第51話 太陽に負けた北風(改訂版)

2005年12月13日 20時13分25秒 | 創る(フィクション・ノンフィクション)

太陽に 負けた北風は あれくるいました。 ひゅ~ ひゅ~
街中の人たちが 北風に会うと かけあしで逃げていきます。
街中の 窓がぴしゃり 扉がばたん
北風は とくいになって 大笑い。 ぴゅ~ ぴゅ~

そこへ 雲とおしゃべりを終えた 太陽が やってきました。
すると、街中の人たちが いっせいに窓をあけ 太陽にむかって 微笑みかけます。
北風と いっしょに 笑ってくれる人は ひとりもいません。
最初は おもしろがっていた北風も だんだん さびしくなってきました。
北風は 太陽にほほえみかける 街の人たちをみて 逃げだしました。

北風は 街のはずれの 丘の上まで やってきました。
丘の上には おおきな木が 一本 立っていました。
やあ 北風くん こんにちは
北風は 返事をしません。
そればかりか ようし こいつの葉っぱという葉っぱを 全部 吹き飛ばしてやるぞ
北風は いきおいをつけて 木にぶつかっていきます。 ひゅ~ ひゅ~

ざわざわざわ~ どうしたんだい? きたかぜくん 
木が 北風を 見つめます。
きみには ぼくが みえるのかい?
もちろん みえるよ。 木が ほほえみかけます。
それにね きみにであうと ぼくは うたをうたうことができるんだ。
遊びにきてくれて ありがとう。 さわさわさわ~
北風は うれしく なりました。
照れながら 木に こんにちは といいました。
君の名前は? 木が尋ねます。
ぼくの名前は、フューイ。
フューイ! 素敵な名前だね。 ぼくはビッキー。
フューイとビッキーは いっしょに 笑いあいました。 
その日から 毎日 フューイはビッキーに会いにいきます。

ある日 遠くに沈む夕陽を ふたりでみていると フューイの目に涙があふれてきました。
びゅ~ びゅ~
フューイ どうしたんだい?
太陽くんは あかるくて つよくて あたたかくて みんなに すかれている。
きみだってそうさ。
ぼくなんかいなくても 毎日 小鳥くんやリスくんたちが 遊びにきてくれる。
それなのに ぼくは ぼくは びゅ~びゅ~
フューイ きみには ぼくにはない すばらしい ちからが あるんだ。
ぼくは きみのように どこでもすきなところへ とんでいけない。
ぼくは きみのように 世界中のみんなに あいにいけない。
フューイ ぼくは そんなきみのことが大好きなんだよ。
フューイは 涙をふいて 笑いました。
ビッキー きみには ぼくにはない すばらしい ちからが あるんだ。
ぼくは きみのように 世界中のみんなの 目印にはなれない。
ぼくは きみのように みんなを支えることができない。
ビッキー ぼくも きみのことが大好きなんだよ。
フューイ ありがとう。
ビッキー ありがとう。
この夜 ふたりは 前よりも もっと なかよしに なりました。

そんな ある日のこと 太陽くんは ごきげんななめ
というのも 約束した時間に 雲くんがあらわれず カンカンに おこっていたのです。 
街中のみんなが 下をむいて 歩いています。

よし ぼくたちの出番だ。
フューイが やさしく こどもたちに ささやきます。
ふ~ ふ~ こっち こっち。
こどもたちは その心地よさに おおよろこび。 こどもたちが フューイを おいかけてきます。
フューイは こどもたちを ビッキーの待つ丘に あつめました。
すると ビッキーは 手を 空にむかって おおきく ひろげます。
わ~ ここに おおきな ひかげが あるぞ 
こどもたちの笑顔をみた ふたりは おおよろこび。
ふたりは こどもたちのために うたをうたいました。

こどもたちが かえったあと フューイがビッキーに ささやきました。
こんど 太陽くんもいっしょに みんなで あそばないか?
そいつはいいかんがえだね。
さわさわさわ~
ふたりは こえを あげて わらいあいました。


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