち着いた様子なので自宅へ戻って休むことに。
(徹夜は、二日間が限界。30代に入ってから…orz)

翌朝、電話で起こされた。用事をしながらだが、立て続けに7本。
介護関係・事故関係・身内関係。
どれも「重要」かつ「時間のかかる」用件ばかりで、
なかなか自宅から出れなくて、ハラハラ。

整形外科への通院はあっさりあきらめ、
じいたんに、大体90分おきに電話を入れながら
(相手を待たせて、使っていない電話機で掛けるのだ)

「今日はおばあさん、だいぶ落ち着いていなさるから、
 お前さん、ゆっくりおいで」
という言葉に甘え、

何とか祖父母宅にいけたのが、夕方だった。


じいたんは、うたたねしているばあたんを見守りながら
わたしを待っていた。
少し疲れた表情。でも何か満足そうな様子。


聞くと、初めて、
ばあたんの紙おむつを、じいたんみずから替えてあげたとのこと。
おしもも、拭いてあげたのだそうだ。

しつこいようだが、じいたんは、90を超えた男性である。
看護師を呼ばなかったの?と驚愕して尋ねたら、

「だってお前さん、おしもが汚れたままでは、
 おばあさんがあまりに気の毒じゃあないか。
 それに、孫のお前さんができるんなら、わしだってやらなくちゃ。
 おじいさんは、おばあさんと、一心同体なんだよ。」

…かっこいい。かっこいいよ!じいたん!
90超えて、それまでまったく未経験で
妻のおしもの世話が出来る夫なんて、いないよ。

嬉しくなってじいたんに抱きつくわたし。
じいたんも、本当に嬉しそうに笑って抱きしめてくれた。

じいたんはさらに続ける。

「おばあさんにご飯を食べていただくのも、
 今夜はおじいさんがやるよ。
 お前さんに言われたとおり、
 決しておばあさんを急かさないように、気をつけてな、
 お匙で少しずつ、食べさせて差し上げると、
 おばあさん、とっても喜んで下さるんだ」




夕食のとき、そういうわけで、
食事の介助をじいたんに任せて、そっと見守る。

ばあたんが、汁物の器を持ったまま目を閉じていても、
じいたんは、そっとしておいている。
いい感じだ。それが大切なのだ。

ばあたんが目を覚ましたころを見計らって、
おかずのほかに、ちょっと食べやすいものをと思い
桃のゼリーを包丁でくだいたものを、用意する。

じいたんが、一匙一匙、少しずつ、ばあたんに食べさせる。

しっかりと、ばあたんの表情を確かめ
ゆっくりゆっくり、声がけをしながら、食べさせている。
スプーンの扱い方をわたしに、尋ねてくるので、
「ここで、くるっとまわしてあげるの」など教える。


ばあたんの食事介助をしているじいたんは、なんだか楽しそうだ。
自らも認知の低下を抱えているにもかかわらず、
立派に、介護者になっている。

穏やかな表情でおとなしく、一匙一匙食べさせてもらっている
ばあたんの顔も、どこか幸せそうだ。


こんなふうに、年老いても、時をわかちあえるカップルが
いったいどれだけ、いるだろう。

物音を立てないように気をつけながら、
この風景をずっと、見ていたいと思った。
見たのは、わたしだけ。
わたしの中にしか記録されない風景。
絶対に、忘れない。

労わりあいながら生きている老夫婦の、日常のひとこま。



八月四日、じいたん介護人デビューの日。

ばあたん、症状悪化が激しく。

2005-08-03 05:38:48 | じいたんばあたん
※タイトル変更しました※※ばあたんの症状の報告記事です。慣れてない方にはショッキングだと思います。ですが、
私が書いていることが、
きれいごとではなく、「本当に美しいもの」をただ写し取っているだけなのだ
ということを知っていただきたく、
ちょっとグロテスクなこの記事を残します。
グロテスクといっても、多分、現実よりは10倍マイルドです。※


昨日の朝は、じいたんにとって、かなりショッキングな朝だったと思う。

なぜなら、目覚めたとき、自分の妻が、下半身だけ裸で
汚物まみれのオムツをちぎって、部屋中に撒き散らしていたのだから。


実は、こういったことは、今回が初めてではない。

じいたんに言っても、また揉めるだけなので、
じいたんが自然に発見するまで、教えずにいたのだ。


私は、朝自宅にいたので、じいたんからの連絡で知った。
それでも午後までは敢えて、朝のヘルパーさんとじいたんだけで
頑張ってもらい、わたしは助けに行かなかった。

現状が、いろんな意味で限界点に近いということを、
彼に実感させる、殆ど最後のチャンスだと踏んだからだ。


(鬼ですね(苦笑)
 化け猫程度で収まっておきたかったのになぁ)


午前中のうちに、ケアマネさん
(ちゃんと和解しました。「雨降って地固まる」…やっぱり
 「共に成長していける」って考えたほうが楽しいから)と、
色々と打ち合わせをして、主治医に連絡を入れる。

自分の治療(整形外科)は結局、行けないまま、

時間を見計らって祖父母宅へ。


じいたんには、診察の順番とりのため、先にタクシーで病院へ行ってもらい、
わたしは、まだパジャマ姿のばあたんを、着替えさせるところからはじめる。

予想通り、かなりの苦戦を強いられた。


◎オムツをはずした瞬間に …の刑、豪華ダブルキャスト。
 (但し洗面所だったのでラッキー) ↑突っ込まないで察してね

◎着替えを握ったまま離してくれず、服がまた一枚、駄目に。
 (でもホントは捨てたかった服だからいいんだ)

◎若いわたしが力負けして、ばあたんに引きずられ転んで打ち身。
 (これが一番解せない。何でやねん。)


・・・これじゃ何も出来ないので、多少強引に、
わたしの手を、彼女の手からはがしてみる。すると…


◎目を離したすきにわたしのカバンの中身を全部出してしまう、
 (ライターを触られて間一髪(滝汗))
   ↑何でこんなものが入っているかは突っ込まないでください…

◎鳴っているわたしの携帯を握りっぱなしで返してくれない…
 (じいたんの携帯を別の手に渡して、巧妙に、奪取(笑))

◎ドアノブにへばりつきの刑、
◎エレベーターのドアの間で固まる刑、
◎降りてくれず延々上り下り


などなど。
色々とバラエティに富んだ、濃い内容のエピソードを経て
(別に、アルツハイマーとしては一般的な範囲内だと思うが)
何とか病院へ連れて行けた。この間、一時間半のロス。


診察してもらったが、心配していた脱水症状はなく、
睡眠薬の影響である可能性を鑑みて
いったんレンドルミン中止、二日後からセロクエル(←なんかすごいな)開始、
そしてそれで状況が変わらなければ、精神科への紹介状を頂くことに。


ああでも先生。マジできついよ。

だって今夜(てかもう朝ですわ外…)ずっと、
手を握られっぱなしで離してもらえなかった…orz


そして

なにより、先生、もったいないよ。


だって、あたしがこんなに疲れていたら、

今日(もう昨日だ)みたいな、ごく激しい一日でさえ、
いろんな、「いとおしいこと」があったことを、書きとめられない。


症状なんて、よそに幾らでも書いてある。
あたしが本当に書きたいことは、違うものなのに。
ただ、これを書いておかないと、他の記事に意味がでない。

「きれいごと」じゃなくて、
本当に「きれいな(と感じた)こと」を正確に写し取っておきたいから


それにしても、このイライラ感。
表現したい本題までなかなか辿り着けないもどかしさ。
これって多分、
ばあたんが味わっているであろう「悔しさ」にちょっと似ているな、
…なんて今、ふと思い至り、なんだか納得してしまった。

やっぱり、おとしよりと共にある生活は、素敵な発見に満ちているのです。

夫婦の妙。

2005-08-01 02:06:15 | じいたんばあたん
土曜の事件の時、伯父への電話を切ったところで、
ばあたんがもそもそ起きて来た。
ほどなく私をつかまえる。

「今の電話、わたし、寝たふりをして聞いていましたよ」
「わたし、そんなに悪いこと、したかしら」
「たまちゃんを困らせようと思って、しているのではないのよ」
「どうして、怒るの?」

しまった、と思った。

「ばあたん。ごめん。ばあたん」
「ばあたんは何も、悪いことなんてしていないよ」
「たまちゃんにだって、いつでも、よくしてくれてるよ」
「よその人の話なの、心配しなくていいのよ」

ずっとずっと、抱きしめて、声かけを続けた。


ばあたんは、私が帰れないよう、ぎゅっと腕を握る。
(あるいは祖父の書斎にいかないように、かもしれない)
変な話で恐縮なのだが、
わたしが用を足す時でさえ、左手はばあたんに掴まれたまま。


不意に、「夫婦の妙」を感じた。

夫のフォローをしなければ。そう、無意識に思って、多分
ばあたんは起き上がってきたのだ。
そして一生懸命になって私に、詫びるのだ。
意固地になっている夫のかわりに…。

結婚63年の夫婦の連携プレイなのかもしれないな。
なんとなく、そう思った。

「おばあちゃん、たまちゃんのことが好きよ。
 もし、たまちゃんがいなくなってしまったら、
 私、生きていけないわ…」

べそをかく、ばあたん。

再び床に就き、寝息を立てるまでの3時間、
ずっと抱きしめてそばにいた。
いつものように、たくさん頬ずりをして、寝かせた。


それでも。
本当を言うと、誰でも良いのかもしれない。

ばあたんは、今、もう既に、
親しみを感じた女性は誰でも、
「たまちゃん」と呼ぶようになってしまっている。
特にヘルパーさんで、気に入りの人だと、私と全然区別が出来ない。

それでも、こんなときだけ、
「わたし」を「たまちゃん」と認識できるのは、何故なんだろう。
なんかそんな生温いものが原因ではないのは、確かなようだ。

服を着替えて待つ、じいたん(後編)

2005-07-30 11:42:58 | じいたんばあたん
玄関にへばりつくばあたんに、ひたすら付き合うこと一時間。
何とかばあたんを、部屋の中へ誘導することに成功。

「上田(ばあたんの出身地)の桃を、手に入れたのよ。
  ↑これは、捏造です(笑)
 すごく高かったけど、ばあたんに食べて欲しくて、
 たまちゃん、おこづかいで買って来たんだよ。
 ばあたんが食べないなら、わたしも、食べたいけど、我慢する」

この一言が効いた。

ばあたんは私にへばりついたまま中に、入ってきた。

ばあたんを、私の腰につかまらせておいて、
桃を剥き、食べやすい大きさに切る。
切った桃を、横からつまみ食いして(以前は決してこんなことはなかった)
「おいしいわね」とにこにこ顔のばあたん。

内心「よっしゃぁ~!!」と叫びつつ、おくびにも出さないで
「ほら、おじいちゃんとおばあちゃんの分、持っていこうか」

ぱくぱく食べるばあたんを見ていて、涙が出た。
…殆ど今日一日何も食べなかったのだ。ほっとした。


その後もずっと、ばあたんの話を聞き、優しく着替えをして
髪や顔、入れ歯の手入れ、トイレ介助などをさせてもらい、
気がつけば9時。ばあたんは、眠そう。
今日一日、これだけ暴れた(不安な気持ちで過ごした)から、
安心したら急に疲れが出たのだろう。

チャンスなので睡眠薬を飲んでもらい、そのままベッドへ。
15分もそばについていたら、いびきをかき始めた。


***************************


ああ、しまった、と私は思った。
これなら、介助犬ばうに、頼む必要はなかった。
じいたんを早く床に入れられるし、
私も早く出て、少しでもばうばうをねぎらうことができる。


そう思い、書斎へ行くと、
「ばうちゃんは、まだかね?」と満面の笑みのじいたん。


しかも、ふと見ると、

さっきまでの下着姿ではなくて、
ちゃんとシャツとズボンを着用している。


「じいたん、寝巻きに着替えといて。
 夜遅い訪問だから、そのほうが、ばうばうも安心するし」
わたしが言うと、じいたん、

「いや、こんな年寄りを訪ねてくれる気持ちがうれしいんだよ。
 わしの好きにさせてくれ
いや、いつもアンタ好きなようにしてるやん…orz
突っ込んでみたいのをぐっと押さえ、
仕方なく引き下がり、ばうばうにメール。

「ごめん。ばあたんは予想に反して、落ち着いて寝てくれたけれど、
 じいたんが、ばうばうをお待ちかねなの。ごめん。」

すぐ返信が来た。
「たま、いいじゃない。
 おじいちゃんお疲れ様、のお茶会すれば」

携帯の画面がにじんで読めない。


*****************************


ばうばうが到着すると、じいたん、満面の笑顔で出迎える。
私に、「早くお茶とお菓子を出してあげなさい」とせかす。

本当に本当に嬉しそうだ。
ばうばうも、丁寧に話し相手をしている。


話しながら、じいたんは、ふとうたたねする。

そして、はっとして「くわっ」と目を開け、話の続きをする。

ばうばうは、見なかったふりで、話し相手をする。

じいたんは、まるで
「がんばって起きているから、
 もう少しだけ、この楽しい気分を味わわせて」
と眠い目をこする、ちいさな子供のようだ。


そんなじいたんが、それでも眠気に持ちこたえられなくなったところで、
祖父母宅を辞去する。
いつまでもばうばうに手を振るじいたんの、姿が
なんだかせつなかった。



そして、手を振り続けてくれる、ばうばうの優しさに

わたしは

いちにちの疲れを優しくぬぐってもらうのだ。

服を着替えて待つ、じいたん(前編)

2005-07-30 11:16:17 | じいたんばあたん
昨日の未明から、夜中まで、せん妄が激しく大荒れだったばあたん。
なかなか感慨深い体験でした。


夕方、食事から帰ってきても、
玄関に張り付いて動こうとしないばあたん。
ドアのノブについて何か、気にかかることがあるらしい。
食堂から半ば、むりやり連れて帰ってきたじいたんに
腹を立てている様子。


「これじゃ、私でもじいたんでも、寝付いてくれないかもしれない」
そう思った私は、
私の彼氏=介助犬ばうに応援要請メールをした。

ほどなく、ばうばうから返信。
「到着予定時刻10時前になるよ。今日仕事遅いから」
悪いなと思いつつ、再度頼む。


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昨日、未明のSOSに、祖父母宅へ自転車を走らせた。
帰宅したのが午前様だったのだが、まあこんなもんだ。
夕べなかなか寝付かなかったばあたんに、ちょっと嫌な予感がしていた私。
このまま泊まればよかった…。でも後悔しても始まらない。

到着してみると、ばあたんは、。家のあちこちに失禁しまくっていた。
そしてびしょびしょのパジャマ。

じいたんが目覚めたときは、ゴミ箱の中にしたおしっこを持ち歩いて
うろうろしていたらしい。
リハビリパンツにも、おしっこのあとはあるけれど、
彼女はどうやら、脱いで、家中におしっこしたらしい。
パジャマもおしっこまみれだった。

そしてひどいせん妄状態。

このままでもとにかく布団に放り込み、
次に目が覚めて落ち着いたときにシャワーで洗うか。
それとも、先にやはり身体を洗うか。
前者の判断の方が多分、正しい。それはわかりきっていた。
でも、それではじいたんが、眠れない。
じいたんだって、私にとっては、同じだけ大事なじいたんなのだ。


とりあえず風呂場へばあたんを引っ張っていく。
腕の抜けそうなくらいの、ものすごい力でばあたんは抵抗する。

「ぬれたままの服じゃ、眠れないよ」
何を言ってなだめても、動かざること岩の如しである。

言いたくなかったけど、とりあえず論理的な説明をしてみる
「おばあちゃん。その濡れているのは、おしっこなんだよ」

案の定ばあたん、
「わたし、おしっこなんかしてない。証拠を見せて」
…いや、その服も、体中から匂うアンモニア臭も全部証拠だから…orz
じいたんと、ばあたんの、おしっこの匂いは、
区別ついちゃうから…orz


ほとんど引きずり込むように風呂場へ入れ、全裸にして、
私もブラとパンティだけの格好で、ばあたんを洗う。

「お願いやから、頼むから、辛抱してや」
と声かけしながら洗う。
「このままにしてたら、かぶれるから」
泡だてた石鹸をばあたんの全身にまぶす。


ばあたんは激しく抵抗する。
「たまちゃん、なんで、こんなことするの」
「おばあちゃんは、たまちゃんの言うことはなんでも聞かないとだめなの!?」
「あたしは、おしっこなんてもらしてない。
 そんなことしたらもう、生きていけないじゃない」
「外へだしてよぉ。おじいちゃん助けてよぉ。
 たまちゃんがいじめるんだよぉ!」

ドアを思いっきりひっぱりながら
(私が足でストッパーかけているから開かない)
私の頭を、肩を、ぽかぽか叩く。泣き叫ぶ。

「たまちゃんは、いつもこんな風にするじゃないのぉ!」

…私自身の名誉のために言っておくが、
私は一度たりとも、こんな強引な方法でばあたんに接したことはない。
多分、じいたんと私のバトルが記憶にのこっているのだろう。
ばあたんに詫びたい気持ちと、なんでこういうときだけ、私なのかな、
という思いが交錯する。


それでもこのまま置いておくわけにはいかない。
ショックを受けてたって問題の解決にはならない。

「おばあちゃん、私を信じてくれへんと、何もでけへんよ」
「○○ちゃん(叔母の名前)に、会いにいけないよ?」
「おばあちゃんが嫌がることでも、しないと駄目なことは、駄目なのよ」

ばあたんが言う
「学校へ行けないじゃないの。子供たちが待っているわ」

…洗い終わった途端脱走しようとするばあたんを捕まえで、
ぼかぼか殴られながら、何とか身体を拭く。
でも、服を着せる段階で、激しく抵抗されたので、
じいたんを呼ぶ。

じいたんは起きてきてくれた。
そして、ばあたんの両手を捕まえて、支えてくれているすきに、
服を着せる。

「おばあさんに自分で、着させればいいだろう」
そういうじいたんに、
「いや、服をあげたらそれを、投げたり、振り回たりで…」
とわたし。

「また、根も葉もないことを言って」
ばあたんが、わたしを蹴飛ばす。
「さっきはこんなに、優しくなかったじゃないの」
事実ではない。
「おじいちゃんの前では優しいなんて」
…涙も出ない。認知症のせいだもの。
ばあたんが、再度私に体当たりして、蹴飛ばす。

じいたんが、
「おばあさん。たまを蹴るなんて、なんてことをするんだ。
 たまは、おばあさんのために、頑張っていてくれるんだよ。
 たまの言うことは、ちゃんと聞きなさい」
と、強い口調でばあたんを、いさめる。

そしたらばあたん、泣き叫んだ。
とても、とても悲しそうな、声。

認知症を生きるということは、これほどに辛いことなのか。

抱きしめてやりたいと思ったが、
まずは安全が先。
それに、じいたんをねかせてやらなければならない。
泣いている間にささささっと服を着せてしまう。


着せてしまい、居間に戻り、座らせて、りんごジュースを出す。
「これは、目を開けて飲んでもいいの?」
そういったことを、細かく細かく訊ねるばあたんに、
「うん、いいんだよ」
いちいち答えながら、ジュースを飲み終わったころ、

そっと、身体を抱きながら、
強引に身体を洗ったことを改めて、ばあたんに謝ったけれど、
ばあたんはもうすっかり、忘れていた。

…なんとか先にじいたんを寝かせ、ばあたんの不穏に延々と付き合う。
さっき私を罵倒したことなどすっかり忘れ、
「たまちゃん、置いていかないで」
そればかりを、繰り返す。
話し続けてからからの唇を、冷たい水を含ませた脱脂綿で、拭いてやる。

「ああ、気持ちいいわね」

朝五時、ばあたんは、やっと、深い眠りについた…


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日中はヘルパーさんに任せ、夕方、祖父母宅に向かう。
それで、冒頭の状態。

じいたんと私では、介護拒否の激しい抵抗にあう可能性がある。
私はかまわないが、じいたんが持たない。

それで、介助犬ばうに、やむなく連絡した。

(続きます)